評価指標

評価指標は物事を測定したり、評価する標準的な方法です。WHO神戸センターでは、人口高齢化に伴う問題を考慮した、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に向け、各国の進展状況を評価する指標の研究を行っています。

 

 

 

 

 

 

WHO神戸センターの重点分野

  • 高齢化社会でのUHCのモニタリング

WHOと世界銀行は、UHCにおける医療サービスの適用範囲と経済的な保障の進展度合いを測るためのモニタリングの枠組みを開発しました。しかし、このUHCモニタリングの手法は、老年層の複雑なニーズに順応する医療制度が必要とされる高齢化社会には最適ではないかもしれません。WHO神戸センターは、各地の研究者と連携しながら、高齢化社会の課題に直面する国々による、医療サービスの適用範囲、経済的保障、医療の質と公平さの測定・モニタリングへの取り組みを研究しています。

  • 評価指標・モニタリングのツールの適応・検証

日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study, JAGES)は、日本の高齢者の健康とその決定要因に関する情報を収集するための標準化されたツールを開発しました。このツールを使って得られる知見は、地方・国レベルでの政策改善のために活用されてきました。WHO神戸センターは、このプロジェクトにおける経験と他国への教訓をまとめ、現在はマレーシアとミャンマーの研究者と共にツールの適応・検証を行っています。

  • ナレッジ・トランスレーション

研究結果を確実に実践に移し、国同士で学びあう機会をつくるため、WHO神戸センターは、研究者と政策決定者のためのナレッジ・ハブを開設します。

 

なぜこの研究が重要なのか?

「測定できるものは達成できる」。モニタリングのシステムにより、それぞれの国が、社会的弱者のため、医療サービスへのアクセスや経済的保障の改善にうまく取り組めているかどうかを重点的に評価することができます。

高齢化社会におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジの測定とモニタリング

背景

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の測定とモニタリングにおける基準の世界標準は、WHOと世界銀行が作成した枠組みにあります。UHCのモニタリングに用いる指標は、急速に変化しつつある環境での関連性を確保するため、地域の状況に合わせていく必要があると考えられます。特に、健康開発や高齢化が世界全体で進む中、低中所得国も含め、さらに多くの国々の状況にUHCの測定とモニタリングを適合させていくことで、関連性を強化して、人口高齢化が保健制度に与える影響を評価できるようにする必要があります。

方法                                                                                                                                                                          

人口の高齢化を考慮し、保健サービスと経済的保護の測定を各国がどのように試みてきたかを評価した世界中の文献のスコーピングレビューを協同実施者が行います。このレビューを基に、保健サービスや経済的保護の概念化や低中所得国の状況への示唆に関する専門家の意見を集約するためにデルファイ法を用いて、枠組みを作成します。この枠組みの妥当性について、各国で評価します。

 

 結果                                                                                                                                                                             

研究実施中です。

結論                                                                                                                                                                

研究実施中です。

ライフコース・アプローチによるユニバーサル・ヘルス・カバレッジモニタリング体制の支援

背景

UHCの対象としては、現在、基本的には、特定の年齢層や疾患に焦点が当てられることが多く、また、母子保健および感染性疾患に目が向けられる傾向があります。高齢者が置かれている状況にはあまり目が向けられているとは言えません。人口の高齢化が家計の医療支出におよぼす影響を考慮すると、財政の持続可能性も重要です。本研究は、ライフコース・アプローチを用いて概念的枠組みを作成し、UHCのモニタリング体制を支援することを目的としており、これは、低中所得国や高齢化社会にも大いに関連する問題です。

方法                                                                                                                                                                          

文献レビューにより、ライフコース・アプローチとUHCモニタリング体制に関する重要な概念を明らかにし、最初の概念的枠組みとなるものを作成します。利用可能なデータを探索し、作成した概念的枠組みが現実的であるか否かを確認します。世界各国の専門家が討議することにより、概念的枠組みがもつ価値を向上させます。最終的には、指標を特定する予定です。

結果                                                                                                                                                                             

研究実施中です。

結論                                                                                                                                                                

研究実施中です。

超高齢社会日本のUHC持続に向けた 効率的な医療提供とは ~大規模ヘルスデータの二次分析~

人口高齢化を主因に日本のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の持続可能性が疑問視される今、適切かつ効率的で、エビデンスに基づいた医療提供の実践が急務となっています。しかしながら、診療情報を中心とする大規模データの研究活用が十分ではありません。
本研究では、全国規模のDPC(診断群分類)データシステムを構築した実績を持つ研究チームが、DPCデータや他の大規模診療情報データを活用して、現在の日本の医療提供の実情を検証します。

リサーチクエスチョン

主なリサーチクエスチョン
1. 日本同様に公的な医療保障制度を持つフランス、ドイツ、イギリスと比較した場合、日本の高齢者を対象とした外来医療は効率的か。
2. 施設医療から在宅医療への政策転換は医療費抑制につながるか。
3. 災害時の高齢者医療に関して、熊本地震(2016年)の経験から得た教訓とは何か。高齢被災者の受療特性とは。
4. 急性期病院医療(薬剤処方、外科治療、入院期間)は高齢者に公平に提供されているか。年齢や精神疾患(認知症、統合失調症など)の有無によって医療提供に格差はないか。

分析方法

超高齢社会の日本における一次・二次レベルの医療について、より効率的、公平かつ費用対効果の高い医療を提供するためのエビデンス構築を目指して、 外来、 在宅、 災害時、 急性期病院の4領域に分けた二次分析を実施します。
具体的には、それぞれのリサーチクエスチョンに対して、DPCデータ、レセプト(診療報酬明細書)データ、J-SPEED(日本版災害時診療概況報告システム)データなどの大規模な二次データの横断的な統計解析を実施することで検討していきます。

期待される研究成果

本プロジェクトを通じて、高齢社会における広範な臨床現場で、さらに効率的で、公平かつ費用対効果の高い医療提供を実現するために必要な保健制度・政策の指針となるエビデンスの提供を目指します。また、日本の持続可能なUHCの推進に向けた保健政策にも寄与し、そこから得られた教訓は広く世界にも貢献していくことが期待されます。

研究チーム

リサーチ主導施設:産業医科大学
医学部 公衆衛生学教室 冨岡 慎一 助教(主導研究員)
医学部 公衆衛生学教室 松田 晋哉 教授
医学部 公衆衛生学教室 久保 達彦 講師
医学部 公衆衛生学教室 藤本 賢治 助教
産業生態科学研究所 環境疫学教室 藤野 善久 准教授
医療情報部 診療情報監査室 本野 勝己 室長
医療情報部 医療情報システム企画室 大谷 誠 室長

大阪大学大学院医学系研究科 社会医学講座 公衆衛生学 磯 博康 教授
大阪医科大学 医学部 心理学・行動科学教室 本庄 かおり 教授
WHO神戸センター ローゼンバーグ 恵美 技官

 

高齢者にやさしい環境のための健康評価指標

本プロジェクトでは、年齢に関わらず誰もが住みやすい環境づくりを推進し、「エイジフレンドリーシティ(高齢者にやさしい都市(AFC))」を具現化するための政策について評価し、研究を実施しました。この研究によってエビデンスが強化され、社会が一体となり、複数部局が協力、連携しながら健康な高齢化のための介入策を進めていくための基礎を築きました。この取り組みはWHO神戸センターが2015年に発行した『Measuring Age-friendliness: A Guide to Using Core Indicators(エイジフレンドリーシティ評価:コア指標に関するガイド(英語版)』に基づきます。本プロジェクトの最終年となる2017年の具体的な活動は、論文発表や国際会議・学会での講演、研修、コア指標の周知やAFCの啓発などがあげられます。

エイジフレンドリーな環境づくりに関するWHOの取り組みについてはこちらをご参照下さい:WHO 本部ウェブサイト(http://www.who.int/ageing/age-friendly-environments/en/

健康な高齢化に関する ナレッジ・トランスレーション: 日本老年学的評価研究(JAGES)

概要

このプロジェクトでは、高齢者の健康と健康格差に影響を与える決定要因に関する科学的エビデンス創出のための戦略と、そこから得られる科学的知見を実際の政策や事業に活用するための戦略を特定しました。具体的には、国内最大規模の高齢者調査である日本老年学的評価研究(JAGES)プロジェクトに着目し、JAGESがこれまでに実施した健康と高齢化に関する社会疫学的研究において有用なツールや戦略、そして、科学的知見が健康な高齢化に関する国や地方自治体の取り組みに反映されるために必要なツールや戦略について検討しました。

背景・目的

JAGESは社会疫学的手法を用いて、高齢者の健康問題および健康格差の原因追究を進めてきました。特に、研究とナレッジ・トランスレーション(知見を政策や事業に活用させること)の双方を国や地方自治体と連携、協働して進めるJAGESの戦略的アプローチは広く評価されています。

研究骨子

  1. どのようにJAGESが行政機関と連携しながら、系統的にデータを収集し、大規模調査を実施してきたのかを明文化する。
  2. これまでに蓄積されたJAGESの科学的知見を統合的に整理する。
  3. 科学的知見を自治体や国の政策に活かすフィードバック方法を示す。(具体的には、各自治体で得られたエビデンスを「見える化」するツールJAGES HEART(健康の公平性評価と対応ツール)の活用方法など)
  4. 神戸市(兵庫県)、松戸市(千葉県)、武豊町(愛知県)など、これまでにJAGES調査に参加し、調査から得られた知見が活用されている自治体への聞き取り調査を実施する。

結果

JAGESは、政策に科学的知見の活用を促す取り組みにおいてのモデルとなっています。

研究者と自治体職員の相互利益の確保や、科学的知見の政策形成への活用を促すツールの提供、政策とその実施、更なる研究発展のための科学的根拠の発信といったアプローチは、JAGESの成功をより確かなものへと導きました。

このプロジェクトの主な成果として、JAGESの研究方法や、健康な高齢化のためのナレッジ・トランスレーションに関する主要な研究結果をまとめたモノグラフが出版されました。このモノグラフには、日本でどのようにJAGESが構築したツールやプロセスが実施されたのかを示す実例も紹介されています。

研究チーム

主導施設: 国立長寿医療研究センター (NCGG)
国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター老年学評価研究部長、千葉大学予防医学センター教授 近藤 克則 教授(主導研究員)
浜松医科大学 健康社会医学講座 尾島 俊之 教授
東京大学大学院医学系研究科 保健社会行動学分野、健康教育・社会学分野主任 近藤 尚己 准教授
東北大学大学院歯学研究科 国際歯科保健学分野 相田 潤 准教授
日本福祉大学 斉藤 雅茂 准教授
WHO神戸センター ローゼンバーグ 恵美 技官

JAGESが作成したデータマップ例: 要介護認定を受けた高齢者(65歳以上)の分布(関東地方市町村別)
出典: http://www.doctoral.co.jp/WebAtlas/201112WebAtlas/kanto/atlas.html

関連出版物

モノグラフ:Advancing universal health coverage through knowledge translation for healthy ageing: lessons learnt from the Japan Gerontological Evaluation Study