2022-12-12

2022 年ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ・ デーに寄せて WHO神戸センター所長のメッセージ

今日は「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ (UHC) デー」です。 今年のテーマは「私たちの望む世界をつくろう。すべての人に健康な未来を」です。

今年のテーマはWHO健康開発総合研究センター(WHO 神戸センター)にとって特に重要です。 世界の人口は高齢化しており、 2050 年までに、全世界の 65 歳以上の人口は5 歳未満の子供の数の 2 倍以上になると言われています。

私たちWHO 神戸センターでは、高齢者が健康的な未来を享受できる世界をつくれるよう支援していきたいと考えています。 人口高齢化は、すべての人にUHC を保証する上でさまざまな課題を突きつけています。例えば、高齢者のニーズに沿ったケアを利用可能にし、経済面でケアを受けやすくし、保健医療および継続的なケアを財政的に持続可能にして財源を確保する必要があります。

WHO神戸センターの研究では、多くの国が革新的な政策やプログラムを評価することで、変化する健康ニーズに保健医療システムが対応できるように支援し、すべての高齢者に対してケアへのアクセスを確保していることが明らかになりました。 タイでの調査からは、高齢者の家族のエンパワメントに焦点をあてて保健医療と社会的ケアを提供する、コミュニティケアモデルの重要性が示されました。フィリピンで行った専門職連携トレーニングの調査では、高齢者により質の高いケアを提供するにあたり、保健医療従事者とソーシャルケアワーカーが相互に学び合う重要性が実証されました。 WHO神戸センターはまた、人口高齢化に伴い医療費の財源と支出が確実に管理されるように、政策立案者がより適切な政策選択を行う上で役立つツールの開発を支援しました。

それでもなお、課題は残っています。私たちの調査では、健康ニーズが満たされない最も大きな要因は医療費の負担であり、その次にケアの利用可能性であることがわかりました。 世界各国における保健医療と社会的ケアにおける未充足のニーズに関して、さらに理解を深める必要があります。

それに加えて、多様なニーズを持つ高齢者の間での医療アクセスの公平性にどう取り組むかを明らかにすることも必要です。

UHC デーを機に、すべての高齢者が質の高いケアの恩恵を受けられるよう、政策立案者が人口高齢化の課題に積極的に取り組むことを呼びかけます。