News Archive by Year

2021

高齢者によるヘルスケアへのアクセスの公平性評価に関する重要概念

各国がユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を進展させるには、医療制度がどれほど機能しているかを定期的に測定およびモニタリングすることが不可欠です。しかし現行のUHCのグローバル・モニタリングにおいては、高齢者の医療ニーズが十分に考慮されていないため、高齢者が取り残されてしまう可能性があります。

WHO神戸センターは、2020年4月から2021年5月にかけて、シェフィールド大学、リバプール大学、大阪大学の研究者とともに、高齢者にかかわるヘルスケアのアクセスとカバレッジの公平性をどのように測定すべきかを把握するためのスコーピングレビューを実施しました。

調査結果からは、ヘルスケアへのアクセスの公平性を評価する際には、特に高齢者の複雑なケア・ニーズ、意思決定能力、および保健医療施設の利用のしやすさなどを考慮する重要性が示されました。医療や介護に関して国民皆保険制度が確立されている日本においてさえも、高齢者が必要とするサービスの有用性に地域差があるなど、公平性に関わる問題が明らかになりました。

スコーピングレビューではまた、ヘルスケア・サービスの有用性、価格(患者の医療費負担)、質など、現在のUHCモニタリング・フレームワークと共通するいくつかの概念が明らかになりました。これらの概念の測定に使用すべき指標についてはコンセンサスがないため、各国はその地域に適した指標を選び、高齢者にかかわるヘルスケアのアクセスとカバレッジの公平性評価をUHCモニタリングに組み込むことができます。

主な調査結果をまとめたエビデンス・サマリーの日本語訳は、こちらからご覧ください。

この研究プロジェクトの詳細については、こちらをご覧ください。

阪神ブロック給食施設協議会・研究会合同研修会で講演

WHO神戸センターの茅野龍馬医官は2021年10月1日、阪神ブロック給食施設協議会・研究会第38回合同研究会でオンライン講演を行いました。茅野医官は「世界における新型コロナウイルス感染症の 現状と対策、および地域における実践」というテーマで、新型コロナウイルス感染症の現状や今後の課題などについて概説しました。

関西地域の高齢者における経済的困難と医療受診への影響に関する研究を開始

日本には、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の基本原則である、高額の医療費による経済的困難からの保護を国民に保障するための様々な政策や制度があります。関西地域は生活保護を受給する世帯の割合が比較的高く、その多くは高齢者のいる世帯です。一方で、経済的困難が理由で必要な医療を受けられない、あるいは受診を中断せざるを得ない高齢者の状況についてはあまり知られていません。

WHO神戸センターは、2021年10月1日、京都大学大学院医学研究科 医療経済学分野の研究者と共同で、長期・慢性期医療を含む医療にかかる費用の支払いにおいて、関西地域の高齢者がどのような困難に直面するのかを調査する新しいプロジェクトを開始しました。この研究では、高齢者が必要な医療を受けられていない状況とその理由を明らかにする予定です。

関西地域の6府県の病院、自治体、および地域の社会福祉関連機関に勤める医療ソーシャルワーカーを含めた医療福祉担当者に郵送調査と追跡インタビューを行い、関西地域の高齢者に対してより有効に活用できる経済支援制度の特定と、関連制度の改善に向けた提言を行います。この研究により、関西地域において保健医療サービスを利用する高齢者の、経済的保護の強化に寄与することが期待されます。

本プロジェクトの詳細は、こちらをご覧ください。

兵庫県立大学主催の日中共同セミナーで講演

WHO神戸センターの茅野龍馬医官は2021年9月27日、「パンデミック時に地域に住む高齢者とその家族を支援する:科学技術による高齢患者、家族、医療従事者の関係の強化」をテーマにオンラインで開催された日中共同セミナーで講演を行いました。

 

本セミナーは、パンデミック時に高齢者とその家族を対象とした地域密着型のヘルスケアを実践するための革新的な管理モデルと技術に関しての知見の共有を目的に開催されました。 茅野医官は「COVID-19 and Older Adults: Challenges in health science」と題した講演を行い、新型コロナウイルス感染症の現状や今後の課題などについて概説しました。

高齢者ケアを発展させるための専門職連携教育のオンライン研究会議に登壇

高齢者のニーズを満たす質の高い適切な医療を提供するには、医療従事者における専門職連携教育が重要な役割を果たすと考えられます。2021年9月17日、専門職連携教育に関する研究会議がオンラインで開催され、WHO神戸センター、東京医科歯科大学、フィリピン大学マニラ校、ベトナムのフエ医科薬科大学の各研究者が国内外に向けて研究成果を発表しました。本会議は、本研究プロジェクトの共同研究代表であり東京医科歯科大学で国際保健医療事業開発学を指導する中村桂子教授が主催し、9か国から40名以上が参加しました。

各研究発表では、複数年および複数の国にまたがった本研究から得られたさまざまな調査結果が紹介されました。WHO神戸センターからはローゼンバーグ恵美技官が登壇し、世界的な人口高齢化の傾向、およびそのような状況を踏まえたユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進に関するWHO神戸センターの研究プログラムの概要などを説明しました。WHO神戸センターは2018-20年、フィリピンの保健医療従事者向けの専門職連携教育プログラムの開発と評価を目的とした研究プロジェクトを実施し、この教育プログラムはベトナムやその他の低・中所得国にも適応されることが期待されています。

ローゼンバーグ技官は、低・中所得国の保健医療政策に高齢化対策を取り入れてもらうにはどうしたらよいかという視聴者からの質問に対し、急速な人口高齢化を考慮した医療制度の強化・改善に投資する緊急の必要性と、それらの投資による市民や社会への還元について、政策立案者を納得させることができる研究エビデンスを生み出して行くことが重要であると強調しました。

神戸市立葺合高等学校へのオンライン授業

神戸市立葺合高等学校は2019年4月より、全国に10ある文部科学省のWWL(ワールド・ワイド・ラーニングコンソーシアム構築支援事業)の拠点校として指定されています。地球規模の課題についての視野を広げるための同校のプログラムの一環として2021年9月16日、100 名を超える国際科の生徒を対象にWHO神戸センターのサラ・ルイーズ・バーバー所長がオンライン講演を行いました。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジについてのプレゼンテーションを行った後、質疑応答では新型コロナウイルス感染症やワクチン接種のメリットなどに関する活発な議論が交わされました。

グローバルヘルス高校生サミット開催のお知らせ

2021年10月25日(月)~29日(金)に、世界保健機関(WHO)の第72回西太平洋地域委員会が兵庫県の姫路市で開催されます。日本を含むアジア太平洋地域の各国から保健医療の代表者が集まり、地域の保健医療政策等について議論します。これに合わせてWHO神戸センターは、姫路市、兵庫県と協力し、地元の高校生がグローバルヘルスについて考え、学び、発表する「グローバルヘルス高校生サミット」を10月30日に開催いたします。

フォーラムのテーマは「コロナ禍における学校での健康行動」です。新型コロナウイルス感染症は、全世界で政治経済、地域社会に大きな影響を与えています。学校もその例外ではなく、パンデミックにおける学校や若年層の保健課題が明らかになっています。本サミットでは兵庫県姫路市を中心に関西圏の7つの高校の有志チームが「学校と生徒のメンタルヘルス」「学校でのCOVID-19対策」「若年層のヘルス・コミュニケーション」「家庭内隔離による生徒の社会問題」の4つのテーマについて、関西圏の国公立大学の専門家アドバイザーに指導を受けながら、自ら課題を研究し、専門家や一般の聴衆、学生たちに向けて発表します。サミットの最後にはそれぞれの発表内容を「姫路高校生宣言」としてまとめ、姫路市や兵庫県、WHO西太平洋地域の代表者に提出して、高校生の声を姫路から地域、世界に届ける予定です。本サミットを通じて、現在の危機を乗り越え、未来の危機に備えるために、若年層を含むすべての人が当事者意識をもって問題に取り組むための後押しとなることが期待されます。

【フォーラム概要】

■日時:令和3年10月30日(土)10:00~12:30 *プログラムの詳細に関しては近日中に公開予定

■会場:アクリエひめじ ( URL: https://www.himeji-ccc.jp/ ) *オンラインでの同時配信予定

■お申込み方法:下記URLより、お申し込みいただけます。 *先着順、最大200名まで

https://ez-entry.jp/wkcforum2021/entry/

■主催:WHO健康開発総合研究センター (WHO神戸センター)

 


【本プレスリリース・取材に関する問合せ先】

WHO健康開発総合研究センター (WHO神戸センター)

担当: 茅野

E-mail:wkcforum_press@issjp.com TEL: 078-230-3100 

【プログラム、フォーラム全般に関する問合せ先】

WHO健康開発総合研究センター (WHO神戸センター)

担当: 茅野

E-mail:wkcforum_info@issbiz.jp 

※現在WHO神戸センターでは、新型コロナウイルス感染拡大に伴い在宅勤務を実施しております。そのため、電話でのお問い合わせには対応できない場合がございます。ご連絡の際はメールでのご連絡をお願いいたします。ご迷惑をおかけしますが、予めご理解くださいますようお願い申し上げます。

第二回 都心三宮における感染症に強い空間ガイドライン等検討会に参加

2021年9月3日、神戸市が主催する「第二回都心三宮における感染症に強い空間ガイドライン等検討会」に、WHO神戸センターの茅野龍馬医官が委員として参加しました。本検討会はウィズコロナ・ポストコロナを見据え、都市空間の役割・機能等の変化に適切かつ柔軟に対応し、「都心・三宮再整備」を着実に推進することを目的に開催されています。今回は7月に開催された第一回に続き、二回目の開催となりました。第二回検討会の資料はこちらからご参照いただけます。

国際防災・人道支援協議会(DRA)活動報告会で講演

WHO神戸センターの茅野龍馬医官は2021年9月3日、「私たちはコロナにどう向き合うのか」をテーマにオンラインで開催された、国際防災・人道支援協議会(DRA)活動報告会で講演を行いました。茅野医官は、「新型コロナウイルス感染症流行下における災害と保健医療」をテーマに、新型コロナウイルス感染症の現状や今後の課題などについて概説しました。講演の最後には新型コロナウイルス対策に関するWHOのメッセージについて触れ、感染対策を徹底する重要性を強調しました。

 

報告会の資料はこちらからご参照いただけます。

神戸大学大学院保健学研究科サマープログラムで講演

WHO神戸センターの茅野龍馬医官は2021年9月3日、神戸大学大学院保健学研究科の大学院生を対象に開催された2021 International Course for Health Sciences Summer Educational Programでオンライン講演を行いました。茅野医官は「WHOとグローバルヘルス:変遷するニーズとCOVID-19の影響」というテーマで、新型コロナウイルス感染症の世界的流行への対応を事例に用いながら、WHOの役割や機能について紹介しました。また、国際保健の主要な歴史と今後の展望について概説しました。

 

プログラムの詳細はこちらからご参照いただけます。