Q&A(COVID-19):HIVとともに生きる人びと

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19):HIVとともに生きる人びと

2023年67日 改訂版|Q&A

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HIVとともに生きる人は、COVID-19を引き起こすウイルス(SARS-CoV-2)に感染するリスクや、重症化するリスクが高くなりますか?

HIVとともに生きる人のうち抗レトロウイルス治療(ART)によるウイルス抑制を行えていない人は、日和見感染やHIV疾患の進行に対して免疫システムが脆弱である可能性があります。HIV陰性の人と比較して、HIVとともに生きる人がSARS-CoV-2に感染するリスクが高いという臨床的なエビデンスはありません。
HIVとともに生きる人びとのCOVID-19の臨床症状について、パンデミックの初期に行われた小規模な研究では、HIV陰性の人とあまり変わらない臨床症状であり、特にARTを受けていてHIVウイルスを抑制できている場合は類似しているとされました。しかし、WHOがまとめた38カ国における約35万人のグローバルデータでは、HIVとともに生きる人びとはCOVID-19による重症化および死亡リスクが高まると示されています。この分析からは、重度で致命的なCOVID-19を発症するリスクは、HIVに感染していない人々と比較して38%高いことがわかりました。HIVとともに生きる人びとは、SARS-CoV-2への曝露が増えるような、健康を保つ上で不利な構造的要因や社会的決定要因にしばしば直面しています。彼らはまた、心血管疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患、高血圧など、COVID-19の予後不良に関連するいくつかの併存疾患の有病率も高くなっています。さらに、HIV疾患が進行するとCD4T細胞数が減少しやすく、このHIVサブグループにおいてはCOVID-19による入院と死亡のリスクが高いことがいくつかの疫学的研究で示唆されています。
これらすべてのことを総合すると、一般の人びとと比較してもHIVとともに生きる人びとがSARS-COV-2に感染するリスクが高いという明確なエビデンスはありません。しかし、進行したHIV疾患を患っている人、CD4T細胞数が少なくHIVウイルス量が多い人、ARTを受けていない人は、一般的にCOVID-19の合併症のリスクが高くなります。

COVID-19の治療または予防は、HIVとともに生きる人びとでは異なりますか?

COVID-19の臨床管理において、HIVとともに生きる人びとに対する現在の推奨事項は一般的に、治療および予防措置を含めて一般の人びとの推奨事項と変わりません。 HIVとともに生きる人びとは、HIVに感染していない人と同様に抗SARS-CoV-2療法を受ける資格があり、進行したHIV疾患を持つ人は優先度が高いと見なされる必要があります。 HIV患者のCOVID-19の治療を開始する場合、臨床医は薬物間の相互作用の可能性と、COVID-19治療、抗レトロウイルス薬(ARV)、抗菌薬療法、その他の薬を併用する場合の毒性に注意を払う必要があります。 HIVとともに生きる人びとがCOVID-19を発症した場合、可能な限りARVレジメンや日和見感染症治療、予防策を継続する必要があります。SARS-CoV-2感染の予防または治療を目的として、ARVレジメンを切り替えたり調整したり(つまりレジメンにARV薬を追加するなど)してはなりません。 HIVへの感染が分かっている人は、一般の人と同じようにCOVID-19の予防策(こまめな手洗い、咳エチケット、顔を触らないこと、他人と距離を置くこと、症状がある場合は医療機関での受診、COVID-19感染者と接触した場合は自己隔離、その他政府の対応で推奨されている行動など)を取るように推奨されています。ARV薬を服用している場合は、3~6ヶ月分か、少なくとも30日分のARVを保持しているようにしてください。 また、まだ抗レトロウイルス治療を受けていない人を含め、HIVとともに生きる人びと全員が治療を開始できるようにする重要な機会でもあります。HIVに感染しているリスクがあると感じる人は、HIV疾患の進行やその他健康問題の合併症を防ぐために、検査をお勧めします。

COVID-19の治療や感染予防に抗レトロウイルス薬を使用できますか?

現在、COVID-19を治療または予防するためにWHOが推奨しているARVはありません。以前のコロナウイルスの発生時(SARSおよびMERS)やCOVID-19パンデミックの初期段階で実施された初期のイン・ビトロ、動物、小規模ヒト観察研究からは、ロピナビル/リトナビル(LPV/r)などの一部のARVがSARS-CoV-2に対して役立つ可能性が示唆されました。そのため、COVID-19の治療と予防に再利用すべきであると考えられていました。この仮説はその後、さらなる観察研究や大規模な無作為対照試験で評価されましたが、疾患の重症度や死亡率に対する臨床的な利益や効果は示されませんでした(2)。
いくつかの観察研究では、テノホビルジソプロキシルフマル酸(TDF)とテノホビルアラフェナミド(TAF)の使用が、SARS-CoV-2の感染および重症化リスクの低下と関連している可能性があることも示されました。ただしこれらの研究には限界があり、参加者の他の健康問題の影響を受けている可能性があります。その後の大規模な観察研究および臨床試験では、TDFまたはTAFとSARS-CoV-2の感染・重症化のリスクとの関係性は示されていません。
コロナウイルス感染症の治療にARVを使用する有益性のエビデンスは実証されていない一方で、これらの薬による深刻な副作用はよく起こりました。HIVの治療レジメンの一部としてのLPV/rおよびTDFまたはTAFの日常的な使用は、重症度が中等度のいくつかの副作用と関連している可能性があります。
したがって現時点ではどのARV薬にしても、HIVとともに生きる人びとに対してCOVID-19の臨床転帰を改善または悪化させたり、SARS-CoV-2感染の予防に使用できたりすることを示唆する証拠はありません。WHOでは、HIVとともに生きる人びとがARTの開始・継続をする際の標準的なアプローチを維持し、HIV関連の免疫低下の軽減とウイルス抑制の達成に重点を置くことを推奨しています。同じ原則がHIV予防のための曝露前予防(PreP)または曝露後予防(PEP)レジメンにも適応されます

COVID-19ワクチンはHIVとともに生きる人びとにとって安全ですか?

COVID-19ワクチンを使用した初期の臨床研究の多くには、HIVとともに生きる人びとも少数含まれました。限られたデータですが、これらの研究からは、現在WHOが推奨しているCOVID-19ワクチンはHIVとともに生きる人びとに対して安全であることが示されています。現在使用されているCOVID-19ワクチンは生ワクチンではありません。改変されたウイルスタンパク質またはSARS-CoV-2の遺伝物質を含むものであり、ヒト遺伝子を複製または変更することはできません。最近の観察研究では、この集団におけるCOVID-19ワクチンの安全性がさらに評価されており、一般集団と比較した場合でもワクチン接種後の異常な副作用の割合が高いというエビデンスは見つかりませんでした。さらに、COVID-19ワクチンと抗レトロウイルス薬(ARV)との間に薬理学的相互作用は報告されておらず、HIVとともに生きる人びとはワクチン接種後もARV薬を服用し健康を維持する必要があります。
科学界での議論から派生するかたちで、10年以上前に観察されたアデノウイルスベクターベースのワクチンと、このタイプのワクチンを受けた男性のHIV感染リスク増加の間に関連性がある可能性に関して、最近より広範な懸念が生じています。この予期せぬ発見は、アデノウイルス5型(Ad5)ベクターが含まれた製品を使用した、2つのHIVワクチン試験で検出されました(3,4)。HIV感染リスクの増加が観察された理由は依然として不明ですが、いくつかの仮説的機序によると、既存のアデノウイルス関連免疫が他の要因と組み合わさり、HIV感染に対するHIV特異的ワクチンの応答またはCD4T細胞感受性に干渉する可能性が指摘されています。ただし、Ad5ベクターベースのHIVワクチンを使用した3番目の研究では、この結果は報告されていません(5)。
このような潜在的な懸念がある一方、パンデミックの状況において重要なのは、承認されたすべてのCOVID-19ワクチンの有益性は潜在的リスクを大幅に上回るということです。HIV感染リスクの増加に関する理論上の懸念は、特定のAd5ベクター化HIVワクチンに限定されており、他のワクチンに対して拡大解釈されるべきではありません。ただし、いくつかのCOVID-19ワクチンはヒトおよび動物のアデノウイルスベクタープラットフォームを使用しているため、HIV感染リスクの高い集団におけるAd5ベクターのCOVID-19ワクチンの安全性が、特定研究でさらに評価されることが望まれます。Ad5ベクターのCOVID-19ワクチンに関しては、現在第III相研究からの長期追跡調査を通じて参加者のHIV抗体陽転率を評価しており、中間結果の発表は2022年末に予定されています。
全世界的なデータによると、HIVとともに生きる人はHIVに感染していない人と比較して、重度または致命的なCOVID-19を発症するリスクが38%高いことが示されています。このため、HIVとともに生きる人びとのCOVID-19ワクチン接種を優先することが重要です。HIV疾患が安定している人は、いくつかのCOVID-19ワクチンの試験に参加しており、HIVとともに生きる人びとへのワクチン投与に関する特定コホート研究が最近開始されました。したがって、このトピックに関してHIVとともに生きる人びと向けの詳細情報が今後公開されていくでしょう。WHOは新しいデータを入手しながら状況を継続的に監視し、WHO予防接種に関する専門家の戦略的諮問委員会(SAGE)の推奨事項を適宜更新していきます。

COVID-19感染はHIVの検査結果に影響しますか?

最近の研究によると、COVID-19に感染しているとHIV検査結果が偽反応になる人がいることが示唆されています(3, 4)。これらの研究は、第4世代の血清学的HIV検査を使用している人を評価したものです。過去40年間、血清学的HIV検査ではウイルスや細菌感染による交差反応性が報告されています。誤診を防ぐために、WHOはマルチアッセイ3回検査法でHIVを診断することを推奨しています。

COVID-19ワクチンによってHIVとともに生きる人びとは守られますか?

HIVとともに生きる人のうち、CD4T細胞数が多くART使用中のケースにおけるCOVID-19ワクチンの有効性に関して現在いくつかの研究があり、そうした人びとのほとんどが、HIVに感染していない人と同じ範囲で抗体レベルと細胞性免疫反応を生成することが示されています。つまり現在推奨されているCOVID-19ワクチンは、この集団に対して安全であり、感染防御機能があると言えます。ただし、CD4T細胞数が少ない(つまり200細胞/mm3未満)またはHIVウイルスが抑制されていない人における研究データもあり、その場合COVID-19ワクチンに対する免疫反応の低下が見られます。さらにワクチン接種後の抗体反応は、CD4T細胞数が多い人よりも早く減少する可能性があります。
このCOVID-19ワクチンに対する免疫反応の低下は、他の原因により重度の免疫不全を持つ人においても報告されています(例えば固形がんや血液悪性腫瘍、臓器移植を受けている人、血液透析を受けている人など)。また、HIV疾患が進行している人やCD4T細胞数の少ない人は、ワクチンで確実に予防可能な疾患に対しても免疫反応が不十分であることが示されています。
HIVとともに生きる人はHIVに感染していない人に比べて、初回のワクチン接種後のSARS-CoV-2感染(ブレークスルー感染)の割合が高いことが報告されています。免疫不全患者で実施された人口レベル分析では、HIV特有の要因を考慮していないとはいえ、HIVとともに生きる人びとでSARS-CoV-2ブレークスルー感染の発生率が33%高いことが示されました(6)。
さらに、HIVコントロールが良好でワクチンを接種した10万人を超える大規模なHIVコホート研究では、全体では低い(3.8%)ものの、HIVとともに生きる人はHIVウイルス量やCD4T細胞数に関係なくブレークスルー感染の発生率が28%高いことが示されました。またHIVに感染していない人に比べて、HIVとともに生きる人の方がブレークスルー感染の発生率が高かったことが示されています(千人年あたり55件に対し千人年あたり43件)(7)。
一般の人びとと比較した時にブレークスルー感染の発生率とリスクが高いとはいえ、HIVとともに生きる人びとはCOVID-19の合併症と死亡のリスクが高いため、COVID-19のワクチンを延期または回避する理由はありません。これは、他の免疫不全を持つ人びとと同様に、HIVとともに生きる人びとに対する追加接種の推奨を裏付ける結果でもあります。
さらに、国のCOVID-19の予防接種プログラムでHIVのリスクにさらされている重要かつ脆弱な人びとを除外してはならない理由として、彼らが医療サービスへのアクセスを制限されていることが多い点が挙げられます。WHOは引き続き新たなエビデンスを監視し、適宜ガイダンスを更新する予定です。

HIVとともに生きる人びとは、優先的にワクチンを接種する必要がありますか?

WHOは現在、HIVとともに生きる人びとをCOVID-19予防接種の優先グループに含めるよう推奨しています。HIVとともに生きる人、特にHIV疾患が進行している、CD4T細胞数が少ない、またはウイルス量が抑制されていない人は、HIVに感染していない人に比べてCOVID-19による転帰不良や高い死亡リスクがあることを示唆するエビデンスが増えています。さらに、HIVとともに生きる人びとの多くは1つ以上の慢性的な併存疾患があり、HIVや免疫状態とは関係なく、重症化または死亡のリスクが高くなる可能性があります。したがって、HIVとともに生きる人びと、特に併存疾患(慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、心臓、腎臓、肝臓、運動ニューロンまたはパーキンソン病、多発性硬化症、重度の肥満など)のある人は、COVID-19のワクチン接種を優先する必要があります。
多くの国では現地の疫学的状況に応じて、COVID-19ワクチンの優先接種グループにHIVとともに生きる人びとを含めており、すべてのHIVとともに生きる人びと(CD4T細胞数が200/mm3未満の免疫不全状態の人も同様)に対してワクチン接種を実施しています。2021年半ばに、すべての地域の100か国以上を対象に実施されたWHOの非公式の調査によると、40か国以上においてHIVとともに生きる人びとのワクチン接種を優先する予防接種ポリシーが確立していました。ただし、HIVとともに生きる人びとに対するCOVID-19ワクチンの実際の適用範囲は国ごとに大きく異なります。2021年末に中欧と東欧で実施された地域調査では、22か国のうち8か国でしかHIVとともに生きる人びとに対してCOVID-19ワクチン接種の優先順位が高く設定されておらず、HIVとともに生きる人びとのワクチン接種のガイドラインを策定していたのは3か国だけであることがわかりました(8)。米国ニューヨーク州で実施された最近の研究では、HIVとともに生きる人びとのCOVID-19ワクチン接種率は、一般の成人人口よりも低いことがわかりました(63.5%対75.0%)(9)。
HIVとともに生きる人びとと一般集団の人口構成の違いが、ワクチン接種率の低値を一部説明している可能性はありますが、調査したすべてのHIVとともに生きる人びとのサブグループで、接種率が75%低いことがわかりました。この集団におけるCOVID-19ワクチンの接種率の低さは、社会経済的地位を含む測定されていない構造的要因によって説明できる可能性があります。国によってCOVID-19のパンデミックとワクチン実施は異なる段階にあり、人口構造も異なるため、各国はCOVID-19ワクチンの使用を優先するためのWHO SAGEロードマップも併せて参照する必要があります。

HIVとともに生きる人びとは、COVID-19ワクチンの追加接種を受ける必要がありますか?

現在承認されているCOVID-19のワクチンは、ほとんどのHIVとともに生きる人びとにおいて安全かつ有効であり、標準レジメン(製品により1回または2回の承認済みCOVID-19ワクチンの接種)を推奨通り完全に接種した場合、COVID-19の重症化または死亡のリスクを大幅に軽減することができます。しかし、HIV疾患が進行している場合や、CD4T細胞数が少ないまたはウイルス量が抑制されていない場合など、中等度から重度の免疫不全のある人々においては、標準のCOVID-19ワクチンの接種コースでは免疫反応が不十分であるというエビデンスが増えてきています。
したがって、中等度から重度の進行したHIV疾患を持つ人は、免疫反応を高めて防御力を高めるために、一次接種の拡張として、一次接種終了後1~3カ月後に追加接種する必要があります。このアプローチはWHOによる推奨を含めいくつかの主要なCOVID-19ガイドラインで推奨されています。
SARS-CoV-2の感染予防に関するワクチンの効果は、臨床的な免疫不全がなく、一次ワクチン接種に対する初期反応が良好な人でも、一次接種終了後に徐々に減少することが観察されています。現在多くの国で、ブースターとしてワクチンの追加接種がすべての人を対象に推奨されており、この中には、無症状または軽度の臨床的免疫不全であるか、CD4数が200T-cells/mm3以上でウイルス学的に抑制されているHIVとともに生きる人びとも含まれます。この追加接種は初回の接種終了後、4~6か月後に受けることができます。追加接種の戦略は、ワクチンの効果が不十分になった際に、効果を回復させることが目的です。一部の国では、中程度から重度の進行したHIV患者を含む最もリスクの高い人々に対して、初回の追加接種から3~5か月後に2回目の追加接種を実施しています。WHOが2回の追加接種を推奨するのは、初回の追加接種後に重症化・入院を予防する免疫やワクチンの有効性が低下するというさらなるデータが揃ってからになります。WHOのSAGEロードマップによると、最優先事項は、すべてのHIVとともに生きる人びとがCOVID-19の一次接種を確実に受け、HIV疾患が進行している人に対しては追加接種で補完することです。

COVID-19のパンデミック中の臨床試験・研究に対するWHOの見解は?

WHOは科学界を支援するとともに指針を提供しており、COVID-19に対する効果的な検査、ワクチン、医薬品、およびその他の介入策の研究開発を待ち望んでいます。
公衆衛生上の緊急事態に対して、WHOには新薬やワクチンの臨床試験を含む、研究開発のための体系的で透明性のあるプロセスがあります。COVID-19のためのWHO研究開発計画は、2020年1月7日に開始され、研究開発活動の世界戦略として機能しています。命を救い、大規模な危機を回避するために使用できる効果的な検査やワクチン、医薬品を迅速に利用できるようにすることを目指しています。WHOはその一環として、開発・評価のためのワクチンや治療薬の候補の優先順位付けを世界的に主導しています。試験の支援においては、WHOは科学諮問委員会を招集し、実験的なワクチンや治療薬の試験デザインに関するガイダンスを作成しました。
WHOは、COVID-19に対して実施されている既存の抗ウイルス剤などの臨床試験を積極的に把握しています。WHOはすべての臨床試験が厳格な倫理・規制基準に従わなくてはならないことを引き続き強調しています。規制当局には、実施されるすべての臨床試験を綿密に監視する役割があります。
HIVとともに生きる人びとは、SARS-CoV-2感染の予防と治療のための薬剤を評価している臨床試験に、参加する機会を与えられるべきです。

HIVとともに生きる人びとが健康的な生活を送るためのサポートとして、WHOと世界は何ができるのでしょうか?

WHOは安全で有効なCOVID-19のワクチンを公平に入手できるよう各国と協力していますが、SARS-CoV-2の感染予防とCOVID-19による死亡を減らすための行動も引き続き重要です。COVID-19への対応と並行して、基本的な保健サービスへのアクセスを維持することも重要です。これには以下の点が含まれます。

  • 抗レトロウイルス療法(ART)の継続を支援し、、COVID-19の対応が続く間は、ARTをより簡単かつ効率的に行えるようにサービスを適応させる。
  • ART開始への橋渡しとして、HIV予防と検査サービスの提供を優先事項として継続する。
  • COVID-19の流行中も、ARTを開始した人がARTを継続し、健康リスクと合併症を減らせるようにする。予防、診断、治療とともに、併存する病気や感染症の予防と治療が、基本サービスとして分類する。
  • すべてのHIVとともに生きる人とSARS-CoV-2感染者(特に進行したエイズ患者)のモニタリングを行う。特に進行したHIV疾患や合併症を持つ人の感染をモニタリングする。

HIVとともに生きる人はCOVID-19による重症化リスクが高まる可能性がありますが、効果的なARTやその他の必要な医療サービスへのアクセスを確保できれば、このリスクを最小化するのに役立ちます。 COVID-19ワクチンに関する詳細情報およびCOVID-19に関連するすべてのWHOガイダンスについては、こちらを参照してください。

コミュニティレベルで使用しやすいリソースについては、こちらをご覧ください。

参考資料

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  2. Ford N et al. Systematic review of the efficacy and safety of antiretroviral drugs against SARS, MERS or COVID-19: initial assessment. Journal  of  the  International  AIDS  Society 2020,23:e25489 |https://doi.org/10.1002/jia2.254892
  3. Gudipati S et al. Increase in false positive fourth generation HIV tests in patients with COVID-19 disease. Clin Infect Dis 2023, ciad264, ) May 2023. https://doi.org/10.1093/cid/ciad264
  4. Miller ME et al. Higher rates of false-positive HIV antigen/antibody screens during the COVID-19 pandemic: implications for pregnant patients. Am J Obstet Gynecol. 2023 Jan; 228(1): S690. https://doi.org/10.1016/j.ajog.2022.11.1156
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  6. Gray GE et al. Safety and efficacy of the HVTN 503/Phambili study of a clade-B-based HIV-1 vaccine in South Africa: a double-blind, randomised, placebo-controlled test-of-concept phase 2b study. Lancet Infect Dis. 2011; 11: 507-515.
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