Chapter 2.1 Using epidemiological principles to assess impacts of emergencies and disasters

Authors: Waite TD, Murray V. 

本章について

災害や重要な健康課題の影響を適切に記述することは、困難を極めます。疫学研究により、災害の原因と結果の両方が考慮されることで、意思決定に際し、災害の影響がよりよく理解され、将来の災害のための計画立案につながります。 

第2.1章では、迅速なニーズ調査、保健医療施設のサーベイランス、アウトブレイク調査やその他の事件報告、災害データを含むデータベースの利用など、疫学的調査の手法を概説しています。また、マルチクラスター初期迅速アセスメント(MIRA) や WHOの早期警戒対応システム (EWARS) など、研究調査に役立つツールについても示しています。これらのリソースやツールを活用することで、健康に関わる緊急事態や災害リスク管理における信頼性の高い研究を構築することができます。本章では、緊急時や災害時のリスク要因や健康への影響を評価するための疫学的研究のためのデータ収集方法に焦点を当て、以下のような内容を紹介します。 

  • 脆弱性の原因とハザードへの曝露
  • 災害の死亡率と罹患率への影響
  • 疫学研究に利用可能なデータソースとデータベース
  • 災害の疫学的研究におけるサーベイランスメカニズムの有効性 

本章のケーススタディ:

  1. プエルトリコのハリケーン・マリアによる死亡率の推定
  2. 日本の水俣湾と有機水銀中毒
  3. 英国における広域洪水がメンタルヘルスに及ぼす影響

本章のキーメッセージ:

  1. 緊急時・災害時の疫学の原則は、災害リスク因子と健康被害の特定、及び、災害・健康危機管理の戦略構築に重要です。 
  2. 災害データベースは重要なデータソースではあるが、研究に使用されるには限界があり、このような課題を克服するために仙台防災枠組の活用が期待されます。 
  3. 災害による健康被害は、迅速的なものと長期的なものがあります。今まで災害の長期的影響に関する研究が、十分に実施なされなかった側面もあり、災害による健康被害が過小評価され、対処が行き届いていない可能性が危惧されます。

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