News Archive by Year

2017

高齢社会に高校生は何ができるのか? 「ひょうご・こうべワールド・ミーツ for YOUTH」開催

WHO神戸センターとG7神戸保健大臣会合推進協議会は、G7神戸保健大臣会合開催記念「ひょうご・こうべワールド・ミーツ for YOUTH」を2月11日、神戸国際展示場で開催しました。(兵庫県教育委員会と大阪大学で第4回高校生「国際問題を考える日」と共同開催)。兵庫県下の高校生を中心に約600人が参加し、さまざまなプログラムを通して、グローバル・ヘルス(国際保健)や国際協力などについて研究発表し、意見をぶつけ合い、共に考えました。

 

基調講演では、まず、大阪大学大学院人間科学研究科 大谷 順子 教授が講演し、世界各地での国際機関勤務の経験や、阪神・淡路大震災から東日本大震災、四川大震災まで実施したフィールドワークなどを紹介し、「外国語習得は必須です。英語だけでなくアジア言語にも興味を持って。また、内向的にならず、見て、聞いて世界で羽ばたいて」と高校生にエールを送りました。

次に講演に立ったWHO神戸センターの茅野 龍馬 テクニカル・オフィサーはWHOの役割と感染症との闘いの歴史を紹介し、21世紀の保健課題として、治療法のない感染症や世界的な高齢化の進行、生活習慣病の蔓延などをあげ、感染症と非感染症のダブルバーデンについて強調しました。高校生へのメッセージとして「いまの時間を大切に可能性を広げてほしい」と語りました。

続いてパネルディスカッション「高齢化社会を踏まえたこれからの日本」(コーディネーター:野崎 慎仁郎 WHO神戸センター 上級顧問官)では、兵庫県の高校生4 名がそれぞれの研究を発表し、兵庫県立尼崎稲園高等学校1年の大島海織さんは、「65歳以上=高齢者という定義は実態にはあっていない。定義の引き上げが必要」と論じ、兵庫県立洲本高等学校1年の神田啓祐さんは「淡路島の平野部に交通網を整備したコンパクトシティを作ることで、日常生活に必要な施設を集中させ、高齢者のコミュニケーションや雇用機会を創出できるのでは」と提案しました。

 

続いて兵庫県立龍野高等学校2年田村真惟さんは「日本は高齢者が社会参画するチャンスをもっと増やして、一人ひとりの高齢者が生きがいを持って健康に長生きする手本を世界に示すべきだ」と訴え、最後に神戸市立葺合高等学校2年小林華さんは「高齢者は経済的観点からも社会的観点からも大きなメリットをもたらす。優れた能力は雇用につながり、働く親の子どもの世話や、地域の安全、伝統の継承など、多くの役割を担う」と強調しました。

会場からのQ&Aでは多くの質問が相次ぎ、「高齢者に対する偏見にどう向き合うのか」「具体的にどのような働きかたがあるのか」「高齢者の雇用は若者の雇用を奪うのでは」「高校生ができること」など、白熱した議論が展開されました。

 

午後からは国際的な団体・企業・大学等による活動紹介ブース(30団体)やミニ講演会(13団体)、高校生によるポスターセッション(84演題)の発表を通じて、活発に意見が交わされました。









 

 

最後に講評として、大阪大学全学教育推進機構の柿澤寿信特任講師は「教科書には載っていない、答えがひとつではない難しい問題に取組むなかで、悩み、試行錯誤する過程が財産になる」と述べ、閉会の挨拶でアレックス・ロスWHO神戸センター所長は「高齢化や新たな保健課題など、不透明な世の中ではあるが、一方、グローバル時代のいま、意外と世界は小さい。これから自分がどのように世界に貢献していくことができるのか、じっくり考えてもらいたい」と締めくくりました。

参加いただきました皆様、本当にありがとうございました。

 

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G7神戸保健大臣会合開催記念 「ひょうご・こうべワールド・ミーツ for YOUTH」開催

WHO神戸センターとG7神戸保健大臣会合推進協議会は、青少年の国際感覚を醸成し、国際的に活躍する「国際市民」を育成することを目的に、G7神戸保健大臣会合開催記念「ひょうご・こうべワールド・ミーツ for YOUTH」を2月11日、神戸国際展示場にて開催します。

当日は兵庫県下の高校生を中心に約500人が一堂に会し、さまざまなプログラムを通じて、グローバル・ヘルス(国際保健)、国際協力などについて共に考えます。

プログラムは多岐にわたり、専門家による二つの基調講演:①「国際社会で活躍するには - 国際機関勤務と研究者としての経験から-」(講師:大谷 順子 氏 大阪大学大学院人間科学研究科教授)、②「21世紀の保健課題 -感染症と非感染症のダブルバーデン-」(講師:茅野 龍馬 氏 WHO神戸センター テクニカル・オフィサー)や「高齢化社会を踏まえたこれからの日本」をテーマとしたパネルディスカッション、各高校によるポスターセッション(約100題)、国際的な団体・企業・大学による活動紹介ブースやミニ講演会(約15題)などが予定されています。(詳細はプログラムを参照)

今回のイベントに先立ち、昨年8月にはG7神戸保健大臣会合のプレイベントとして「グローバル・ヘルス(国際保健)、私たちにできること」ひょうご・こうべ保健医療ハイスクールサミットを開催し、参加した兵庫県下の高校生の手で「ひょうご・こうべ保健医療ハイスクールサミット宣言」がまとめられました。

WHO神戸センターのアレックス・ロス所長は「WHO神戸センターはWHO内で唯一の政策研究所で、高齢社会に対応する政策プログラムや、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成のための保健システムに関する研究を進めています。我々は海外の知見を神戸に、そして日本の貴重な経験を海外に発信する役割を担っています。我々のもつ「国際性」という強みを、兵庫県、神戸市の高校生の皆さんの国際感覚の育成に役立てていただければとても嬉しく思います」と話します。

G7神戸保健大臣会合開催記念
「ひょうご・こうべワールド・ミーツ for YOUTH」開催

日 時:2017年2月11日(土) 9: 30 ~ 17:00(開場9: 00)
場 所:神戸国際展示場2号館(〒650-0046 神戸市中央区港島中町6-11-1)
主 催:G7神戸保健大臣会合推進協議会、WHO神戸センター
共 催:兵庫県教育委員会、大阪大学(第4回高校生「国際問題を考える日」)
後 援:厚生労働省、外務省、JICA関西、関西NGO協議会、日本国際保健医療学会、神戸市教育委員会
対 象:兵庫県内を中心とした高校生 約500名

プログラム

9:30-9:40   開会挨拶
(兵庫県教育委員会、大阪大学、G7神戸保健大臣会合推進協議会)

9:40-10:50  基調講演
「国際社会で活躍するには - 国際機関勤務と研究者としての経験から-」
講師:大谷 順子 大阪大学大学院人間科学研究科教授
「21世紀の保健課題 -感染症と非感染症のダブルバーデン- 」
講師:茅野 龍馬 WHO神戸センター テクニカル・オフィサー

10:50-11:50 パネルディスカッション「高齢化社会を踏まえたこれからの日本」
コーディネーター:野崎 慎仁郎 WHO神戸センター 上級顧問官
パネリスト:兵庫県の高校生4 名(兵庫県立尼崎稲園高等学校、兵庫県立洲本高等学校、兵庫県立龍野高等学校、神戸市立葺合高等学校)
会場とのQ&Aセッション

11:50-14:30 国際的な団体・企業・大学等による活動紹介ブース(約30団体)/ミニ講演会(約15団体)
(政府・国際機関、大使館・領事館、NGO 、民間企業、大学 等)

14:30-16:40 高校生によるポスターセッション(約100演題)

16:40-16:55 講評

16:55  閉会挨拶
アレックス・ロス WHO神戸センター 所長

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阪神・淡路大震災から22年、改めて防災の大切さを

1月17日、あの阪神・淡路大震災から22年を迎えました。甚大な被害をもたらした地震のあと、多くの絶え間ない努力によって「創造的復興」が成し遂げられ、この地から世界に向けて多くの教訓が発信されました。

WHOを代表して式典に参加したWHO神戸センターのアレックス・ロス所長は「兵庫県、神戸市の防災に対する多大なる取り組みに敬意を表します。自然災害や健康危機への日ごろからの備えと災害時の地域コミュニティの役割の重要性を改めて痛感します」とコメントしました。

2016

WHO's Year in Review for 2016

2016年、WHOの世界各地での活動を振り返ります。
ジカ熱や黄熱のような感染症、人道危機への対応、薬剤耐性(AMR)対策、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成に向けた取り組み、がんや糖尿病などの非感染性疾患(NCD)対策など、2016年のWHOを振り返ります。

詳しくはこちら - 英語版

Dr Halfdan T. Mahler元WHO事務局長死去—プライマリ・ヘルス・ケア分野に大きな功績を残す

WHO第3代事務局長(1973-1988)のDr Halfdan T. Mahlerが12月14日、逝去されました。享年93歳。

Dr Mahlerは1978年のアルマ・アタ宣言 (Declaration of Alma-Ata)策定において力強いリーダーシップを発揮され、アルマ・アタ宣言のもと「Health for All by the Year 2000(2000年までにすべての人々に健康を)」が目標として定められました。 1988年にWHOを退職後も、プライマリ・ヘルス・ケア分野の発展を支え続けられたDr Mahlerの功績は高く評価されています。ここに心よりご冥福をお祈りいたします。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)デー2016

UHCは世界中どこであっても、誰もが負担可能な費用で基礎的な保健サービスを利用できる体制を意味します。12月12日はUHCデーです。誰一人も取り残すことなく、人々が裕福かどうかに関わらず、人々が必要なときに受けることができる保健システムとそれを支える保健政策のために適切な投資を行うようにWHOは各国のリーダーに求めます。

世界薬剤耐性(AMR)啓発週間

今週(11月14日から20日)はWorld Antibiotic Awareness Week(世界薬剤耐性(AMR)啓発週間)です。世界が直面する薬剤耐性(AMR)の脅威について知りましょう。抗生剤などの抗微生物薬を服用するときには、適切な薬剤を必要な場合にのみ、適切な量・期間使用することが重要です。世界中で一般市民をはじめ、医療関係者、政策立案者、農業部門が協調して取り組み、薬剤耐性(AMR)の出現と広がりを最小限にするための努力することが必要です。

WHO本部サイトから

地域で高齢者を支える社会イノベーションに関する研究

WHO神戸センターは「健康な高齢化を支える地域レベルの社会イノベーションに関する研究(Community-based social innovations for healthy ageing (CBSI) )」を開始します。

世界規模で高齢化が進行する中、高齢社会に対応する統合的な保健・社会サービスの整備は急務であり、特に地域レベルでの整備の重要性が指摘されています。本研究では、高齢者の暮らしや健康を改善するため、現在、世界各地で実施されている地域レベルでのケアやサポートサービスの中から先進的なモデルを検討していきます。本研究はRAND Europe社(英国・ケンブリッジ)との共同研究として実施されます。

本研究では、a)地域で高齢者自身が積極的に関わる保健・社会サービスの先進事例、b)高齢者の自律性を高め、健康とQOL(生活の質)を可能な限り長く維持するための介入策、c)既存の保健システムとの融合性、協調性について調査を実施します。

具体的には、世界約10カ国(中所得国)における事例研究と文献システマティック・レビューを実施し、それぞれの事業がどのように実施されているのか、どのように行政や民間の他の保健・社会サービスと連携しているのか、参加している高齢者にとってどのような恩恵があるかを調査します。

「この研究は、今年9月に開催されたG7神戸保健大臣会合で採択された神戸宣言の方向性に合致したもので、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現にも寄与することが期待されます。本研究の結果は『健康な高齢化を支える地域レベルの社会イノベーション』の類型として、各国政府や地方政府に対する政策オプションとして提供していく予定です。本研究はWHO神戸センターの新研究戦略においても重要で、昨年WHOから発表された『高齢化と健康に関するワールド・レポート』の内容に照らしても意義深いと考えます」とアレックス・ロスWHO神戸センター所長は話します。

ついては、RAND Europeは「健康な高齢化を支える地域レベルの社会イノベーションに関する研究」の対象となる事例を公募します。詳細は 関心表明 (Expression of Interest – EOI) をご覧ください。

関連リンク:

WHO国際統計分類第 11 版(ICD-11)改訂にむけて

今年10月、疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems, or ICD-11(国際統計分類))第 11 版改訂会議「ICD-11 改訂会議:保健医療情報の新時代」とWHO国際統計分類(WHO Family of International Classifications(WHO-FIC)) ネットワーク年次会議(2016)が東京で開催されました。

「ICD-11 改訂会議:保健医療情報の新時代」で、アレックス・ロスWHO神戸センター所長が講演し、高齢者の機能・健康状態を総合的にモニターしていくためには国際生活機能分類や国際統計分類、その他の指標をうまく統合して使用していくことの重要性を訴えました。

マーガレット・チャンWHO事務局長は「医療、疫学、公衆衛生の各分野に最先端の統計ツールを提供することは、歴史的にも意義深く、大きなチャンスです。詳細で、正確で比較検討に適したデータは何をするにも基礎となるからです」と開会の辞を述べました。

国際統計分類(ICD)の重要性

国際統計分類(ICD)は100年の歴史を持つ疾病、傷害及び死因の統計を国際比較するための統計分類で、アルファベットと数字を用いたコードで表され、人口動態統計や健康情報の管理に使用されています。第 11 版では、正確で比較検討に適した高品質のデータの収集、SDGで設定された死因別の目標、指標の達成状況の検討が可能で、健康データの電子化や統計学的な用途(医師や検死官が使用する医療用語の統合)にも対応し、疫学・健康管理の国際的な医療診断分類(自治体や保険会社からの保険償還を含む)として役立つよう検討されています。

これまでは、高齢者や障がい者の機能をモニターする分類や指標が不足しており、 国際生活機能分類も限定的な使用にとどめられていました。また、多くの国において、種類が多い指標や基準を十分に使いこなせていないという懸念がありました。

WHO神戸センター所長は講演の中で、特に機能面について評価する上で、さまざまな指標や基準を調整して活用するための提言を行いました。今後、 国際統計分類第 11 版はWHOの担当部門(Department of Information, Evidence and Research)が中心となって取りまとめられます。WHO神戸センターはWHO各部門と連携しながら、高齢化やUHC、エイジ・フレンドリー・イニシアティブなどに関する指標について助言を行っていきます。

YouTube: 国際疾病分類 (ICD)

関連リンク:

国際高齢者デー(10月1日)

10月1日は国連が設ける「国際高齢者デー」です。 WHOは他の国連機関やWHO加盟国、NGOと協力し「人口高齢化」と高齢化がもたらす「機会」について、世界中の多くの皆さんに今一度考えてもらうように働きかけています。また、長寿がもたらす貴重な「機会」を十分に生かす社会を作っていくために、国際社会が協調しながら政策を改革していく必要性を訴えています。

2016年の「国際高齢者デー」のテーマは“エイジズム(年齢差別)に立ち向かおう”です。年齢差別とは年齢を理由に高齢者に対して否定的なステレオタイプや、差別、偏見を持つことです。年齢差別はいまや深刻な社会問題のひとつで、人々からさまざまな機会を奪い、場合によっては寿命を縮めることさえあるのです。2016年の第69回WHO総会で採択された「高齢化と健康のためのグローバル戦略・行動計画」ではWHOが多くのパートナーと協力して年齢差別に立ち向かうためのグローバル・キャンペーンを実施することが求められています。