News Archive by Year

2021

WHO神戸センター諮問委員会の年次会合を開催

WHO神戸センターの諮問委員会は11月11、12日に第25回年次会合を開催し、当センターがユニバーサル・ヘルス・カバレッジおよび災害・健康危機管理の研究分野で素晴らしい成果を挙げ、また地元への貢献で大きく前進したことを称賛しました。

WHO諮問委員会はWHO事務局長の指名により、WHOの6地域、日本政府、地元地域、およびWHO神戸センターに支援を提供している神戸グループ1の各代表者から構成されています。

今年は新たに、神戸グループ代表として片山安孝兵庫県副知事、日本政府からは厚生労働省大臣官房国際保健福祉交渉官の井上肇氏、また地元地域を代表して兵庫県立大学副学長の坂下玲子教授の3名を諮問委員会に迎えました。

齋藤元彦兵庫県知事は、WHO神戸センターが新型コロナウイルス感染症に関するエビデンスに基づく情報を兵庫県や地域に様々なかたちで提供していることに謝意を述べました。さらに日本では医療や介護、年金などの社会制度の改革は急務となっていることから、当センターが高齢化や認知症に取り組んでいることを心強く思っていると述べました。

厚生労働省の井上氏は、これまで25年以上にわたりWHO神戸センターの活動に対する支援を行ってきた神戸グループをはじめとする諸関係者への深い感謝の意を述べました。また、厚生労働省がWHO神戸センターの今後の活動を引き続き支援していくことも表明されました。

タイ王国保健省国際保健政策計画財団事務局長のヴィロージ・タンチャロエンサティエン氏は、「WHO神戸センターの活動は、第13次総合事業計画(GPW13)に非常によく沿っており、WHO本部と各地域事務局、特に欧州および西太平洋地域事務局との協働を強固にしています」と述べました。

そうした共同研究の一つとして、WHO神戸センターは欧州保健制度政策観測所とともに、実用的かつ革新的なツールであるPASH(保健医療制度における高齢化と財政的持続可能性のギャップ)シミュレーターを開発しています。

クウェートのダイレクト・エイド・インターナショナル 高等教育シニアアドバイザーのマジェッド・アルシャルビニー教授は「人口高齢化に伴う変化により、保健医療費とその財源がどのように変化しうるかを政策立案者に示すことのできるPASHシミュレーターは、非常に素晴らしいです。これにより、人口高齢化が保健医療の財源確保にどう影響するかは政策上の選択であるという知見が裏付けられます。このメッセージを政策立案者にはっきりと伝えていけるといいでしょう」と述べました。

諮問委員会はまた、WHO神戸センターが地元地域に向けて行っている海外感染症流行情報の翻訳や、地域住民に役立つ情報の共有、新型コロナウイルス感染症に関する地域委員会への参加などの貢献に感謝の意を表しました。

WHO神戸センターが地元貢献の一環として開催している「WKCフォーラム」にも触れ、WHO西太平洋地域委員会の関連行事として姫路にて開催された高校生サミットを特に評価しました。高校生による世界の健康問題や新型コロナウイルス感染症に関するプレゼンテーションに続き、地元専門家の指導と協力の下「姫路高校生宣言」を発表した本フォーラムは、WHO神戸センターの認知度を高め、次代を担う保健医療人材や、国際感覚を持った青少年の育成につながる非常にいい機会となったと述べました。

諮問委員会の助言を受け、WHO神戸センターは引き続き研究分野および地域貢献の両面で、WHO内外のステークホルダーと協働する機会を増やせるよう努めていきます。

 

(1)  神戸グループは、兵庫県、神戸市、神戸商工会議所、株式会社神戸製鋼で構成されています。

2021年ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ・デーに寄せて WHO神戸センター所長のメッセージ

12月12日のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)デーを記念し、強力かつ公平で、レジリエントな保健医療制度やUHCの必要性に対する啓発活動が世界中で行われます。UHCとは、すべての地域のすべての人が、経済的な困難を伴うことなく、必要とする質の高い保健医療サービスを利用できるように促す考え方です。

今年のUHCデーのテーマは「誰の健康課題も取り残さない:みんなのための保健システムに投資を」。WHO神戸センターの研究の多くはこの目標に焦点を合わせており、各国で急速な人口高齢化が進む中でも高齢者が取り残されることのないように、保健医療制度の資金調達および保健医療サービスへのアクセス確保に関する政策立案に資するエビデンスを提供しています。

WHOと世界銀行による「保健医療分野における経済的保護に関するグローバル・モニタリング・レポート2021」には、WHO神戸センターの提案を反映するかたちで高齢者の保健医療に関わる経済的困難を示すデータが含まれ、UHCの進捗評価において高齢者のニーズが考慮されるようになりました。具体的には、WHO神戸センターの研究で得られた56カ国のデータのメタ分析にもとづき、およそ10人に1人が主に経済的な理由から受診を控えていることを明らかにした研究結果が掲載されました。この研究では、受診を控える高齢者の割合が、より若い年齢層の成人に比べて2倍近くになることも分かりました。

同レポートに紹介された、ベトナムで実施されたWHO神戸センターの別の研究では、高齢者は保険があっても病気やけがの治療に医療を受診せず、何もしないあるいは受診せずに市販薬を服用する人が多いことが明らかになりました。保健医療の利用による経済的な負担は、慢性疾患のある高齢者がいる世帯で最も大きくなっている点も示唆されました。

さらにWHO神戸センターは地域貢献事業の一環として、関西地域の高齢者が必要とする保健医療を受けられていない状況を把握するための研究を、地元の研究者も交えて行っています。高齢者における保健医療費の支払いに関する課題を把握することで、関西地域の高齢者の経済的保護の推進に寄与し、ひいては他の国や地域にも役立つ知見の提供を目指しています。またこの場を借りて、今年のUHCデーに寄せて応援メッセージを送って下さった日本の研究者の方々に感謝申し上げます。

UHCの推進には、より健康的で公平な世界にするために共に協力して取り組むことが欠かせません。WHO神戸センターは、高齢者を含むすべての人のニーズに対応する保健医療制度に賢い投資を行うよう、各国や各分野のリーダー、政策立案者、そして一般の皆様に呼びかけます。

 

WHO神戸センター所長

サラ・ルイーズ・バーバー

泉佐野市議会の議員研修会で講演

WHO神戸センターの茅野龍馬医官は2021年12月1日、泉佐野市議会の議員研修会でオンライン講演を行いました。茅野医官は、「How we respond under COVID-19 pandemic」をテーマに、新型コロナウイルス感染症の現状や今後の課題などについて説明を行いました。さらに、地域における感染症対策の重要性を強調し「Be safe, Be smart, Be kind」のメッセージを伝えると共に、地域での感染症対策の要点を説明しました。講演には多くの市議会議員の方々にご参加いただき、地域医療での感染症対策の重要性を再確認し、地域の感染対策に貢献しました。

長崎大学熱帯医学グローバルヘルス研究科で講義を実施

2021年11月29日、長崎大学熱帯医学グローバルヘルス研究科修士課程科目「Global Health」において、WHO神戸センターの茅野医官がオンラインにて講義を行いました。

 

講義では、はじめに新型コロナウイルス感染症の世界的流行への対応を事例に用いながら、WHOの役割や機能について紹介しました。さらに後半では、WHOが推進するユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)や、WHO神戸センターが取り組む災害・健康危機管理に関するグローバルリサーチネットワーク(Health EDRM RN)事業について解説しました。

大阪医科薬科大学の学生にオンライン講義を実施

WHO神戸センターのローゼンバーグ恵美技官は11月22日、大阪医科薬科大学の学生約100名に向けて、国際保健におけるWHOの役割とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)への取り組みに関する講義を行いました。今年で5回目となる本講義は、昨年に引き続き今年もパンデミックの影響でリモートでの実施となりました。ローゼンバーグ技官はWHOの組織概要をはじめ、2000年頃を境に多様化が進んだ国際保健分野におけるWHOの役割の変遷などについて解説。また新型コロナウイルス感染症の事例を用いながら、国際保健規則(2005)をはじめ、WHOが主導するパンデミックへの国際的な対応の数々を紹介しました。一方、新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種率において世界各国の間で著しい格差が認められるなか、日常的な保健医療においてもそのような格差をなくすために、UHCを推進していく重要性についても強調。最後に、WHO神戸センターの研究テーマの一つである世界的な人口高齢化を踏まえたUHCの推進について取り上げ、具体的な研究事例を紹介しました。

第25回政令指定都市薬剤師会総会で講演

WHO神戸センターの茅野龍馬医官は2021年11月13日、第25回政令指定都市薬剤師会総会神戸大会でオンライン講演を行いました。「How we respond under COVID-19 pandemic」というテーマで、新型コロナウイルス感染症の現状と対策、今後の展望に関する講演を行いました。

神戸シルバーカレッジで講演

WHO神戸センターの茅野龍馬医官は2021年11月1日、神戸シルバーカレッジでオンライン講演を行いました。「国際保健とWHO ~変化する時代のニーズと対策活動の変遷~」というテーマで、新型コロナウイルス感染症の現状や今後の課題などについて触れながら、WHOの役割や国際保健課題について説明を行いました。

WKCフォーラム2021 グローバルヘルス高校生サミット~高校生からの姫路宣言~を開催

2021年10月25日(月)~29日(金)に第72回西太平洋地域委員会が兵庫県の姫路市で開催され、日本を含むアジア太平洋地域の各国から保健医療の代表者が集まり、地域の保健医療政策等について議論しました。これに合わせてWHO神戸センターは、姫路市、兵庫県と協力し、地元の高校生がグローバルヘルスについて考え、学び、発表する「WKCフォーラム 2021 Global Health High School Summit ~高校生からの姫路宣言~」を開催しました。新型コロナウイルス感染対策の観点から、会場とオンライン配信のハイブリッド形式で実施されました。

 

今回の高校生サミットは「コロナ禍における学校での健康行動」をテーマとし、兵庫県姫路市を中心に関西圏の7つの高校の有志チームが参加。「学校と生徒のメンタルヘルス」「学校でのCOVID-19対策」「若年層のヘルス・コミュニケーション」「コロナ禍による貧困や家庭環境の悪化」の4つのサブテーマについて、関西圏の国公立大学の専門家アドバイザーに指導を受けながら、自ら課題を研究してきました。サミット当日は、会場およびオンラインで参加した専門家、学校関係者、学生などの200名を超える参加者に向けて、これまでの成果を発表しました。

 

また、サミットの最後には各校の発表内容をまとめた「姫路高校生宣言」を各校の代表者が読み上げ、姫路市や兵庫県、WHO西太平洋地域の代表者に提出して、高校生の声を姫路から地域、世界に届けました。

 

当日の発表の様子はこちらのURLからご視聴いただけます。

提出された姫路高校生宣言と付随文章はこちらをご覧ください。

京都大学で健康危機管理と災害対策について講義を実施

WHO神戸センターの茅野龍馬医官は2021年10月20日、京都大学でオンライン講義を行いました。「Achieving the health-related SDGs​~Shifting Needs in History and in the context of COVID-19~​」をテーマに、国際保健の主要な歴史や新型コロナウイルス感染症対策の現状や課題などについて概説しました。また、WHO神戸センターが事務局を務める災害・健康危機管理に関するグローバルリサーチネットワーク(Health EDRM RN)について、発足の経緯や今後の展望について話しました。

グローバルヘルス高校生サミット プログラム詳細のお知らせ

2021年10月25日(月)〜29日(金)、世界保健機関(WHO)の第72回西太平洋地域委員会が兵庫県の姫路市で開催されます。日本を含むアジア太平洋地域の各国から保健医療の代表者が集まり、地域の保健医療政策等について議論します。これに合わせてWHO神戸センターは、姫路市、兵庫県と協力し、地元の高校生がグローバルヘルスについて考え、学び、発表する場として「WKCフォーラム 2021:グローバルヘルス高校生サミット」を10月30日に開催いたします。

【フォーラム概要】

■日時:令和3年10月30日(土)10:00~12:30
■会場:アクリエひめじ ( URL: https://www.himeji-ccc.jp/ ) 
 *新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、一般の方への参加方法はオンライン配信にて実施。
■ご来賓(予定):清元秀泰姫路市長、齋藤元彦兵庫県知事、 葛西健WHO西太平洋地域事務局長
■オンライン配信参加方法:下記URLより事前にお申し込み下さい。申し込み締め切りは10月27日12:00(*先着順、最大200名まで)
■主催:WHO健康開発総合研究センター (WHO神戸センター)
 共催:WHO神戸センター協力委員会
■イベントポスターはこちら
 

【プログラム】

時間 内容  登壇者
10:00-10:15 開会の辞

サラ・ルイーズ・バーバー WHO神戸センター所長(ビデオメッセージ)
茅野龍馬 WHO神戸センター医官

10:15-11:35

高校生の発表

テーマ「コロナ禍における学校での健康行動」

プレゼンテーション 5分
質疑応答 3分 

A) 学校と生徒のメンタルヘルス
兵庫県立姫路西高校/兵庫県立兵庫高校
B) 学校でのCOVID-19対策
関西学院千里国際高等部/兵庫県立長田高校
C) 若年層のヘルス・コミュニケーション
神戸市立葺合高校/兵庫県立姫路飾西高校
D) コロナ禍による貧困や家庭環境の悪化
姫路女学院高校

11:35-11:45  休憩(舞台転換)  
11:45-12:00 審査員による講評 古川壽亮先生/宮良高維先生/増野園惠先生/山中浩司先生
12:00-12:15 「姫路高校生宣言」提出 清元秀泰姫路市長/齋藤元彦兵庫県知事/葛西健WHO西太平洋地域事務局長/高校生
12:15 写真撮影 清元秀泰姫路市長/齋藤元彦兵庫県知事/葛西健WHO西太平洋地域事務局長/高校生
12:15-12:30 まとめコメント 清元秀泰姫路市長/齋藤元彦兵庫県知事/葛西健WHO西太平洋地域事務局長

 

【審査員】

古川壽亮 先生
京都大学医学研究科 健康増進・行動学 教授
1985年東京大学医学部医学科卒業。1997年カナダMcMaster大学医学部精神科客員教授、1999年名古屋市立大学医学部精神医学講座教授を経て、2010年より現職。専門は、臨床疫学、Evidence-Based Psychiatry、認知行動療法。気分障害と不安障害の臨床精神薬理学・認知行動療法、臨床疫学などに関して約500編の英文論文のほか、JAMA Users' Guides to the Medical Literature 2nd Ed (McGraw Hill, 2008、共著)などに執筆。
 
宮良 高維 先生
神戸大学医学部附属病院 感染制御部 教授
1993年 琉球大学 大学院医学研究科博士課程生体制御系専攻修了。
1998年ペンシルバニア大学病院検査部 ヒューマンサイエンス振興財団 海外派遣研究員、2004年近畿大学医学部 呼吸器・アレルギー内科 講師、2011年より関西医科大学 呼吸器・感染症内科教授を経て、2018年より現職。専門は、微生物学、感染対策、呼吸器感染症。
 
増野 園惠 先生
兵庫県立大学 地域ケア開発研究所 教授
高知県立大学大学院修了、博士(看護学)。約7年間の看護師として病院勤務の後、兵庫県立看護大学(限兵庫県立大学看護学部)で看護教育に従事。専門は看護管理学、災害看護学。2000年以降、国内外で災害後の被災者の健康、看護支援に関する調査・研究に携わる。2016年より、現職。災害健康危機管理WHO協力センター長として、WHOと協力しながら災害に対応する保健・医療人材の強化に取り組んでいる。COVID19対応では、厚生労働省参事として、保健所支援等にもかかわる。
 
山中 浩司 先生
大阪大学人間科学研究科 教授
大阪府生まれ。1988年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。 2010年から現職。人間科学博士。専門は、科学社会学、医療社会学。大阪大学ユネスコチェア『グローバル時代の健康と教育』副代表、人間科学研究科附属未来共創センターセンター長。
 

【注意事項】

■感染対策のため、会場に入場いただくメディアの皆様は、ご来場前 72 時間以内の COVID-19 PCR 検査の陰性証明書の提示とご来場当日の PCR 検査の実施(結果は確定し次第ご連絡)が必要となります。検査をお受けになられていない方につきましては、姫路高校生宣言文提出とご来賓のご挨拶(12:15-12:30)の15分間程度に入場を限定させていただきます。
■会場設営の都合上、10 月 20 日(水)までに取材申込書をお送りください。
 

【本プレスリリース・取材に関する問合せ先】
WHO健康開発総合研究センター (WHO神戸センター)
担当:茅野 E-mail:wkcforum_press@issjp.com / TEL: 078-230-3100 

【プログラム、フォーラム全般に関する問合せ先】
WHO健康開発総合研究センター (WHO神戸センター)
担当:茅野 E-mail:wkcforum_info@issbiz.jp 

*現在WHO神戸センターでは、新型コロナウイルス感染拡大に伴い在宅勤務を実施しております。そのため、電話でのお問い合わせには対応できない場合がございます。ご連絡の際はメールでのご連絡をお願いいたします。ご迷惑をおかけしますが、予めご理解くださいますようお願い申し上げます。