新型コロナウイルス感染症(COVID-19):ワクチンの安全性

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19):ワクチンの安全性

2023628日改訂版|Q&A

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このページでは、COVID-19ワクチンの安全性について、よくあるご質問にお答えします。お探しの情報がここにない場合は、ページ中の関連リンクをご覧ください。

COVID-19に対するワクチンには、どのようなものがありますか?

COVID-19に対してWHOや他の厳格な規制機関(SRA)に使用を許可されたワクチンはいくつかあり、WHO緊急使用リスト(EUL)に掲載されています。202012月上旬に第1回目の集団接種プログラムが開始され、世界における接種回数が日々WHO COVID-19ダッシュボードで更新されるようになりました。

以下のようなCOVID-19に対するさまざまな種類のワクチンが開発されています。

  • 不活化または弱毒化ウイルスワクチン(Sinovac-Coronavac社、Sinopharm社、Bharat社、Valneva社など):不活化または弱毒化されたウイルスを使用する。

  • タンパク質ベースのワクチン(Novavax/Serum Institute of Indiaなど):COVID-19ウイルスを模倣した無害なタンパク質の断片やタンパク質の殻を使用し、安全に免疫反応を起こす。

  • ウイルスベクターワクチン(AstraZeneca/OxfordJanssenCanSinoなど):病気を引き起こさない安全なウイルスを使用するが、免疫反応を起こすためにコロナウイルスのタンパク質を産生するプラットフォームとして機能する。

  • RNAおよびDNAワクチン(ファイザー/バイオエヌテック、モデナなど):遺伝子操作されたRNAまたはDNAを使用し、それ自体が安全に免疫反応を引き起こすタンパク質を生成する。

 

ワクチンに関する最新情報については、COVID-19ワクチンのページを、開発中のすべてのCOVID-19ワクチンに関する詳細は定期的に更新されるCOVID-19ワクチントラッカーと展望を、COVID-19ワクチンの種類についての説明はワクチンの解説シリーズをご覧ください。

WHOの緊急使用リスト(EUL)プロセスとは何ですか?

EULの作成プロセスでは、安全性と有効性に関するすべての利用可能なデータと、中低所得国への適合性に基づいて、製品(ワクチンを含む)の使用を緊急事態において推奨できるかどうかを判断します。ワクチンは、臨床試験のデータ、製造の実態や品質管理プロセスをレビューし、品質、安全性、有効性の許容基準を満たすかどうか評価されます。評価過程では、緊急事態がもたらす脅威に対して、ワクチンの使用によってもたらされる潜在的リスクと利益がどの程度か、比較しながら検討します。

各国は自国の規制や法律に従って、あらゆる医療健康製品に対して緊急使用認可を発行する自治権を持っています。国内の緊急時使用許可は、各国の判断で発行されるものであり、WHOの承認が必要なものではありません。

202355日、WHO事務局長はCOVID-19が国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態ではなくなったと発表しました。その結果、新規のCOVID-19ワクチンはEULの対象外となりました。現在リストアップされているワクチンのEULステータスは、製品が事前品質審査(PQ)に移行する間、および製品がLMICs(中低所得国)に供給され続ける限り、一定期間維持されます。

EUL手続きの詳細については、WHOEULページをご覧ください。

ワクチン接種を受けると、どのようなメリットがありますか?

ワクチン接種を受けることで、あなたの命が守られます。COVID-19ワクチンは、その導入以来何百万もの命を救ってきており、重症化、入院、死亡に対する強力な予防効果を発揮します。

ワクチン接種後もCOVID-19に感染し、他の人に感染させる可能性はあります。したがって、人と距離を置く、人混みや換気の悪い空間ではマスクを着用する、手指衛生を実践する、咳エチケット(咳やくしゃみをするときに、曲げたひじやティッシュで口と鼻を覆う)を守る、ワクチン接種を受ける、ブースター接種を常に受けるなど、防御・予防行動の継続を検討してください。

ワクチン接種後にCOVID-19に感染した場合、ワクチンを接種しなかった場合よりも症状が軽いか、全く出ない可能性が高くなります。

COVID-19に感染したことがある場合でも、感染後にワクチン接種を受けることをWHOは推奨しています。なぜなら、ワクチン接種によって、将来COVID-19に感染した場合の重症化に対する防御が強化され、より長く防御される可能性があるからです。さらに、ワクチンと感染によるハイブリッド免疫により、懸念される既存の変異体に対する優れた防御が得られる可能性があります。

最適な防御を確実にするためには、保健当局が推奨するCOVID-19ワクチンの接種とブースターを受けることが重要です。

どのような人がCOVID-19のワクチン接種を受けるべきでしょうか?

WHOの予防接種専門家の戦略的諮問委員会(SAGEは、COVID-19ワクチン接種の優先使用グループを高、中、低の3つに分類しました。20233月、SAGEは、一次接種(WHO EULワクチンのいずれかを2回接種)と、多くの人がすでにCOVID-19を接種している現在の状況におけるブースター接種の必要性に関する勧告を更新しました。これらの勧告は、現在の疫学的シナリオにのみ適用される期間限定の勧告であり、ブースター勧奨は現在のところ毎年の推奨事項ではありません。

優先順位の高いグループは、重症化や死亡のリスクが最も高い集団です。これらの人々には、複数の重大な合併症を持つ高齢者、重大な合併症(糖尿病や心臓病など)を持つ若年成人、免疫不全状態(HIV患者や移植患者など)を持つ生後6か月以上の小児、妊娠中の人が含まれ、重症疾患や死亡のリスクが最も高いことが理由です。さらに、医療従事者も患者と接する機会が多いため、優先順位の高いグループとされています。

優先順位の高いグループには、一次接種だけでなく、初回ブースター接種と追加ブースター接種を優先すべきであり、追加ブースターは、年齢や免疫不全状態などの要因に応じて、最終接種から6か月後または12か月後(リスクカテゴリーによって異なる)に接種する必要があります。

中程度の優先グループには、健康な成人(通常5060歳未満で合併症のない成人)、および合併症のある小児および青年が含まれます。SAGEでは、中優先群には一次接種と初回ブースター接種を推奨しています。このグループには追加ブースター投与は安全ですが、公衆衛生上の利益が比較的低いため、SAGEでは必ず行うものとしての推奨はしていません。

優先順位の低いグループには、6か月から17歳までの健康な小児と青年が含まれます。小児と青年には、一次接種とブースター接種が安全で効果的です。しかし、疾病負担が低いことを考慮し、SAGEは、この年齢層へのワクチン接種を検討している国に対し、疾病負担、費用対効果、その他の保健上またはプログラム上の優先事項や機会費用など、状況に応じた要因に基づいて決定するよう促しています。

優先使用グループに応じたワクチン接種に関するSAGEの最新勧告はこちらをご覧ください。

COVID-19のワクチン接種をしてはいけない人とは?

ワクチン摂取しないように勧められる状態はほぼありませんが、次のような場合は接種してはいけません。

  • あなたがCOVID-19ワクチンの成分に対して重篤なアレルギー反応/アナフィラキシーを起こしたことがある場合は、副反応を避けるため接種を控えてください。

  • あなたがワクチン予約日に38.5以上の発熱がある場合、回復するまで延期してください。

COVID-19ワクチンは、血液凝固阻止剤を服用している人にも安全ですが、ワクチンを接種する前に、服用している薬について接種者に知らせておく必要があります。

上記の一般的な推奨事項に加えて、各ワクチンは特定の集団や健康状態に対して特別な考慮事項がある場合があります。あなたの具体的な状況について、医療従事者に相談してください。

COVID-19ワクチン接種のメリットは、COVID-19に罹患して重症化するリスクを上回ることを忘れないでください。予防接種を受けられる方は、できるだけ早く受けてください。

COVID-19にかかったことがある場合、ワクチン接種を受けた方がよいのでしょうか?

はい。すでにCOVID-19を発症したことがある方でも、国の推奨に沿ってワクチン接種を受けた方がよいでしょう。COVID-19に感染することで得られる防御力は、人によって大きく異なりますが、現在のエビデンスによれば、自然感染した後にワクチンを接種したハイブリッド免疫は、既存の変異株に対して非常に強い免疫力となります。COVID-19にかかったことがあってもワクチン接種を受けることで、より長く防御できる可能性が高くなります。

COVID-19に感染した後、ワクチン接種を待つべき最適な期間を決定するエビデンスは今のところありません。検査でCOVID-19感染が確定した人は、国の保健機関の推奨に沿って、ワクチン接種の延期を検討できます。さらなる情報は、医療機関への相談を考慮してください。

どのCOVID-19ワクチンを接種すればよいのでしょうか?

厳格な規制機関(SRA)あるいはWHO緊急使用リスト(EUL)に掲載されているすべてのワクチンは安全であり、COVID-19感染による重症化、死亡のリスクを低減するのに高い効果を有しています。

COVID-19ワクチン接種のメリットは、COVID-19に罹患して重症化するリスクを上回ることを忘れないでください。自分の番が来たら、ワクチン接種を遅らせないでください。ワクチン接種により、命が救われるかもしれません。

COVID-19ワクチンの種類についてはこちらをご覧ください:AstraZenecaCovaxin, Johnson and Johnson (J&J),  Moderna, Novavax, Pfizer, Sinopharm and Sinovac.

ワクチンに関する最新情報については、 AstraZenecaCovaxin, Johnson and Johnson (J&J),  Moderna, Novavax, Pfizer, Sinopharm and Sinovacの「知っておくべきこと」のページをご覧ください。

COVID-19に感染してできる免疫と、COVID-19ワクチンを接種してできる免疫の違いは何ですか?

COVID-19ワクチン接種後に得られる免疫により、重症化や死亡に対する予防効果が得られるというエビデンスがあります。また最近の研究では、COVID-19に感染したことがある人でも、ワクチン接種によってさらに防御力が増し、ハイブリッド免疫が得られることが示されています。したがって、COVID-19の感染歴の有無にかかわらず、特に高リスクのグループの人々にとっては、ワクチン接種を受けることが重要です。

COVID-19は長期的に影響が出る可能性のある、生命を脅かす病気です。また、WHOEULに掲載されているCOVID-19ワクチンは、すでに何十億人もの人々に安全に投与されてきたこともわかっています。COVID-19に感染するリスクや、Long-COVID(依然どの程度の影響が出るかわかっていない)のように長期的な影響を被るリスクを冒すよりも、ワクチン接種を受けた方がはるかに安全です。接種できるワクチンについて、あなたの国の推奨に沿ってワクチン接種を受け、自分や周りの人を守るためにできることを続けましょう。

COVID-19ワクチンは、ウイルスの変異株から身を守れるのですか?

WHO緊急時使用リスト(EUL)またはSRAにあるCOVID-19ワクチンを打てば、感染、軽症、重症、入院、死亡に対して様々なレベルで保護されますが、最も効果が高いのは重症化予防です。新しいウイルスの変異や変種が、さまざまなCOVID-19ワクチンの効果にどのような影響を及ぼすのか、世界中の何千人もの科学者が研究を続けています。

現在のエビデンスでは、オミクロン変異株流行下において、優先度の高いグループ(複数の重大な合併症を有する高齢者、重大な合併症を有する若年成人、免疫不全状態にある生後6ヶ月以上の小児、医療従事者、妊娠中の人を含む)にとって、ワクチンが重症化や死亡の予防に役立つことが示されています。以前流行していたウイルスの変異株よりも、今の変異株に対しては、感染や軽症になることを予防する効果は弱いのは確かです。しかし、ワクチン接種後ならば、発症したとしても、症状は軽く済む可能性が高くなります。

SARS-CoV-2ウイルス進化に関する技術諮問委員会(TAG-VEは独立した専門家グループであり、定期的に会合を開き、変異型の感染性、臨床的重症度、免疫逃避の可能性に関する入手可能なデータを評価し続けています。彼らの勧告は、世界的、地域的、国内的なCOVID-19の予防と制御戦略についてWHOに情報を提供するために使用され、WHOの他の諮問委員会によって利用されています。

WHOは、WHO緊急時使用リスト(EUL)に掲載されている既存のすべてのCOVID-19ワクチンと、厳格な規制機関(SRA)の承認を受けた2価ワクチンの使用を引き続き推奨しています。

2回目、3回目は1回目と違うワクチンで接種してもよいですか?

あなたの国の推奨に従って、1次接種の2回目、1回目のブースター、または追加のブースター接種を、前回の接種に使用したものとは異なるCOVID-19ワクチンで受けても安全です。ワクチンの種類によっては、異なる種類のワクチンを使用した方が、同じ種類のワクチンを使用するよりも予防効果が高い場合もあります。

もし違う種類のワクチンを勧められたら、そのまま接種してください。WHOは、WHO緊急時使用リスト(EUL掲載ワクチンを2回接種することを、一次接種の完遂とみなしています。WHO-EULにあるCOVID-19ワクチンの全リストはこちらをご参照ください。

WHO予防接種専門家の戦略的諮問委員会(SAGE)は、承認されたワクチンに関する一次接種とブースター接種の推奨事項を発表しました。SAGEが推奨するすべてのワクチンに関する情報は、COVID-19ワクチンのページでご覧いただけます。

どのワクチンを安全に混合接種できるかに関するSAGEの最新勧告はこちらをご覧ください。

COVID-19ワクチンの副反応について教えてください。

他のワクチンと同様に、COVID-19ワクチンの接種後、軽度から中等度の副反応を経験する人がいます。これは、体が防御機能を発達させている正常なサインです。COVID-19ワクチンの副反応には、発熱、疲労感、頭痛、筋肉痛、悪寒、下痢、注射部位の痛みや赤みなどがあります。すべての人に副反応が起こるわけではありません。ほとんどの副反応は、数日以内に自然に治まります。副反応が出た場合は、安静にして、アルコール以外の水分を多く取り、必要に応じて痛みや発熱を抑える薬を服用することで対処できます。

もし、あなたの副反応が異常か心配な場合、注射をした腕の痛みが24時間後に悪化した場合、副反応が数日経っても治らない場合は、医療機関に連絡して相談してください。

COVID-19ワクチンには、より重篤な副反応や長期にわたる副反応が生じる可能性がありますが、極めて稀です。ワクチン接種後、呼吸困難、胸の痛み、混乱、言葉が出ない、運動能力の低下などが起こった場合は、すぐに医療機関に連絡してください。ワクチンは、使用されている間、継続的にモニタリングされ、稀な有害事象を検出し、対応することができます。

詳細はこちら:COVID-19ワクチンの副反応について

副反応があるということは、ワクチンが効いているということなのでしょうか?副反応がないというのは、どういうことですか?

国によっては、接種後すぐに副作用が出ていないかを確認するため、1015分、接種会場で待つ時間をとる場合もあります。

ワクチンは、あなたの免疫システムを刺激して、ウイルスからあなたを守ります。この過程で、発熱、悪寒、頭痛などの副反応が出ることがありますが、すべての人に副反応が出るわけではありません。ワクチン接種後に起こりうる反応の有無や大きさは、ワクチンに対するあなたの免疫反応を予測したり反映したりするものではありません。

副反応がなくても、保護されます。

副反応が普通ではないと思ったら、どうしたらいいのですか?

副反応が心配な場合は、医療機関に連絡して、最近受けたワクチン接種について知らせてください。ワクチン接種後に呼吸困難、胸痛、混乱、言語障害、運動能力の低下などの症状が現れた場合は、直ちに医療機関に連絡してください。

COVID-19ワクチンによる重篤な副作用はまれです。WHO緊急使用リスト(EUL)に記載されている各COVID-19ワクチン製品について、既知の重篤な副作用の可能性については、WHOのウェブサイトの各ワクチンの製品別情報セクションに記載されています。

COVID-19ワクチンとアレルギー反応に関連性はあるのでしょうか?

ごくまれに、COVID-19のワクチン接種後にアレルギー反応を起こす人がいます。アナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応は、どのようなワクチンでも非常に稀な副反応です。

アレルギー反応を起こしたことがある人は、ワクチン接種を受ける前に医療機関に相談してください。アドバイスをしてくれるはずです。場合によっては、過去に接種したワクチンやワクチンの既知の成分に対してアレルギーがあるとわかっている人への予防措置が必要となります。

COVID-19ワクチンを投与する医療従事者は、重篤なアレルギー反応を認識し、治療するための訓練を受けています。そのため、COVID-19のワクチンを接種される方には、アレルギー反応を起こした方が速やかに治療を受けられるよう、注射後一定時間、接種会場にとどまっていただきます。

COVID-19ワクチン接種後の有害事象の報告(アレルギー反応を含む)は、重篤な副反応の早期発見のため、各国当局およびWHOを含む国際機関によって注意深くモニターされています。

ワクチン接種後に重篤な有害事象が報告された場合はどうなりますか?

他のワクチンと同様に、ワクチン接種プログラムで使用されるCOVID-19ワクチンの安全性と有効性を厳密に監視することが不可欠です。ワクチン接種後に深刻な健康被害が報告された場合、その国の公衆衛生プログラムによって徹底的な調査が行われる必要があります。

ワクチン接種後に発生した健康被害が、実際にワクチンそのものに起因していることは稀です。ワクチン接種後の健康上の障害は、ほとんどの場合、ワクチン接種とは全く関係のない偶然発生したものであることが判明しています。時には、ワクチンの保管、輸送、投与方法に関連することもあります。ワクチンの配送に関するエラーは、医療従事者のトレーニングを充実させ、サプライチェーンを強化することで防ぐことができます。

COVID-19ワクチンの安全性は、世界保健機関(WHO)の最重要課題です。

ワクチンの安全性がどのように監視されているかについての詳細もご覧ください。

COVID-19を接種した後でも、COVID-19に感染することはありますか?

はい。WHOの緊急使用リスト(EUL)に掲載されているか、厳格な規制機関(SRA)によって認可されているワクチンは、COVID-19感染による重症化および死亡のリスクを軽減するのに最も効果的である。

COVID-19ワクチンは、重症化、入院、死亡に対して高い効果を発揮しますが、100%効果があるワクチンはありません。その結果、優先接種に関する最新の推奨に沿って、ワクチン接種やブースター接種を行ったにもかかわらず、一定数の人は感染し、COVID-19を発症することがあります。これは「ブレイクスルー感染」または「ブレイクスルー症例」として知られています。感染力の強いウイルスの変異株が増えたことで、ブレイクスルー感染症、症例が増えています。

ブレイクスルー感染はどのワクチンでも起こりうることであり、ワクチンが効かないということではありません。ワクチン接種後にCOVID-19に感染しても、軽い症状で済む可能性が非常に高く、重症化や死亡に対する有効性も高いままです。ワクチンの有効性は時間と共に弱まりますので、国の推奨に沿って、ブースター投与を含む必要なワクチン接種を常に最新の状態に更新するようにしましょう。

ワクチンを接種すると、他の人にCOVID-19を感染させることはなくなるのですか?

いいえ。予防接種を受けていても、他の人にウイルスを感染させる可能性はあり、それは重症化や入院、死亡の危険性がある人を含みます。ワクチン接種の有無にかかわらず、症状がある人や検査結果が陽性である人は、感染が治るまで自己隔離することが重要です。

ワクチン接種を受けた後、予防策をやめてもいいのですか?

いいえ。ワクチン接種を受けた後でも、あなた自身や他者をCOVID-19から守るために予防策を取り続けることを考慮してください。

COVID-19ワクチンは重症化や死亡の予防に非常に有効ですが、COVID-19の症状を発症することや伝搬を減らす効果は限定的です。また、ワクチン接種を受けていない人にウイルスが移る可能性も残されています。COVID-19のワクチンを接種していない人、接種できない人、免疫力が低下しているためにCOVID-19ワクチンに対して十分な免疫を獲得できない人がいます。自分自身と他人を守るために、あらゆる保護行動を実践し続けることを考慮しましょう。

COVID-19ワクチンによる予防効果はどのくらい持続しますか?

ワクチンの効果持続期間は、製品や有効性、ブースター接種の有無によって異なります。COVID-19ワクチンの感染や軽度の症状に対する有効性だけでなく、重症化に対する有効性も、その速度は遅いものの、時間の経過とともに低下するという証拠が増えています。それでもなお、認可されたCOVID-19ワクチンは、重症化、入院、死亡に対して十分な予防効果を発揮することに留意すべきです。COVID-19による重症化や死亡に対する保護を強化するために、ブースター投与が提供されたら受ける必要があります。
高齢者や基礎疾患を持つ人、ウイルスに高レベルでさらされている人は、免疫力が早く低下する可能性があるため、高リスク群に属する人は、推奨されるワクチン接種スケジュールの最新の状態にあるようにする必要があります。

COVID-19と免疫についてより多くのことが判明した場合、WHOは引き続きガイダンスと勧告を更新していきます。

COVID-19ワクチンの追加接種(1次接種で十分な効果が得られない時の接種)が必要な人は?

WHOは、WHO EULワクチンを2回または3回接種すれば、一次接種が完了すると考えています。免疫力が低下している人は、12回の接種ではCOVID-19に対する免疫力が最大にならないことがあるので、防御のために一次接種の一部として追加接種が必要な場合があります。WHOは、中等度または重度の免疫不全の人に、COVID-19ワクチンの追加接種を行うことを推奨しています。

シノバックとシノファームについて、WHOは、優先グループにおいて1回目と2回目の接種率が高いレベルに達した時点で、一次接種の延長として60歳以上の中等度または重度の免疫不全の人への3回目の接種を検討するよう、各国に推奨しています。

一次接種の一部としての追加投与と、追加ブースター投与とは異なります。追加ブースター投与については別の勧告がなされています。どのような人がCOVID-19のワクチン接種を受けるべきでしょうか?を参照ください。

COVID-19ワクチンは何回接種する必要がありますか?

ブースター接種とは、一次接種を完了した被接種者に追加接種されるワクチンの用量です(現在、ワクチンと集団によって様々ですが、WHO EUL COVID-19ワクチンによる一次接種は2回接種としています)

WHO予防接種専門家の戦略的諮問委員会(SAGE)は、リスクに応じて異なる集団が何回の追加接種を受けるべきかについて勧告をまとめました。国によっては、疾病負担、費用対効果、疫学的状況などの要因により、異なる推奨を行っている場合がありますので、各国の推奨を確認してください。

SAGEは、優先順位の高いグループには、一次接種だけでなく、初回ブースター接種と追加ブースター接種の優先を推奨しています。追加ブースターは、年齢や免疫不全の状態などの要因によりますが、前回の接種から6か月後か12か月後に接種すべきとしています。

優先順位の高いグループは、複数の重大な合併症を持つ高齢者、重大な合併症(糖尿病や心臓病など)を持つ若年成人、免疫不全の状態にある生後6か月以上の小児(HIV感染者や移植患者など)、妊娠中の人が含まれます。さらに、医療従事者は患者と接する機会が多いため、優先順位の高いグループに含まれます。

中等度の優先グループは、併存疾患のない健康な成人(通常5060歳未満)と、併存疾患のある小児および青年が含まれます。SAGEでは、中等度優先群には一次接種と初回ブースター接種を推奨しています。このグループには追加ブースター投与は安全ですが、公衆衛生上の見返りが比較的少ないため、SAGEでは必ず行うこととしては推奨していません。

優先順位の低いグループには、6か月から17歳までの健康な小児と青年が含まれます。小児と青少年には、一次接種と初回ブースター接種が安全で効果的です。しかし、疾病負担が低いことを考慮し、SAGEは、この年齢層へのワクチン接種を検討している国に対し、疾病負担、費用対効果、その他の保健上またはプログラム上の優先事項や機会費用など、状況に応じた要因に基づいて決定するよう促しています。

COVID-19ワクチンのブースター投与(追加接種)は必要ですか?

COVID-19追加ブースター接種の必要性は、重症のCOVID-19を発症する健康リスクのレベルによって異なります。追加ブースター接種とは、最初のブースター接種を受けた後、推奨される期間内に接種するワクチンのことです。

20233月のWHO予防接種専門家の戦略的諮問委員会 (SAGE)の勧告は、重症COVID-19を発症するリスクの高い人、すなわち高齢者、重大な合併症(例.高齢者、重大な合併症(糖尿病や心臓病など)を有する若年成人、免疫不全状態(HIV感染者や移植患者など)にある生後6か月以上の小児を含む人々、妊娠中の人々、患者と頻繁に接する医療従事者などは、引き続き優先されるべきであり、前回の接種から6か月後または12か月後にブースターを接種すべきであるとしています。しかしこれは、長期的に毎年ブースターを受けることを推奨するものではありません。

2価(変異株対応)ワクチンは1価ワクチンよりも有効ですか?

現時点では、WHO2価のCOVID-19ワクチンが既存のWHO緊急時使用リスト(EUL)のCOVID-19ワクチンよりも有効であるかどうかについて十分なデータを有していません。202210月、WHO予防接種専門家の戦略諮問委員会(SAGE)により、2価ワクチンを含むワクチンの使用に関するGood Practice Statementが発表されました。

20233月現在、WHOSAGEは、一次シリーズにBA.5二価mRNAワクチンの使用も検討できることを推奨しています。

後で2価ワクチンを接種することを優先して、今ブースター接種を遅らせてはいけません。最良のワクチンは、今まず接種できるものです。

変異株対応ワクチンというのはどういうものですか?

変異体対応ワクチンという用語は、そのワクチンがCOVID-19の新しい変異体を抑制することを目的としていることを示すものであり、COVID-19ウイルスやその変異体を含んでいることを意味するものではありません。

COVID-19ワクチンによって、PCRや抗原検査などの検査結果が陽性になることはありますか?

いいえ、ありません。COVID-19ワクチンは、COVID-19 PCRまたは検査室レベルでの抗原検査で、陽性の結果を引き起こすことはありません。これは、この検査が病気の活動状態を調べるものであり、個人の免疫の有無を調べるものではないためです。しかし、COVID-19ワクチンは免疫反応を促すので、個人のCOVID-19免疫を測定する抗体(血清)検査で陽性となる可能性があります。

ワクチン接種後、抗生剤を飲んでも大丈夫ですか?

抗生物質とCOVID-19ワクチンとの間に、影響や相互作用は知られていません。ワクチン接種の前後に医療機関で抗生物質を処方された場合は、そのまま全量を服用してください。ただし、ワクチン接種の予約時に38.5以上の熱がある場合は、体調が良くなってから予約を取り直すようにしてください。

ワクチン接種を受けたら、安全に海外旅行ができますか?

はい。ただし渡航前に、渡航先及び中継する国の基準を確認することが重要です。WHOは、予防接種の証明を海外渡航の要件として使用することを支持していません。

COVID-19ワクチンを接種した後、お酒を飲んでも大丈夫ですか?

COVID-19ワクチンの安全性や有効性が、アルコールを含む、接種前後の飲食物によって影響を受けるというエビデンスはありません。しかし、飲酒は、頭痛や疲労感など、ワクチン接種後に起こりうる通常の軽度から中等度の副反応に拍車をかける可能性があります。このため、ワクチン接種後の副反応が治まるまでは、飲酒を控えることが望ましいとされています。

詳しくはこちら:COVID-19ワクチンの副反応について

飲酒は他の健康問題のリスクを高める可能性があることに留意してください。

COVID-19のワクチン接種は、小児や青少年でも受けられますか?

はい。ただし、6か月から17歳までの小児および青少年は、免疫不全や重度の肥満、COVID-19の重症化リスクが高い合併症がない限り、ワクチン接種の優先順位は高くないと考えられています。これらのグループには、成人とは異なる投与量で、一次接種と初回ブースター接種を提供すべきとしています。重大な合併症には、糖尿病、慢性肺疾患、心臓、肝臓、腎臓疾患が含まれます。

EULに掲載されたワクチンのいくつかは、6か月からの小児および青年への一次接種またはブースターとしての投与も認可されています。20233月、WHO予防接種専門家の戦略的諮問委員会(SAGE)は、健康な小児の疾病負担が低いことを考慮し、疾病負担、費用対効果、その他の保健上の優先事項やプログラム上の優先事項、機会費用などの状況要因に基づいて、このグループにワクチン接種を行うかどうかを決定するよう各国に勧告しました。

現在、妊娠中の人へのワクチン接種に関するエビデンスはかなり蓄積されており、安全性に関する新たな懸念は確認されていません。妊娠中の人がワクチン接種を受けると、作られた抗体が母から子へ受け継がれ、生後数ヶ月の赤ちゃんを守るのに役立つことを示唆するエビエンスがあります。

WHO予防接種専門家の戦略的諮問委員会(SAGEは、妊娠中の人を優先度の高いグループとみなし、一次接種(現在はWHO EULワクチンのいずれかを2回接種)、初回ブースター接種、および前回の接種が6か月以上前の場合は追加ブースター接種を受けることを推奨しています。

多くのWHO緊急時使用リスト(EUL)ワクチンは、妊娠中の使用が許可されています。各ワクチンの詳細については、WHOのウェブサイトに掲載されている製品別推奨事項をご覧ください。

COVID-19ワクチンと妊娠についての詳細はこちらをご覧ください。

将来子供を産みたいと思ったら、ワクチン接種を受けたほうがいいのでしょうか?

はい、妊娠を予定している方は、ワクチン接種を受けた方がよいでしょう。COVID-19ワクチンが生殖能力を阻害することを示唆する現在のエビデンスはありません。COVID-19のワクチン接種による抗体やワクチン成分によって生殖器に何らかの問題が生じる可能性があるという生物学的なエビデンスは、現在のところありません。

授乳中でも、ワクチン接種を受けた方がよいのでしょうか?

授乳中の方は、国の勧告にしたがって、COVID-19ワクチンを接種できる順番になれば接種するよいでしょう。現在のCOVID-19ワクチンには、いずれも生きたウイルスは入っておらず、あなたがワクチンから母乳を通してCOVID-19を赤ちゃんに感染させる危険性はありません。実際、ワクチン接種後に得た抗体が母乳を通して、赤ちゃんを守るために役立つことがあるのです。

月経中でも、ワクチン接種を受けても大丈夫ですか?

月経中の人でもワクチン接種を受けて大丈夫です。ワクチン接種の予約日に生理があっても、そのままワクチン接種を受けることができます。月経は、COVID-19ワクチンを接種しない医学的な理由にはなりません。月経について不安や疑問がある場合は、遠慮なく医療機関に相談してください。

COVID-19のワクチン接種により、月経周期が乱れる可能性がありますか?

COVID-19の接種後、月経周期に乱れが生じたという報告がありますが、ワクチンとこの障害との間に関連性があるかどうかを知るには、まだ十分なデータがありません。ワクチンが月経周期に与える影響を研究するいくつかの大規模な研究が現在進行中です。WHOは、月経周期に関する新たなエビデンスを引き続きモニターしていきます。これらの研究についての情報は、こちらこちらをご覧ください。

月経について不安や疑問がある場合は、遠慮なく医療機関に相談してください。

WHOはどのようにしてCOVID-19ワクチンの安全性と有効性を確認しているのですか?

WHOのワクチン安全性に関する世界諮問委員会(GACVS)は、認可されたワクチンが実世界でどのように作用するかを監視し、予防接種後の有害事象の兆候を特定します。GACVSは、世界的または地域的に懸念されるワクチンの安全性に関する問題について、WHOに科学的助言を提供する独立した専門家委員会です。

前例を見ないほどの科学的協力が行われたおかげで、COVID-19ワクチンの研究、開発、認可が記録的な速さで完了し、高い安全基準を維持しながら、これらのワクチンに対する緊急の必要性を満たすことができました。

ワクチンは、国の予防接種キャンペーンに導入される前に、大規模な第III相臨床試験で安全性と有効性が証明され、国際的に合意された安全性と有効性の基準を満たしていることが証明される必要があります。

WHOは、各ワクチンの有効性と安全性のエビデンスについて、WHOによる独立したレビューを義務付けています。ワクチンが製造された国での規制機関による審査と承認も含まれ、これはWHOEULへの登録を検討する前に行われます。

COVID-19ワクチン接種の利益は、COVID-19で病気になるリスクを上回ることを忘れないでください。予防接種を受けることが可能な場合は、医療従事者の助言がない限り、接種を延期しないでください。ワクチン接種があなたの命を救うかもしれません。

参考:COVID-19ワクチンの安全性はどのようにモニターされているか

どのような場合にCOVID-19ワクチンを回収(リコール)されるのでしょうか?

重篤な副反応がワクチンそのものに関連していると疑われるまれな状況では、状況を評価する間、ワクチンの使用を一時的に停止することがあります。正確な原因を特定するために調査が行われ、是正措置が講じられます。WHOは、ワクチン製造業者、保健当局、研究者、その他のパートナーと緊密に協力し、安全性に関する懸念や副作用の可能性を監視しています。

WHOに正式に報告された安全性が疑われる事象は、ワクチン安全性に関する世界諮問委員会(GACVS)による一連の迅速な検証ステップを経ており、WHOはその後、これらの評価結果をウェブサイトで共有し、あらゆる評価結果を公表しています。WHOはまた、ワクチンの安全性に関する懸念を調査し、要請があれば次のステップについて助言するため、地方、地域、国の保健当局と連携しています。

安全性の問題によるワクチンの回収や中止はまれです。回収(リコール)は一般的に、品質管理システム、安定性調査、現場からの報告を通じて、ワクチンのバッチのモニタリング中に特定された問題に関連するものであり、これには、ワクチンの一部が適切な条件で保管されていないために、安全性や有効性がなくなっているという、コールドチェーンの問題も含まれます。このような場合、そのバッチからワクチンを接種した人は、確実に予防されるように再度ワクチンを接種する必要があるかもしれません。製造、保管、輸送、使用に問題がある際に、迅速に特定し、解決できるようにする必要があります。

mRNAワクチンは安全ですか?新しい技術を使ったワクチンを信用できるのでしょうか?

COVID-19用のmRNAワクチンは、生後6か月以上の人には安全です。

COVID-19に使用される以前から、mRNAワクチン技術は、ジカ熱、狂犬病、インフルエンザワクチンなど、数十年にわたり研究されてきたことに着目しましょう。

導入に先立ち、COVID-19 mRNAワクチンは、安全性が厳密に評価されました。そして、臨床試験でmRNAワクチンが病気に対して高い有効性を持つ免疫反応をもたらすことが実証されました。

202011月以降、WHO緊急使用リスト(EUL)付きのCOVID-19 mRNAワクチンは何億回も投与され、無数の命を救ってきました。

WHOは、各国のモニタリングシステムの支援を通じて安全性の兆候を通知し、入ってくる情報を継続的に見直し、推奨事項に変更があった場合には、情報を全世界に提供しています。

参照:COVID-19ワクチンの種類安全性

mRNAワクチンによる心臓の炎症(心筋炎や心膜炎)のリスクはありますか?

ごく少数の心筋炎や心膜炎の症例が、mRNAワクチンのModernaPfizer、タンパク質ベースのNovavaxワクチンに関連して、12歳以上の被接種者に報告されています。

世界的には、ファイザーやモデルナなどのmRNAワクチンは、COVID-19から何億人もの人々を守るために使用されています。その有効性と安全性については、臨床試験と各国のサーベイランス・プログラムの両方から、かなりの量のデータが得られています。

2140歳の男性は、(より一般的な)ファイザー、およびモデルナのワクチン投与後、COVID-19罹患後の心筋炎を発症する可能性が高く、ファイザーの2回目の投与後によく認められます。

心筋炎は通常軽度で、治療に反応し、COVID-19疾患に関連した心筋炎やCOVID以外の原因による心筋炎よりもはるかに重篤ではありません。早期に発見し、投薬と安静による迅速な治療を行うことで、長期的な心臓障害や死亡を避けることができます。ワクチン接種後数日以内に、新たな胸の痛み、息切れ、動悸などが持続する場合は、すぐに医師に連絡してください。COVID-19による入院や死亡を防ぐことで、これらのワクチンのメリットは心筋炎や心膜炎のリスクを大きく上回ります。

WHOは、各国のモニタリング・システムに対する支援を通じて安全性に関する兆候を通知し、入ってくる情報を継続的に検討しています。WHOは、世界中の複数の専門家と検討・吟味した科学的根拠に基づいて、mRNAワクチンを集団で使用することについて安全であると判断しています。もし変更があれば、WHOは広く通知します。

COVID-19ワクチン接種のメリットは、COVID-19で病気になるリスクを上回ることを忘れないでください。もし予防接種を受けることができるのであれば、医療従事者から勧められない限り、接種を延期しないでください。予防接種を受けることであなたの命が救われるかもしれません。

詳細については、WHOのワクチン安全性に関する世界諮問委員会(GACVS)のCOVID-19小委員会による最新のガイダンスをお読みください。

心筋炎と心膜炎に関するインフォグラフィックはこちら

アストラゼネカおよびジョンソン・エンド・ジョンソン/ヤンセンのCOVID-19ワクチンは血栓を引き起こしますか?

世界中で、アストラゼネカジョンソン・エンド・ジョンソン/ヤンセンなどのCOVID-19ワクチンは、何億人もの人々を守るために使用されてきました。その有効性と安全性については、臨床試験と各国のサーベイランスプログラムによる予備的データの両方からデータが得られています。ワクチン接種後、発熱、筋肉痛、頭痛、注射部位の痛み、疲労感などの軽度から中等度の副作用が一部の人に現れることが予想されます。これらは、身体が防御機能を発達させていることを示す正常な徴候です。

COVID-19非複製アデノウイルスベクターベースのワクチン(アストラゼネカやヤンセンのワクチンなど)の接種後330日に、血小板減少症候群(TTS)を伴う血栓症として知られる血小板数の減少を伴う血栓が発生するという、非常にまれですが重篤な症例の報告はあります。

このようなワクチン接種後のTTSの累積発生率は、被接種者10万人あたり0.56.8例です。発生率はワクチン、年齢、性別、地理的分布、症例定義の解釈によって異なります。

血液凝固障害は多くの要因によって引き起こされる可能性があることを覚えておくことが重要です。アストラゼネカまたはヤンセンのワクチン接種後に発生する血栓のすべてがTTSによるものではありません。

ワクチン接種後330日後に、新たに、重篤で持続的な頭痛、目のかすみ、胸痛、激しい腹痛、脚の腫れや異常な皮膚のあざ、息切れが生じた場合は、すぐに医師に連絡してください。WHOは、このような症例の早期発見と管理を行う医師を支援するため、ワクチン接種後のTTSの臨床的症例管理のためのガイダンスを発表しました。

アストラゼネカおよびヤンセンのCOVID-19ワクチンのメリットは、TTSのごくわずかなリスクをはるかに上回ります。WHOは、これらのワクチンを引き続き使用することを推奨しています。

詳細については、ジョンソン・エンド・ジョンソン/ヤンセンCOVID-19ワクチンに関連する安全性シグナルに関するWHOのワクチン安全性に関する世界諮問委員会(GACVSCOVID-19小委員会の声明、およびアストラゼネカCOVID-19ワクチンによる稀な血液凝固有害事象の最新エビデンスに関するGACVSレビューをご覧ください。

アストラゼネカおよびジョンソン・エンド・ジョンソン/ヤンセンのCOVID-19ワクチンはギラン・バレー症候群の原因になりますか?

アストラゼネカ社およびヤンセン社のワクチン(アデノウイルスベクターワクチン)の接種後42日以内にギラン・バレー症候群が発症した症例が、ごくまれに報告されています。ギラン・バレー症候群は、免疫系が神経を攻撃し、腕や脚の筋力低下、しびれ、感覚消失を引き起こすまれな疾患です。罹患者のほとんどは完全に回復します。これらの症例はワクチン接種後に発生したものですが、ワクチンと関係があるのか、ワクチンが原因なのか、あるいは偶然なのかはまだわかりません。COVID-19に対するワクチン接種のメリットは、起こりうるリスクを大きく上回ります。

世界的には、アストラゼネカジョンソン・エンド・ジョンソン/ヤンセンなどのワクチンが数億人をCOVID-19から守るために使用されてきました。その有効性と安全性については、臨床試験と各国のサーベイランスプログラムによる予備的データの両方からデータが得られています。ワクチン接種後、発熱、筋肉痛、頭痛、注射部位の痛み、疲労感などの軽度から中等度の副作用が一部の人に現れることが予想されます。これらは、身体が防御機能を発達させていることを示す正常な徴候です。

2021627日現在、欧州医薬品庁は欧州連合(EU)内でアストラゼネカのワクチン接種後にギラン・バレー症候群を発症した227例の報告を受けている。Vaxzevria(欧州で製造されているアストラゼネカのブランド)は、2021620日までに欧州連合内で約5,140万回接種されました。ヤンセンのワクチンについては、米国予防接種実施諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices)の報告によると、2021630日時点で、米国(USA)のワクチン有害事象報告システム(Vaccine Adverse Events Reporting System)を通じて100例のギラン・バレー症候群(Guillain-Barré Syndrome)が報告されており、ヤンセンのワクチンは約1220万回投与されています。欧州連合(EU)および米国以外でもギラン・バレー症候群の症例が報告されているが、その割合が通常より増加しているかどうかについては、さらなる調査が必要です。

ギラン・バレー症候群には、細菌やウイルス感染、手術、ワクチン投与など、さまざまな原因があります。また、COVID-19によって引き起こされることもあります。2011年、ヨーロッパと北アメリカにおけるギラン・バレー症候群の発症率は、人口10万人あたり0.81.9人と推定されています。あらゆる年齢の人が罹患する可能性がありますが、成人や男性に多くみられます。ギラン・バレー症候群は重症例でもほとんどの人が完治しますが、生命を脅かす可能性があり、集中治療が必要な人もいます。

 

ワクチン接種後42日以内に以下の症状が現れた場合は、直ちに医療機関に連絡してください。

  • 歩行困難

  • 呼吸、会話、咀嚼、嚥下など、顔の動きが不自由になる。

  • 物が二重に見えたり、目を動かすことができない。

  • 尿や便のコントロールが困難

  • 脚、腕、顔の脱力感やしびれ

 

ヤンセンとアストラゼネカのCOVID-19ワクチンのメリットは、ギラン・バレー症候群を発症するごくわずかなリスクをはるかに上回ります。COVID-19感染もギラン・バレー症候群を引き起こす可能性があります。WHOは、これらのワクチンを引き続き使用することを推奨しています。

詳細については、WHOワクチン安全性に関する世界諮問委員会(GACVSCOVID-19小委員会のギラン・バレー報告に関する声明をご覧ください。