2021-10-08

高齢者によるヘルスケアへのアクセスの公平性評価に関する重要概念

各国がユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を進展させるには、医療制度がどれほど機能しているかを定期的に測定およびモニタリングすることが不可欠です。しかし現行のUHCのグローバル・モニタリングにおいては、高齢者の医療ニーズが十分に考慮されていないため、高齢者が取り残されてしまう可能性があります。

WHO神戸センターは、2020年4月から2021年5月にかけて、シェフィールド大学、リバプール大学、大阪大学の研究者とともに、高齢者にかかわるヘルスケアのアクセスとカバレッジの公平性をどのように測定すべきかを把握するためのスコーピングレビューを実施しました。

調査結果からは、ヘルスケアへのアクセスの公平性を評価する際には、特に高齢者の複雑なケア・ニーズ、意思決定能力、および保健医療施設の利用のしやすさなどを考慮する重要性が示されました。医療や介護に関して国民皆保険制度が確立されている日本においてさえも、高齢者が必要とするサービスの有用性に地域差があるなど、公平性に関わる問題が明らかになりました。

スコーピングレビューではまた、ヘルスケア・サービスの有用性、価格(患者の医療費負担)、質など、現在のUHCモニタリング・フレームワークと共通するいくつかの概念が明らかになりました。これらの概念の測定に使用すべき指標についてはコンセンサスがないため、各国はその地域に適した指標を選び、高齢者にかかわるヘルスケアのアクセスとカバレッジの公平性評価をUHCモニタリングに組み込むことができます。

主な調査結果をまとめたエビデンス・サマリーの日本語訳は、こちらからご覧ください。

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