News Archive by Year

2011

分煙では受動喫煙は防げない

「受動喫煙防止 I Love Clean Air」講演会が兵庫県三田市健康福祉部健康推進室の主催で行われ、WHO神戸センターの研究「日本の市町村の路上喫煙対策」を発表しました。

16億人の健康を保護する挑戦

WHO神戸センターは、「健康危機管理(感染症対策)と緊急災害医療」をテーマにWHO西太平洋地域事務局(以下WPRO、在マニラ)から二人の専門家を招き、神戸大学大学院医学研究科と合同でフォーラムを行いました。

WPROが統括する37の国と地域は人口が多く(総人口16億人)、文化、経済状況、地理や気候条件などが多様で、自然災害や健康危機が比較的多いところです。それゆえ、WPROの対応にはいつも柔軟性が求められます。

アート・ペシガン技官は、自身が長年関わってきた緊急災害人道支援の経験から学んだ教訓として、初動段階での迅速かつ適切な人材の長期派遣(3ヶ月以上が望ましい)や、条件(経験、資金、理解)の異なる複数パートナー間の連携調整の難しさを指摘しました。国連諸機関は、「人道支援改革」を打ち出し、人道危機が起こった際に国連機関や他の国際的パートナーがそれぞれの得意分野を分担して主導する「クラスター・アプローチ」を導入、WHOは「保健医療」のクラスターを主導し地域、パートナー連携の強化を目指しています。

また、WPRO地域では国際的脅威になりうる感染症が年間 200 件以上発生しています。近年SARS、トリインフルエンザ(A/H5N1)を始め多くの新興感染症がこの地域で起こっており、その健康被害、経済被害は国にとって大きな損害です。松井珠乃医官は、情報収集、意思決定、対策決定を含むWHOの感染症対策の骨格を紹介しました。「不確実性に如何に向き合い、適切な対策の決断をしていくか」が常に試されます。また、各国政府の災害、健康危機への対応能力を強化するための人材開発・研修もWHOの大きな役割の一つです。

フォーラムは100人ほどの参加者を集め、発表の後は活発な質疑応答が行われました。

第64回世界保健総会で歴史的な合意

マーガレット・チャンWHO事務局長は第64回世界保健総会閉会に際し、加盟国代表が公衆の健康に多大な影響を与える事項に関して合意に達したことを称賛しました。かつてない規模のWHO改革に関する議論の他、加盟国は全ての国が汎発性インフルエンザなどの健康危機への対応能力拡大、保健医療システムの強化による良質な医療へのアクセス向上、非感染性疾患への取り組み強化、そして保健関連のミレニアム開発ゴール(MDGs)達成に一層の努力を行うことに合意しました。

詳しくはこちら: プレスリリース - 英語版

WHOが「都市の健康」に関するグローバルデータベースを発表

今後の健康課題のひとつとして都市化が注目を集めるなか、WHOは初めて都市の健康に関するグローバルなデータベースを立ち上げました。過去数十年の間に実証に基づいた国家レベルの健康指標は入手できるようになってきましたが、世界基準で集められた都市レベルのデータも増えています。現在、WHO Global Health Observatory Databaseの一部として45カ国の都市部の健康データが閲覧可能です。

詳しくはこちら: WHO Global Health Observatory Database(英語版)

「道路安全のための行動の十年(2011-2020)グローバルプラン」2020年までに500万人の交通事故死を防ぐ

交通事故死は世界の若年層(15-29歳)の死因の第1位です。 日本では毎年6500件以上の交通事故死が報告され、中でも歩行者が犠牲になる確率が最も高くなっています。道路交通事故による死亡やケガの負担の増加を受けて、2010年3月の国連総会において、WHOの先導で「行動の十年」が宣言されました。5月11日、この十年計画(2011-2020)の開始を記念して、世界中の何十もの国がイベントを予定しています(ロンドン、ブラジル、ニューヨークの歴史的建造物、記念碑のライトアップなど)。ニュージーランドからメキシコ、南アフリカに至るまで各国政府は、交通事故から人命を救うため新しい対策を採ると公約しています。 この「グローバルプラン」が成功裡に実行されることで、今後10年の間に500万人の交通事故死と5000万のけがを防ぐと期待されます。

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WHOによる報告:特に発展途上国において非感染症による死亡が増加傾向

WHOの「非感染疾患に関する世界状況報告書」が4月27日に発表され、非感染疾患が第一の死亡原因であることが示されました。2008年の最新データによると、心臓病、脳卒中、慢性肺疾患、がん、糖尿病などが原因で年間に3600万人が死亡しており、その約8割を低・中所得国が占めています。