News Archive by Year

2022

WHO神戸センター事業成果報告書2020-2021

2020年1月から2021年12月のWHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター・WKC)の報告書です。

本報告書の対象とする期間は新型コロナウイルスのパンデミック下にあったほか、2件の外部評価も入り、当センターの新たなミッションとビジョン、ならびに、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジと災害・健康危機管理を2大テーマとする研究計画をひときわ反映した内容となっています。

当センターの活動は、神戸グループの支援、および、WKCの諮問委員会、ならびにサイエンティフィック・ ワーキング・グループの指導に支えられています。

当センターは、高齢化社会におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ推進のための保健医療制度の向上、および、災害・健康危機管理に関するグローバルな研究拠点です。

報告書はこちらからご覧ください。

WKCフォーラム2022 コロナ禍における学校と生徒のメンタルヘルスを開催

2022年3月26日、「WKCフォーラム2022 コロナ禍における学校と生徒のメンタルヘルス」をオンライン開催致しました。

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックとそれに伴う行動制限は、感染への不安やストレスなど、生徒のメンタルヘルスに大きな影響を及ぼしました。COVID-19が生徒に与えるそうした心理的影響を理解し、心理的負担を軽減するための適切な対策を講じることは、教育と医療の両方の観点から取り組む必要のある、緊急の課題です。今回のフォーラムでは、「コロナ禍における学校と生徒のメンタルヘルス」をテーマに、生徒の心理的負担に学校や医療はどのように対応するかについて、専門家と生徒で対話を行いました。

 

 冒頭、大阪大学ユネスコチェア チェアホルダーの山本ベバリー・アン教授とWHO神戸センター、サラ・ルイーズ・バーバー所長よりビデオメッセージが寄せられました。

 

 基調講演では「みんなで考えよう、コロナ時代のメンタルヘルス ー私の経験から考えるー」をテーマに、国連広報センター (UNIC) 根本かおる所長がご登壇され、主に若者に向けて、気持ちを言語化することや、困った時はお互い様という助け合う気持ちの重要性が強調されました。それを受け、パネル討論では、「コロナ禍における学校と生徒のメンタルヘルスの課題と展望」をテーマに、専門家と大学生・高校生パネリストによる活発なディスカッションが、茅野龍馬医官司会のもと進められました。

 

 参加した高校生からは「私自身が今置かれている状況やメンタルヘルスの現状について改めて見直すきっかけになりました。」「自業自得じゃない、困った時はお互い様という言葉 が印象に残っている。当たり前のことのように思えるが、それが出来なくなっている今だからこそメンタルヘルスが大きな問題として取り上げられているのだと思いました。」との声が聞かれました。

 

 WHO神戸センターでは、2月より以下の研究プロジェクトを開始し、今後もこの課題に取り組んで参ります。

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下における精神的ストレス軽減のためのデジタル介入アルゴリズムの開発

https://extranet.who.int/kobe_centre/ja/project-details/h-edrm_2022_KU

日本赤十字看護大学附属災害救護研究所キックオフセミナーで講演

2022年3月26日、WHO神戸センターの茅野龍馬医官が、日本赤十字看護大学附属災害救護研究所のキックオフセミナーにて、オンライン講演を行いました。

 

茅野医官は、「災害・健康危機管理のエビデンス向上 に向けたWHOの取り組み」というテーマで、WHO神戸センターが事務局を務める災害・健康危機管理に関するグローバルリサーチネットワーク(Health EDRM RN)について、発足の経緯や今後の展望について話しました。

2022年世界保健デーメッセージ - WHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)サラ・バーバー所長からのメッセージ

2022年4月7日の世界保健デーは「私たちの地球、私たちの健康」をテーマとしています。人々と地球の健康を保ち、ウェルビーイングを重んじる社会の実現に向けた動きを促すために、今すぐに必要な行動に世界を注目させます。

WHOの推計では、防げるはずの環境要因による死者数が毎年、世界全体で1,300万人を超えています。中でも、気候変動は人類が直面する最大の健康上の脅威です。以下の例から分かるように、環境危機は健康危機でもあります:

  • 化石燃料の燃焼に由来する、体に悪い空気を、世界の9割を超える人が吸っています。
  • 異常気象、土地の劣化、水不足により多くの人々は移住を余儀なくされ、健康にも影響を受けています。
  • 深い海から高い山まで、地球の隅々で見つかる汚染物質やプラスチックが、食物連鎖によって私たちの食べ物に入り込んでいます。
  • タバコの吸殻は世界で最も多く廃棄されているプラスチックごみであり、分解に何年もかかり、海鳥やイルカ、ウミガメの死骸にも多く見つかっています。
  • 超加工された不健康な食品や飲料を製造する商業システムは、人々の肥満を助長し、がんや心臓疾患のリスクを増加させるとともに、排出する温室効果ガスも多く、全排出量の3分の1を占めています。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、私たちの世界に存在する大きな格差が浮き彫りになりました。気候変動などの健康に対する新たな脅威に直面する人々にとって、保健医療制度が主要な防衛線となります。健康を守り、健康格差の拡大を避けるためにも、各国は気候変動に強い保健医療制度を構築しなければなりません。

持続可能な「ウェルビーイングを重んじる社会」では、生態系の限界を考慮しつつ、現在から将来にわたる各世代での公平な健康の実現が約束されます。また、ウェルビーイングを重んじる経済とは、人間の幸福、公平性、および生態系の持続可能性を目指すもので、これらの目標が長期的な投資、ウェルビーイング関連の予算、ならびに生態系の保全への取り組みに反映されます。

地球の健康と人々の健康を破壊する連鎖を断ち切るには、一人一人が、地球と人々の健康にとってより良い選択をすることを支援あるいは奨励するような法的措置、企業改革、および社会環境が必要です。

WHOは、各国政府や一般の皆様が、地球と人々の健康を守り、ウェルビーイングを重んじる社会を推進するために取り組んでいることについて、広く共有するように呼びかけています。

また、WHO神戸センターでは、世界のより多くの人が災害や健康危機から守られるように、研究活動と情報発信を行っていきます。

兵庫県立長田高等学校でオンライン授業

WHO神戸センターの茅野龍馬医官は、2022年3月9日、兵庫県立長田高等学校の「総合的な探究の時間」でオンライン授業を行いました。

 

「グローバルヘルスとWHO 21世紀の保健課題とCOVID-19」というテーマで、高校生に向けて、新型コロナウイルス感染症の現状と対策、今後の展望に関して情報提供を行いました。

第27回日本災害医学会総会・学術集会で講演

2022年3月5日、WHO神戸センターの茅野龍馬医官が、第27回日本災害医学会総会・学術集会で、オンライン講演を行いました。

 

茅野医官は、「災害・健康危機管理のエビデンス向上 に向けたWHOの取り組み」というテーマで、WHO神戸センターが事務局を務める災害・健康危機管理に関するグローバルリサーチネットワーク(Health EDRM RN)や昨年発行した「災害・健康危機管理の研究手法に関するWHOガイダンス」の今後の展望について話しました。

WKCF2022_YouthMentalHealth

WKCフォーラム2022 コロナ禍における学校と生徒のメンタルヘルス 開催のご案内

WHO神戸センターと大阪大学ユネスコチェアは、「WKCフォーラム2022 コロナ禍における学校と生徒のメンタルヘルス」を下記のとおり開催します。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックとそれに伴う行動制限は、感染への不安やストレスなど、生徒のメンタルヘルスに大きな影響を及ぼしました。COVID-19が生徒に与えるそうした心理的影響を理解し、心理的負担を軽減するための適切な対策を講じることは、教育と医療の両方の観点から取り組む必要のある、緊急の課題です。

大阪大学ユネスコチェアと共同開催の本フォーラムでは、「コロナ禍における学校と生徒のメンタルヘルス」をテーマに、生徒の心理的負担に学校や医療はどのように対応するかについて、専門家と生徒で対話を行います。

[開催概要]

日時:2022年3月26日 10:00開会 12:00閉会

開催形式:オンライン開催

参加費:無料

配信方法:参加登録頂いた方へ接続URLをご案内いたします。
オンライン配信参加方法:こちらから事前にお申し込み下さい。(*先着順、最大200名まで)

言語: 日本語

 

[プログラム]

10:00–10:10 開会のご挨拶[ビデオメッセージ]

大阪大学ユネスコチェア チェアホルダー、大阪大学大学院人間科学研究科 教授 山本ベバリー・アン

WHO神戸センター (WKC) 所長 サラ・ルイーズ・バーバー

 

10:10–10:50     基調講演

「みんなで考えよう、コロナ時代のメンタルヘルス ー私の経験から考えるー」

国連広報センター (UNIC) 所長 根本かおる

 

10:50–11:50     パネルディスカッション

「コロナ禍における学校と生徒のメンタルヘルスの課題と展望」

大阪大学ユネスコチェア、大阪大学大学院 人間科学研究科 教授 山中浩司

京都大学大学院 医学研究科 教授 古川壽亮

英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン 医学部学生 島戸麻彩子

兵庫県立兵庫高校のみなさん

[進行]WHO神戸センター (WKC) 医官 茅野龍馬

 

11:50–12:00     総括と閉会のご挨拶

WHO神戸センター (WKC) 医官 茅野龍馬

※プログラムは一部変更になる可能性があります。

 

ご案内はこちらからダウンロード下さい。

主催:WHO健康開発総合研究センター (WHO神戸センター)

共催:WHO神戸センター協力委員会

協力:大阪大学ユネスコチェア

WHO欧州地域事務局のウクライナに関する声明(2022年2月22日)

コペンハーゲン 2022222

WHOは、他の国連機関、国連事務総長と共に、ウクライナ東部で深刻になりつつある危機的な状況に深い懸念を表明します。

健康の権利は人道的対応の中心であり、WHOウクライナ事務所は、国連ウクライナ常駐調整官事務所とともに、WHO欧州地域事務局と連携し、ウクライナ保健省と密に協同し、影響を受けている地域の人々のニーズを満たすための保健支援の提供を継続しています。

保健システムの保護は最も重要で、特にこのような困難を抱えた時期においては、必要不可欠な保健支援とサービスを適時に提供し、COVID-19の蔓延をコントロールし、ポリオの予防と対応を維持する必要があります。

人道的危機や紛争を含むあらゆる状況において、全ての人々の健康と幸福を確保することはWHOの任務と公約の中心となるものです。

HEDRM Guidance_記者説明会

記者説明会の実施:「災害対策と健康危機管理の研究手法向上に向けたWHOグローバルイニシアティブ」国内普及プロジェクト発足について

2022年2月28日午後3時から、WHO神戸センターは、関係者と共同で標題のプロジェクトについてのプレスリリース及び記者説明会を行いました。

保健医療領域の災害対策を発展させるべく、よりよい科学的エビデンスを創出するために、WHO神戸センターは世界中で100名を超す専門家と協力して、「災害・健康危機管理の研究手法に関するWHOガイダンス」を編纂し、2021年10月に発行しました。このガイダンスの使用と普及を進めるため、現在WHO神戸センターはEvidence Aidと協力してビデオレクチャーやポッドキャスト、ウェビナーなどの学習マテリアルを開発し、ウェブサイトで紹介しています。

日本の知見もこのガイダンスではその第1章等で紹介されており、日本からも多くの専門家に執筆のご協力をいただきました。2022年3月には日本語版の作成と国内での普及プロジェクトが開始します。協力をいただく各機関と連携して、プロジェクトの発足についてのオンライン記者会見をZoomで行いました。

記者会見では、ガイダンス執筆に大きな協力をいただいた東北大学および日本災害医学会の代表者の方々から、今後の災害医療、災害医学の発展へのたくさんの期待のコメントをいただきました。

 

詳細は下記よりダウンロードにてご覧いただけます。

【プロジェクトにご協力下さる機関・専門家の方の一覧は随時更新されます。最新の情報は下記[WHOガイダンス普及プロジェクト_協力一覧_更新.PDF]をダウンロード・ご参照ください。】

プレスリリース:災害対策と健康危機管理の研究手法向上に向けたWHOグローバルイニシアティブ 国内普及プロジェクト発足のお知らせ

[Press Release]

災害対策と健康危機管理の研究手法向上に向けたWHOグローバルイニシアティブ
国内普及プロジェクト発足のお知らせ 

【プロジェクトにご協力下さる機関・専門家の方の一覧は随時更新されます。最新の情報は下記[WHOガイダンス普及プロジェクト_協力一覧_更新.PDF]をダウンロード・ご参照ください。】

 

2021年10月、「災害・健康危機管理の研究手法に関するWHOガイダンス」が発行されました。本ガイダンスは、6章43節で構成される、保健医療領域の災害対策の研究手法についての世界初の包括的ガイドです。全世界から100名を超える専門家が執筆に参加し、防災先進国である日本からも多くの専門家が執筆に協力しました(目次・概要、編者・著者は、下記[ガイダンスDraft]を参照ください。)

本領域の研究を向上するべく、世界保健機関(WHO)は2022年より、本ガイダンスの使用と普及を進めるグローバルイニシアティブを実施します。この度、日本における普及プロジェクトを、執筆者を中心とした国内の専門家と協力して発足しましたので、ご報告いたします。

また3月3日から5日にかけて広島で開催される日本災害医学会の年次総会においても本プロジェクトについての発表を行います。

 

【国内普及プロジェクト概要】

■ 目的:「災害・健康危機管理の研究手法に関するWHOガイダンス」の研究、教育への使用を推進し、本領域の研究の質と量を向上する(発足の経緯と主旨については[別紙]1参照)

■ 主幹:WHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)

■ プロジェクト発足共同発表(50音順)

慶應大学 医学部 医療政策管理学教室
国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 
国立病院機構本部 DMAT事務局
国立保健医療科学院 健康危機管理研究部
東海大学 医学部
東北大学 災害科学国際研究所
東北大学 大学院医学系研究科
東北大学 東北メディカル・メガバンク機構
日本公衆衛生学会 災害・緊急時公衆衛生活動委員会
日本災害医学会
日本災害医学会 第27回日本災害医学会総会・学術集会
浜松医科大学 医学部
兵庫県こころのケアセンター
兵庫県立大学 地域ケア開発研究所
広島大学 大学院医系科学研究科 公衆衛生学プログラム
福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター

■ 本ガイダンスの原本

英語版:2021年10月発行 https://apps.who.int/iris/handle/10665/345591
日本語版:2022年10月完成予定

■ 普及プロジェクトの協力者:下記[別紙2]を参照ください。

 

【プロジェクト発足の経緯】(下記[別紙1]でもご覧いただけます)

自然災害や感染症流行等をはじめとした健康危機は、都市化や高齢化、グローバル化の中で、その数や被害が増加傾向にあり、その対策が持続可能な開発目標(SDGs)においても複数の分野にわたる世界の重要課題として取り組まれています。2015年に仙台で開催された第3回国連世界防災会議では、災害対策における保健医療の重要性が大きく取り上げられ、被災者の命や健康、暮らしを守ることが、成果文書である仙台防災枠組2015-2030では防災の目的のひとつとして明記されました。こうした文脈の中で、世界保健機関(WHO)は、災害対策における保健医療分野の政策や事業をよりよいものにするべく、災害医療や災害看護、公衆衛生や保健医療政策を包摂する「災害・健康危機管理(Health Emergency and Disaster Risk Management(Health EDRM))という概念を提唱して、関連する研究領域における世界の専門家と連携して、政策提言につながる科学的エビデンスの向上に取り組んでまいりました。

2018年には世界の研究者の協働連携を推進する「災害・健康危機管理に関するWHOグローバル・リサーチ・ネットワーク」を発足し、2019年にはそのはじめての代表者会議を兵庫県淡路市で開催して、世界各地域を代表する専門家を招集して本研究領域における主要研究課題を設定しました。こうした取り組みの中で繰り返し強調されたのが、現場の救援ニーズへの対応を第一とする災害対応の中で、どのようにして未来の対策に向けた情報収集や研究活動を行うかという方法論が定まっていないという課題でした。研究手法の標準化と改善は、本領域全体の研究の質と量を向上し、未来の対策をよりよいものにする基礎となりますが、そのためには世界全体の研究者の協働と連携、そして同意形成が不可欠になるため、世界全体での具体的な取り組みが実施できなかったのです。

この結果を受けて、グローバル・リサーチ・ネットワークの事務局を務めるWHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)は、世界を代表する100名超の専門家と協力して、本領域初となる「災害・健康危機管理の研究手法に関するWHOガイダンス」を、同領域における研究の計画、実施、報告までを解説する6章43節の包括的なガイドとして編纂し、2021年秋に発行しました。同ガイダンスでは、日本の災害対策の歴史と経験を世界の対策の参考にするべく、導入となる第1章において日本の対策活動の推移が紹介されました。この章では、阪神淡路大震災や東日本大震災の経験からうまれた医療、看護、公衆衛生、その他様々な領域での取り組みが事例として紹介され、執筆には、東北大学災害科学国際研究所、東北大学東北メディカル・メガバンク機構、国立保健医療科学院、国立災害医療センター、広島大学、兵庫県こころのケアセンター、国立精神神経医療研究センター、兵庫県立大学(執筆者紹介順)など、各分野を代表する研究機関の専門家が携わりました。

研究手法のガイドがはじめて発行されたことを受けて、WHOは、世界における研究活動のさらなる発展を進めるべく、今回、研究教育機関や現場における本ガイダンスの使用と普及とを進めるグローバルイニシアティブを実施します。日本においても、執筆に携わった専門家および、災害医療や災害看護、公衆衛生をはじめとした災害対策や健康危機管理に関わる様々な専門家と協力して、本ガイダンスの和訳と国内での普及活動を進めます。普及活動においては、いくつかの章のオーディオポッドキャスト、ビデオレクチャーの公開や、ウェビナーの開催などが計画されています。

このプレスリリースは、今後の日本におけるさらなる研究活動の推進を目指し、今月広島において日本災害医学会の年次総会が開催される機会をとらまえて、この国内普及プロジェクトの発足を、参画する専門家と連名で報告するものです。