評価指標、モニタリングツール、およびデータの改善

ミャンマーとマレーシアの高齢者向けに改良と検証を加えた健康モニタリングツール

背景

世界中で急速な人口の高齢化が進んでいます。高齢者のニーズに合わせた保健医療制度の開発が必要です。保健医療制度の強化にあたっては、高齢社会の視点に立ったユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実施に関する評価が不可欠です。高齢人口を対象としたUHCを効果的にモニタリングするためには、保健医療サービスの範囲や経済的保護に関する質の高いデータが必要となります。

マレーシアとミャンマーでは、現在のところ高齢者が全人口に対して占める割合は大きくありません。両国において、この割合は今後30年間で倍増すると予測されており、UHCの推進は大きな意義を有しています。しかし、高齢者の社会保健サービスのニーズについては十分解明されていません。本研究の目的は、日本老年学的評価研究(JAGES)を活用し、日本で得られた高齢化と健康に関する豊富な研究実績に基づき、高齢者の健康と機能の状態を測定するための標準ツールを開発することです。JAGESは、地域に居住する高齢者を対象とした日本最大規模の経時的調査です。JAGESでは、高齢者における健康問題の原因と健康格差を把握するために、社会疫学的なアプローチを採用しています。

目標

高齢者集団を対象とした、健康と機能の状態、および、健康格差を測定するために利用できる調査ツールの開発

研究手法

  1. マレーシアとミャンマーで利用できるようにJAGESツールを改良・検証する予備試験
  2. マレーシアとミャンマーにおける改良ツールを用いた人口ベースの調査

期待される成果

  1. マレーシアとミャンマーの高齢者人口を対象とした、健康と機能の状態、および、健康格差を測定するために有効な調査票
  2. マレーシアとミャンマーにおける社会参加とヘルスケアへのアクセスが個人の健康アウトカムに及ぼす影響についての査読付き論文

ベトナムの高齢者に対する経済的保護に関する評価

背景

60歳以上の高齢者家族が一人以上いる世帯では保健医療費の割合が高くなることが世界的に報告されており、家計全体に占める医療費の割合が40%以上になると、破綻に至る可能性もあります。これには、一般に加齢に伴い慢性症状や複数の疾患を有する割合が増えることに加え、保健医療の財政支出と提供システムの構造(例えば、医薬品と医療サービスの自己負担額の水準)が関係していると思われます。

ベトナムでは急速に高齢化が進んでいます(図1)。複数の研究から、高齢者を抱える世帯は莫大な保健医療費に苦しむ可能性が高まると示唆されています。しかし、どのようなサービスに支出されているのか、またその医療費負担に対して各世帯がどのような財政的な対策を講じているのかを調べるのに必要な保健医療費支出の内訳に関するデータが不足しているのが実情です。

目標

高齢人口を抱える世帯の保健医療費の内訳、および、保健医療に関する既存の経済的保護対策がどのような形で高齢者のニーズに対処しているかについての調査

研究手法

  1. ベトナムの3省6県で世帯調査を行い、60歳以上の高齢者から保健医療費と関連項目についての聞き取りを実施
  2. 政策立案者を対象に詳細なインタビューとフォーカスグループ討論を実施して、保健医療財政政策の理解を深めるとともに、高齢者を高額な保健医療費から守るためにどのように政策を構築すべきかについて検討

期待される成果

保健医療財政政策における格差や問題点を論じる政策概要とテクニカルレポート、および高齢者を対象とした財政支援を強化するための勧告