News Archive by Year

2022

ぼうさいこくたい2022 「災害レジリエンスの実現に向けて-共創・国際・実装の取組み-」に登壇

2022 年 10 月 23 日に、東北大学 災害科学国際研究所は「ぼうさいこくたい2022」において、「災害レジリエンスの実現に向けて-共創・国際・実装の取組み-」のセッションを開催しました。WHO神戸センターの茅野龍馬医官は、本セッションにおいて、災害医療と国際連携について登壇し、55名の参加者の方々に対し防災と保健医療を主軸に、実装に向けた国際・学際連携について話をしました。 

ぼうさいこくたい2022 「災害時の活動における支援者のこころとからだの健康」に登壇

2022 年 10 月 22日に、兵庫県立大学 地域ケア開発研究所は「ぼうさいこくたい2022」において、「災害時の活動における支援者のこころとからだの健康」のセッションを開催しました。WHO神戸センターの茅野龍馬医官は、本セッションにおいて、「災害時に活躍する保健医療人材の育成と派遣の課題 ~支援者を守るシステムについてのエビデンス~」をテーマに登壇し、災害健康危機管理枠組みにおける支援者の健康について話をしました。 

PASH (高齢化による保健医療制度の財政的持続可能性ギャップ) シミュレーター

人口高齢化が世界的に進むなか、高齢者の増加により保健医療制度の持続可能性を脅かす課題が生じることが懸念されています。こうした懸念は、多くの研究に裏付けられているように、人口高齢化に伴いサービスへのニーズが高まると想定されていることに由来していますが、一方で保健医療の財源と支出のギャップについてはそれほど研究されていません。財源と支出の両方に対して人口年齢構成の変化が及ぼしうる影響をよりよく検討し、保健医療財政モデルの持続可能性を高めるためには、何が必要とされているでしょうか。

WHO神戸センターのサラ・ルイーズ・バーバー所長は学術誌『Health Policy』に新たに掲載された論文で、この分野の主要な専門家らとともに「高齢化による保健医療制度の財政的持続可能性シミュレーター」を提案しました。新たなツールであるPASHシミュレーターは、人口年齢構成の変化が保健医療の財源と支出に与える影響を同時に予測し、両者のギャップを経時的に示すことで、政策立案者がより系統的にその影響について理解を深める助けとなります。

この論文では、さまざまな保健医療財政制度を示すヨーロッパと西太平洋地域の国々のデータに基づいた6つの国別シナリオを用いて、PASHシミュレーターを実証しています。著者らは結論として、人口高齢化の課題に対処するために、よりバランスのとれた政策オプションを政策決定者に促すためには、保健医療の財源と支出の両方に等しく注意を払う必要があると述べています。この新たなツールは財源と支出のギャップおよびそれに影響を及ぼす構造要素を示すことができるため、政策立案者は財源不足に対処するための幅広い政策オプションを得られるようになります。

京都大学大学院医学研究科で講義

WHO神戸センターの茅野龍馬医官は、2022年10月19日に京都大学大学院医学研究科のグローバルヘルス通論講義において、オンライン講義を行いました。「Health Emergency and Disaster Risk Management 
~Shifting needs of global health to better protect people from emergencies~」というテーマで、WHOの新型コロナウイルス感染症に対する取り組みや災害・健康危機管理Health Emergency and Disaster Risk Management (Health-EDRM)のコンセプトについて話をしました。 

神戸市立葺合高等学校で講義

WHO神戸センターの茅野龍馬医官は、2022年10月13日に神戸市立葺合高等学校で、オンライン講義を英語で行い、2年生普通科英語コースと国際科の生徒たち約110名が参加されました。「Global health development  in the context of COVID-19」というテーマで、保健課題に対するWHOのこれまでの取り組みや、新型コロナウイルス感染症に対する現状を話しました。  

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WKCフォーラム「Our planet, our health-私たちが考える地球規模の健康課題」開催の報告

今年の世界保健デーのテーマである「Our planet, our health(私たちの地球、私たちの健康)」に因んで、高校生と大学生が未曽有の感染症、高齢化、災害危機管理など様々なグローバルヘルスの課題について学び、議論する機会となるWKCフォーラムを2022年9月25日に開催しました。

 

基調講演では、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金CEOの國井修先生より、これまで海外で医療活動に携わって来られたベースとなる志と情熱をお話いただきました。学生からの多くの質問が出て、そのひとつひとつにご丁寧にお答えいただきました。その後のパネルディスカッションでは、国境なき医師団の蟹江信宏先生や大学生、高校生とWKCスタッフがウェルビーイングについて議論しました。12のテーマで開かれた分科会では、今回のフォーラムに先立ち3週間にわたって開催された「WHOサマースクール」の参加者およびinochi WAKAZO projectの学生たちが、各分科会を担当しました。分科会では、担当学生がそれぞれのテーマに関する研究内容についてのポスター発表を行い、その内容をもとに各分科会に参加する学生達とディスカッションを行いました。

本フォーラムは、inochi WAKAZO projectとの共催で約220名の全国の学生、一般市民の参加を得ました。ご参加をいただき、ありがとうございました。

尚、当日のフォーラムの録画動画(約2時間20分)を10月末まで公開しております。どうぞご視聴ください。

 

【開催概要】

日時:2022年9月25日 (13:00–16:10)

会場:WEB会議システムによるオンライン参加(Zoom)

参加費:無料(要事前登録)

主催:WHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)

共催:inochi WAKAZO project、WHO神戸センター協力委員会

京都大学大学院医学研究科国際保健講座で講義

WHO神戸センターのローゼンバーグ恵美技官は、10月12日(木)に京都大学大学院医学研究科の国際保健講座で、教育・貧困・経済と人々の健康と健康格差の関連について英語で講義を行いました。同講座でこのテーマに関する講義をローゼンバーグ技官が担当するのは今回で7回目となります。25名の履修生は、主に公衆衛生学や医学部の学生で、その大半が海外からの留学生でした。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防接種状況において世界各国の間に見られる格差を表すデータなども示しながら、様々に顕在化する健康格差とその社会的決定要因についてお話しました。

災害・パンデミック後の長期的なメンタルヘルスの経過に関するシステマティックレビュー

災害後に生じるメンタルヘルスの課題は、いかなる人にも起こり得ます。今年の世界精神保健デーでは、災害の直後だけでなく、災害発生から時間が経過している場合のメンタルヘルスについて、特に子どもや青年にフォーカスし、考えていきます。

WHO神戸センター(WKC)が資金提供した研究により、過去に起きた緊急事態や災害が、現時点での精神衛生に与える影響の大きさが明らかになりました。カーティン大学のエリザベス・A・ニューナム博士が率いる多国籍チームは、英語、中国語、日本語で示された200以上の研究の結果を統合し、うつ病と不安の割合が災害後何年も高いレベルを維持し、特に子供や青年ではその割合が著しいことを示しました。

「平均して、災害の影響を受けた人々の24%が、曝露後の最初の6ヶ月間に臨床的に重要な心的外傷後ストレス症候群(PTSS)を発症し、28%がうつ症状を発症し、23%が不安症状を発症する。」

このように多言語で行われたシステマティックレビューは過去に前例がありません。メンタルヘルスの有病率は経時的に緩やかな改善を示しましたが、有病率の変化はメンタルヘルスのタイプにより異なることが明らかになりました。PTSSの有病率は暴露後数年で有意に改善し、回復の経過に関して年齢による差は観察されませんでした。

しかし、うつ病と不安症状の有病率は災害後何年も高いレベルを維持し、子供と青年は大人と比較した場合、災害直後またその後何年も、有意に高い率を示しています。

「これらの研究結果は、被災地において、子どもや青年の心理的ニーズを配慮した持続可能なメンタルヘルスケアシステムを確立する必要性を示している。」

地震とパンデミックは、心的外傷後ストレス症状(PTSS)の高い有病率と関連しており、この結果は、地震の多い日本には特有なリスクがあることを示しています。そのため政策立案にあたっては、災害の物理的・社会的側面への迅速な対応を検討する必要があります。この研究は、復興の初期段階や災害から数年経過した段階において、PTSS、うつ病、不安症状に対処するために、適切な介入が必要であることを示唆しています。

研究結果はこちらでご覧いただけます。

主席研究員であるカーティン大学のエリザベス・A・ニューナム博士からの説明をご覧いただけます。こちら

Elizabeth A. Newnham, Enrique L.P. Mergelsberg, Yanyu Chen, Yoshiharu Kim, Lisa Gibbs, Peta L. Dzidic, Makiko Ishida DaSilva, Emily Y.Y. Chan, Kanji Shimomura, Zui Narita, Zhe Huang, Jennifer Leaning, Long term mental health trajectories after disasters and pandemics: A multilingual systematic review of prevalence, risk and protective factors, Clinical Psychology Review, Volume 97, 2022.  

  • School of Population Health, Curtin University 
  • Curtin enAble Institute 
  • Asia Pacific Disaster Mental Health Network 

 

神戸学院大学で講義

当センターのローゼンバーグ恵美技官は、10月6日(木)に神戸学院大学法学部の学生を対象に、国際保健分野におけるWHOの役割とユニバーサルヘルスカバレッジへの取り組みについてオンライン講義を行いました。とりわけ同学部の山越裕太准教授による研究論文、『世界保健機関の内的変容と課題~財政、ネットワーク、新型コロナウイルス感染症』を引用しながら、2000年頃を境としたWHOの役割や立場の変化、それと関連する財政事情、また、この度のパンデミックにおいて果たした役割などについてお話しました。

Picture of Dr Sarah Louise Barber - Director WKC

「敬老の日」に寄せて WHO神戸センター所長からのメッセージ

本日、9月19日、日本では敬老の日を迎えます。

高齢者が社会に貢献されてきたことを称え、感謝する日です。WHO神戸センターは、長きにわたり兵庫県と神戸市にご支援をいただいていますが、この兵庫県に『敬老の日発祥のまち』(多可町)があることを嬉しく思います。

日本は100歳以上の高齢者(百寿者=センティネリアン)が非常に多いことで世界的に知られています。この方々をはじめ、地域社会に多大な貢献をされている全ての高齢者に敬意を表します。

人々が健康で活動的な生活を長い間続けるには、高齢者の多くのニーズに対応した総合的な医療や社会システムが確立されていることが必須です。WHO神戸センターは高齢者が経済的困難に陥ることなく長期にわたって必要な支援を受けられるよう、持続可能な公的財政システムに関する研究や提言も行っています。

WHO神戸センターは、日本の関西地域をはじめ、世界中の研究機関や研究者と協力をし、すべての高齢者が医療と社会福祉サービスを適切に受けられるようにするための研究を続けています。その一例として、現在、京都大学と協力して、関西地域の高齢者が必要な医療サービスを受ける際に直面する経済的・社会的な課題を社会福祉士の知見に基づいて明らかにし、それらへの対処法も提案しようとしています(詳細はこちらをご覧ください)。

こうした研究の成果は、高齢者の健康面や社会面でのニーズに対応する施策を講じるのに役立てもらえるよう、地元自治体の政策立案者と共有されます。また、同じような問題に直面する世界中の国々とも共有されます。WHO神戸センターのミッションの詳細はこちらをご覧ください。