2015

エイジフレンドリーシティ評価:コア指標に関するガイド

WHO神戸センターはこのたびエイジフレンドリーシティの評価に用いるコア指標に関する新しいガイドを発表しました。英語の原版をはじめ、中国語、フランス語、スペイン語の各翻訳版を同時出版。

今回新たに発表したガイドは、すべての都市やコミュニティがエイジフレンドリーな環境を創出、管理し、そのインパクトに関するエビデンスを構築するために必要なガイダンスとインスピレーションを提供しています。

Measuring the Age-friendliness of Cities: A Guide to Using Core Indicators(エイジフレンドリーシティ評価:コア指標に関するガイド)

第2回WHOグローバルフォーラム:高齢者のためのイノベーション(2015年10月7日~9日 神戸) レポート

WHO神戸センター(WKC)は、「 第2回WHOグローバルフォーラム: 高齢者のためのイノベーション」のレポートを発表しました。今回のフォーラムは、高齢者とイノベーションに関する保健や社会に関する進行中の問題や新課題について、情報共有、協議、さらには新たな思考を引き出すことを目的にWKCが2013年に構築したプラットフォームを基盤に開催されました。「 Imagine Tomorrow - 明日を見据えて」をテーマに、人口の高齢化が進む世界各国の制度や地域社会、技術の変革について討議が行われ、その成果は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にあたり時宜を得た内容となりました。

背景

初回フォーラムから約2年を経た2015年10月7日~9日、WHO神戸センターは、「第2回WHOグローバルフォーラム:高齢者のためのイノベーション」を神戸にて開催しました。24カ国から212名が参加、人口の高齢化が進む世界各国における制度やコミュニティ、技術の変容についての展望、討議が行われました。3日間にわたるフォーラムでは、政策立案者、行政、学界、研究機関からの出席者、資金提供者、公衆衛生の専門家、市民社会や民間セクターのイノベーター、そして、当事者たる高齢者など、幅広い方面から参集した関係者が、世界の高齢者に資する社会的・技術的イノベーションに着目、その向上を目指すための協議を繰り広げました。

 

​また、今回のフォーラムのテーマ、「Imagine Tomorrow – 明日を見据える」に沿って、実践的な知識やWHOの最新データについて発表、報告が行われたほか、健康な高齢化のためのイノベーションを念頭に、高齢者の健康及び身体的・精神的福利に関心を寄せる多様な関係者のネットワークによる交流の場が創出されました。

 

成果

「Imagine Tomorrow – 明日を見据える」と題した「第2回WHOグローバルフォーラム:高齢者のためのイノベーション」のレポート(スタティック・インタラクティブの2版)は、フォーラム会期中、現況を省みつつ望ましい将来への道筋を模索する中で協議検討された見解、提案、経験、葛藤などをとりまとめたものです。目指すべくは、高齢者がそれぞれの暮らすコミュニティの中で年齢を重ね、一般社会への参加を継続し、社会での役割を担い続けることが叶うようにするための、ひと主体かつ 統合的な医療・サポート制度の実現です。イノベーションの理念のもと、本グローバルフォーラムでは、参加者が互いにつながりを築き対話を持つためのプラットフォームを提供、これにより、世界の優先課題であるさまざまな環境に暮らす高齢者の生活の向上に寄与する解決策を共有する機会が生まれました。

レポートは、機会の制限につながる高齢者に対する既成概念の打破、エイジング・イン・プレイス*(*高齢者が住み慣れた地域で生きがいや尊厳を保ち、活動的で有意義な人生を送るライフスタイル・コンセプト)に関する実話、エイジング・イン・プレイス実現のための「5つの“P”」などを取り上げるとともに、医療サービス・ケアを誰もがどこでも確実に利用可能にすることの必要性が繰り返し強調されました。本レポートは、討議内容に加え、グローバルフォーラムが提供したイノベーティブかつ参加型の形式をインタラクティブかつ対話式アプローチで描写することを通じて、高齢者を囲んだ一連の対話として綴ったものです。

 

今後の展望

「第2回WHOグローバルフォーラム:高齢者のためのイノベーション」は、持続可能な開発目標 2016~2030年、及び、WHO「高齢化と健康に関するワールド・レポート」(WHO, 2015) の発表からほどなくの開催となりました。地域社会に暮らす高齢者にできる限り寄り添った形で、今後いかに、保健制度が、また保健セクターと他の社会セクターが、協調して医療・ケアサービスを提供できるよう変革が可能か。本フォーラムは、この課題への継続的な取り組みについて掘り下げる契機となりました。今求められているのは具体策です。

WHOならびにWHO神戸センターは、本レポートに盛り込まれた情報や教訓、研究成果、洞察や疑問などを共有することを通して、「明日を創る」ため、高齢者に寄与する社会的・技術的イノベーションの向上を目指します。

Urban HEART ワークショップを開催 南アフリカ スワジランド王国にて

WHO神戸センターは南アフリカのスワジランド王国、Ezulwiniにて10月14日から16日にかけてWHOアフリカ地域7カ国の代表者とともにUrban HEART(アーバンハート=都市における健康の公平性評価・対応ツール)活用の進捗状況を評価し、先進例を共有するためのワークショップを開催しました。

参加国は開催国のスワジランド王国、アルジェリア、ブルネイ、マリ、マラウイ、ウガンダ、ジンバブエで、都市化が進む地域における健康格差を是正するためにアーバンハートをさらに有効に活用するためのガイダンスや支援を行いました。併せて、スワジランド王国のMatsapha地区におけるアーバンハートを活用した介入例の見学も実施しました。

ASEAN日本社会保障ハイレベル会合「災害から人、くらし、みらいを守る」

「災害から人、くらし、みらいを守る」

10月20日から22日まで神戸で開催された「ASEAN日本ハイレベル社会保障会合」に、WHO神戸センターはWHO本部とWHO西太平洋地域事務局、南東アジア地域事務局との連携の元、出席。会議には東南アジア諸国連合10カ国と日中韓(ASEAN+3)の行政官と WHO、ILO(国際労働機関)、アジア開発銀行、JICA、人と防災未来センターなどが参加しました。

この会合は2003年以来、厚生労働省が主催しASEAN+3(日中韓)を支持する実践的な協議の場となっています。2015年のテーマ「災害から人、くらし、みらいを守る」の元、アレックス・ロス所長がプレゼンテーション「健康危機に対するWHO枠組みと戦略」を行い、災害時の医療の備えについてのパネルディスカッションの進行を務めました。また、同センターからは健康危機管理官の茅野龍馬、医官のジョスタシオ・ラピタンも出席しました。

この会合の総括として下記の提言がまとめられました。 a) 保健と社会、福祉と雇用が協調した被災者支援 b) 特に女性、子供、高齢者や障害者、(アジア地域の)先住民や移民など、立場の弱い人たちのための支援 c)「仙台防災枠組2015-2030」、国際保健規則、SDG(持続可能な開発目標)などのグローバルアジェンダの実施 d)あらゆる災害に対して、機能する保健システムの確保 e) 保健、福祉、労働、防災などの他部門連携

これらの提言を実行することで、ASEAN諸国があらゆる災害に一丸となって対応する「One ASEAN, One Response」を目指す考えです。

関連リンク:

WHO「高齢化と健康に関するワールド・レポート」発表 “healthy ageing(健康な高齢化)”に新しいビジョンを

~“healthy ageing(健康な高齢化)”に新しいビジョンを~

国際高齢者デー(10月1日)にWHOは初めての「高齢化と健康に関するワールド・レポート」を発表しました。人類史上初めて多くの人が60歳以上の寿命を期待できるようになった昨今、現代の高齢者は一世代前の高齢者より良好な健康状態で老後を暮らしていると考える人が多いかもしれませんが、実際はそのエビデンスはほとんどありません。保健システムや介護システムの変革が求められているのです。

60歳にいたるまでに人間は聴力や視力、移動能力など、いろいろな身体能力の喪失や低下を経験します。それに加えて高齢者は複数の慢性疾患(心臓病、脳卒中、慢性呼吸疾患、癌、認知症など)を抱えるリスクが高いとされてます。

本レポートでは“healthy ageing(健康な高齢化)”とは、決して「病気ではない」状態ではなく、高齢者の幸福や住み慣れた環境での機能性に注視しています。また、保健システムや社会システムの抜本的な改革や、社会がどのように高齢者をとらえ、支えていくべきかについても言及しています。また急性期治療を減らし、高齢者が高い機能的能力を維持しながら生きられるように、長期介護のシステムの策定に取り組む必要性について訴えています。

これらを実現し、高齢者が長く社会に貢献していくためには、医療関係者のみならず住宅、交通、雇用、財政などに関わる行政当局を巻き込んだ形での意思決定を行い、高齢者にやさしい街づくりを推進していく必要があると本レポートは提言しています。

イノベーションこそが社会や制度の変革の礎となります。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を実現することで高齢者の健康と、高齢者を支える仕組みづくりを叶えることができると考えます。WHO神戸センターは新長期計画の元、「UHC」「イノベーション」「高齢化」を新しい研究課題に据え、高齢者のニーズに合致した制度、統合的な保健システム、社会ケアシステムの実現のための社会的イノベーション、制度的イノベーション、技術的イノベーションについて研究を進めていきます。

WKCの低・中所得国6カ国の高齢者向け福祉器具に関するシステマティック・レビュー、BMJに掲載

WHO神戸センターは今後65歳以上の人口の増加が見込まれる低・中所得国6カ国(ブラジル、カンボジア、エジプト、インド、トルコ、ジンバブエ)における高齢者向け福祉器具の入手状況や法整備状況に関するシステマティック・レビューを実施しました。このたび、その論文がthe British Medical Journal Innovations (BMJ)に掲載されました。

本システマティック・レビューは、高齢者の機能障がい・能力障がいをサポートする福祉器具については、ある程度の入手状況が示されたものの、機能障がい・能力障がいが起きないように予防する機器へのアクセスは限定的であることを指摘しています。そして、状況の改善は、包括的な保健・社会システム型アプローチが求められるとしています。

この研究はWHO神戸センターの新しい研究アジェンダ「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、イノベーションと高齢化」に位置づけられます。

エイジフレンドリーシティ指標に関するパイロット・スタディに協力した地域の代表者会議

WHO神戸センターは、エイジフレンドリーシティ指標の測定可能性を検討するために、世界の15地域においてパイロット・スタディを実施しました。
これら12カ国にわたる15地域は、それぞれの状況に即しながら、物理環境のアクセシビリティ、社会環境のインクルーシブネス(包摂性)、生活の質へのインパクト、そして公平性に関する指標の測定に全力を挙げました。
その後、各参加地域の代表者がWHOジュネーブ本部に集まり、2015年6月10日から11日にかけて、これらの指標の適用可能性や、指標ガイドの完成に向けて考慮すべき点などについて協議を行いました。

会議報告書(英語)

世界人道デー ~人道支援に携わる医療従事者に「ありがとう」を~

世界人道デーは、紛争や感染症、自然災害などの危険と隣り合わせになりながらも、人道支援に携わる支援者たちに思いを寄せ、世界中の支援活動を讃える日です。2003年8月19日、イラクで人道支援等を担っていた国連事務所が攻撃され、当時の国連事務総長イラク特別代表セルジオ・ビエイラ・デメロ氏をはじめ22名のスタッフが亡くなり、100名以上が負傷するという痛ましい事件が起こりました。そしてこの事件とその犠牲者を記憶に留めるため、それから5年後の2008年、この日を「世界人道デー」とすることが国連総会で定められました。

今年の世界人道デーにおける、WHOのテーマは「人道支援に携わる医療従事者への感謝」です。この日を記念して、WHOは紛争や自然災害、新興感染症などに対し、苦境の中、医療支援を続ける医療従事者をテーマにしたキャンペーンを行います。

WHO神戸センターもこのキャンペーンに加わり、世界中の人道支援に携わる医療従事者を讃えます。 「健康は全人類の基本的権利のひとつである」というWHO憲章の宣言を、身をもって体現しているのが、彼ら人道支援に携わる医療従事者です。人種、肌の色、国籍に関わらず、自身の安全や生活よりも優先して他者のために働く、その最前線に彼らはいます。エボラが流行したギニア、リベリア、シエラレオネでは、今年7月5日までに、875名の医療従事者の感染が報告されました。そしてその半数以上、509名が亡くなっています。また、危険と隣り合わせなのは、エボラだけではありません。去年1年間だけで、緊急の人道支援に携わっていた603名の医療従事者が襲撃等により命を奪われ、958名が負傷しています(32カ国合計)。

医療従事者が人道支援に携わる場合、その多くが、極めて厳しい設備、環境で行われます。今年3月に採択された「仙台防災枠組」では、健康危機に焦点が当てられ、健康危機管理のためのアクションが30以上も記載されました。また、2016年には「人道」をテーマとした世界初のサミット「世界人道サミット」がトルコのイスタンブールで開催されます。このサミットを通じて、人道危機を解決するための世界中の知恵が結集することでしょう。WHOとWHO神戸センターは様々な側面から、世界の国々に対して支援を行っています。

-- WHO人道支援アクション(英語)
-- WHO西太平洋事務局 危機と人道支援アクション(英語)

WHO神戸センターは、無私の精神で医療支援に携わる日本の医療機関、医療従事者を讃えます。災害時の看護を専門とする唯一のWHOコラボレーティングセンターである兵庫県立大学地域ケア開発研究所は、自然災害の多いアジア地域において、被災者への医療支援を充実させるべく、高知県立大学、東京医科歯科大学、千葉大学、日本赤十字看護大学と共に、日本で初めての国公私立共同大学院、「災害看護グローバルリーダー養成プログラム」を立ち上げ、災害に対する革新的な大学院教育が行われています。

共感をいただける方は、「ありがとう!」のメッセージを、ツイッター #ThanksHealthHeroまでお送りください。

    ※紹介
    世界人道デーは、国連総会決議に基づき、OCHAをはじめ国連機関やそのパートナー団体等が中心となって展開されているキャンペーンです。
    日本でのイベントは、OCHA駐日事務所のある神戸市で、写真展や記念イベントが行われます。また、この期間に合わせて、神戸の街がライトアップされます!#ShareHumanity #WHD2015

    関連リンク:

    高齢者のための地域における取り組みに関する新たなモデルの検証 – 専門家会議 2015年7月14日~15日

    一般的に保健や社会的ケアに関する主たるサポートは身近かな家族により提供されてきました。しかしながら、こういった考え方は、近年の人口増加や都市化、世帯構成の変化によりその継承継続が困難になっています。人口統計学的、また、社会的な面での急激な変化と併せて、高齢者ケア・サポートへのニーズが著しく高まる現状を受けて、WHO神戸センター(WKC)では、2014年、低・中所得国(LMICs)における地域密着型ケアに関するケーススタディに着手しました。

    WKCは2015年7月14日~15日の2日間にわたり神戸にて会議を開催、オーストラリア、カナダ、インド、イタリア、ポーランド、南アフリカ、ウガンダ、ベトナムから出席した8名の専門家がWKCの担当官とともに、先に取りまとめられたのケーススタディで報告された取り組みについて協議、検討を行いました。

    この度の専門家会議から得られた成果は、本テーマにおける研究の次なる局面として、中・高所得国におけるさまざまな取り組みの展開を促すことが期待されます。本研究の最終的な目標は、ひと本位の、また、統合型の保健・社会的ケアを目指す、高齢者のための地域密着型のケアモデルの実践に向けた基本指針を導き出すことにあります。

    詳しくはこちら - 英語版

    「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に焦点を当てる」報告書発表 - WHOと世界銀行グループ

    WHOと世界銀行グループは「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に焦点を当てる:第一回グローバル・モニタリング報告書」を発表しました。それによると、世界で少なくとも4億人の人々が基礎的な医療サービスへのアクセスが十分ではなく、低・中所得国の6%の人々が医療支出により更なる貧困に追いやられている現状があります。

    この報告書は、経済的保護を含めたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)実現のために、各国がそれぞれのUHCの進捗をモニターすることを目的として作成されました。UHCの実現はポスト2015年開発アジェンダのひとつです。

    UHCは世界中の誰もが、人々が必要とする質の高い保健医療サービスを受けられることを意味するもので、各国が積極的に取り組みを開始すると、かならずや進捗管理という問題にも取り組んでいくことになります。

    この報告書は毎年発行するアニュアル・レポートの第1冊で、今後WHOと世界銀行グループは進捗状況を毎年発表していく予定です。(ロックフェラー財団、厚生労働省が協力)

    今回の報告書では基本的な保健医療サービス(家族計画、産前ケア、助産専門技能者介助による出産、小児予防接種、抗レトロウイルス療法、結核(TB)治療、安全な水や衛生施設へのアクセス)について検討しましたが、2013年には世界で少なくとも4億人の人々が、これらの基礎的な医療サービスへのアクセスが十分ではないことがわかりました。

    また、低・中所得国の37か国において、6%の人々が医療支出によって更なる貧困に追いやられている現状(1日あたり1.25米ドル以下)にあることも明らかになりました。また、1日あたり2米ドル以下の水準で検討すると17%になります。

    WHOと世界銀行グループは経済的保護を含め、各国がUHCを実現することによって、最低でも80%の人びとがこれらの基本的な保健医療サービスへのアクセスを確保することを目標として設置するように提案しています。

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