Q&A(COVID-19):高齢者のリスクと安全

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19):高齢者のリスクと安全

2020年5月8日 |Q&A

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COVID-19とは?

COVID-19は、これまでヒトでは確認されていなかった新型のコロナウイルスによって引き起こされる疾患です。ほとんどの場合、空咳や倦怠感、発熱などの軽度の症状を引き起こします。高齢者の中には発熱の症状が現れない人もいます。軽度の症状には他にも、体の痛みや鼻づまり、鼻水、のどの痛み、下痢などが含まれます。感染しても症状が現れず、体調不良を感じない人もいます。ほとんどの人は、特別な治療を必要とせずに回復します。COVID-19に感染すると、6人に1人程度の割合で重症化し、呼吸困難に陥ります。

COVID-19の感染経路は?

COVID-19は、ウイルスを持っている人から感染します。人が咳や息をしたときに鼻や口から出る小さな飛沫を介して感染が広がります。この飛沫が人の周りの物や表面に付着し、他の人がこれらの物や表面に触れ、目や鼻、口に触れると、COVID-19に感染します。またCOVID-19にかかった人が咳をしたり飛沫を吐き出したりした時に、その飛沫を吸い込むことでもCOVID-19に感染します。

重症化のリスクがあるのはどのような人ですか?

高齢者や基礎疾患(糖尿病、高血圧、心疾患、肺疾患、がんなど)を持つすべての年齢層の人は、他の人よりも重症化するリスクが高い傾向にあります。

COVID-19のワクチン、薬、治療法はありますか?

西洋医学、伝統医学、民間療法の中には軽度のCOVID-19の症状を和らげ、苦痛を取り除くものもあるかもしれませんが、病気の予防や治療になると確認されている薬はありません。WHOは、抗生物質を含めたどのような薬であっても、COVID-19の予防や治療のために自己判断で使用することを推奨していません。しかし西洋医学や伝統医学で使用する薬の両方について、現在複数の臨床試験が行われています。WHOはCOVID-19を予防・治療するためのワクチンや薬を開発するための取り組みを調整していて、研究結果が得られ次第最新の情報を提供していきます。

※2020年5月の情報です。現在の薬物治療のコンセンサスについてはTherapeutics: WHO guidance(COVID-19の治療に関する暫定ガイドライン 日本語版 - 2021年3月31日改訂版)をご参照ください。

感染を防ぐために何ができますか?

感染を予防するためにできることは5つあります。 

  1. 水と石鹸でこまめにしっかりと手を洗い、十分に乾かしてください。
    また、目に見えて手が汚れていない場合、擦式アルコール製剤があればそれを使用しても構いません。こまめに手を洗うことで、手にウイルスが付いていても除去することができます。手洗いの方法はこの動画(またはポスター)で学べます。擦式アルコール製剤や石鹸が使用できない場合は、塩素系の水(0.05%)を手洗いに使用する方法もありますが、頻繁に使用すると皮膚を刺激する可能性があるため望ましくありません。 

  2. 咳やくしゃみをするときは、ティッシュか、肘を曲げた内側で口や鼻を覆ってください。
    また、使用したティッシュはすぐに蓋つきのゴミ箱に捨て、手を洗うことを忘れないでください。こうすることで、咳やくしゃみで放出されるウイルスから周りの人を守ることができます。

  3. 目、鼻、口に触れないようにしてください。
    手はウイルスに汚染されている可能性がある多くのモノの表面に触れます。不潔な手で目、鼻、口に触れると、ウイルスが自分に移ってしまいます。

  4. 他の人と物理的な距離を保ってください。
    国や地方自治体が制限措置を講じている場合、その措置を遵守することは重要です。屋外での運動は心身の健康に良いですが、地域の規制で許可されている場合だけ行ってください。外出するときは人ごみを避け、他の人と1メートル(3フィートか腕の長さ分)は離れてください。不要不急な訪問客が自宅に来ないようにしてください。訪問が必要な場合(例えば日常生活をサポートする介護者など)は、訪問時に症状がないかを定期的に確認してもらいましょう。最初に家に入った際は手を洗うなど、この5つの項目についても守ってもらいましょう。 

  5. 頻繁に触れる表面を毎日清掃、消毒する。
    表面とは、テーブル、ドアノブ、照明のスイッチ、調理台、取っ手、机、電話、パソコンのキーボード、トイレ、蛇口、流し台などを指します。表面が汚れている場合、消毒の前に洗剤または石鹸と水を使用して洗浄してください。詳細はこちらをご覧ください。

高齢者が自分の地域でCOVID-19に備えるためにできることは何ですか?

自分の地域でCOVID-19に対して備えられることはたくさんあります。

  • 健康に関わる緊急事態の際に利用できる、地域での特別な対策、信頼できるサービスや情報源(宅配便、心理社会的支援、厚生労働省のウェブサイト、年金の代わりに利用できる権利など)について知りましょう。 

  • 生活必需品のリストを少なくとも2週間分作成し、可能ならばそれらを届けてもらうようにしましょう(保存食、日用品、使用する補助器具の電池、処方薬など)。あるいは、家族、介護者、近隣住民、地域の責任者に、食料品や処方薬の注文や配達を手伝ってもらってください。そして携帯電話の残高を確認し、定期的に充電できる安全な場所を確保して、家族や友人と連絡を取り合ったり必要に応じて緊急連絡を取ったりできるようにしてください。

  • 緊急連絡先(COVID-19に関する地域の電話相談サービス、近隣の病院や医療機関の緊急連絡先、虐待被害者のためのホットライン、心理社会的支援のホットラインなど)や、支援者(家族、友人、主な介護者、地域の介護事業者、敬老会など)の一覧を作成しましょう。一人暮らしならば、この一覧を共有して、近隣住民や家族、介護者に、定期的に電話やビデオ電話で連絡をとってもらうようにお願いしても良いかもしれません。

  • COVID-19の流行中に必要な健康管理についてどう対応してもらえるかを、かかりつけの医療従事者と相談しましょう。これにより、緊急性のない予約を延期することや、医師・医療従事者と直接会う代わりに電話やビデオ電話で話すことを検討し、ワクチン接種のスケジュールを変更することもできます。

  • 介護支援を受けている場合、いつもの介護者がケアを継続できなくなったときに備えて、日常生活を支援し必要な介護を提供してくれる信頼できる別の人を、普段介護している人と一緒に確認しましょう。同時に、自分が必要としている身の回りの介護や支援、そしてそれらをどう提供して欲しいかを全てメモし、信頼している人と共有することで、必要なときに介護を受けやすくなります。

  • もし自分がケアや介護を必要とする人(孫、高齢の配偶者、障害のある子供)の主な介護者である場合自分が病気になった場合に備えて、自分や介護を受けている人が安心して介護を任せられる別の人を探しましょう。地域の自治体や、こういった場合にサポートしてくれる地域のボランティア団体によって支援を受けられる可能性もあります。

  • 自宅に複数の人が住んでいる場合は、可能であれば自宅内に離れた部屋やスペースを用意し、COVID-19の可能性のある症状がある人を他の人から隔離できるよう準備しておきます。自己隔離する場所がない場合、地域の責任者や居住している地域の自治体に連絡し、自分や他の家族を自己隔離できるような地域のスペースがあるかどうかを確認しましょう。

  • 自分に何かがあったときや、自分で判断できない場合に備えて、医学的な治療を含めたケアや支援において何が自分にとって最も重要かを考えておきましょう。自分の治療やケアに関する希望を記録する事前のケア・介護計画を作成したい場合は、医療従事者や信頼できる人に相談することもできます。自分の希望を書き、信頼できる人と共有して構いません。

COVID-19のパンデミック時に、日常的に健康を維持するためにはどうしたらいいですか?

以下の10項目に従うことで、COVID-19の流行時に健康を維持できます。

  1. なるべく規則正しい生活をして、睡眠、食事、運動など1日の自分のスケジュールを守りましょう。

  2. 社会的なつながりを保ってください。電話やテレビ電話、メール、手紙を使って、大切な人や信頼できる人と毎日、あるいはできる限りたくさん話しましょう。この時間を利用して気持ちを共有し、共通の趣味を一緒に行ってください。

  3. 毎日運動をしましょう。座り続ける時間を減らし、30分以上の運動をするなどの日々の習慣をつくります。かかりつけの医療従事者が教えてくれる、自分の体力に合った安全で適切な強度の運動をしましょう。家事は体を動かす機会として考えられます。オンラインのレッスン(太極拳やヨガなど)に参加することや、好きな音楽に合わせてダンスをすることもできます。

  4. 水を飲み、健康的でバランスの良い食事を取りましょう。水分補給ができ、免疫の向上や、慢性疾患や感染症のリスク軽減になります。栄養に関する情報はこちらを参照してください

  5. 飲酒や喫煙は避けましょう。喫煙者はCOVID-19に感染しやすいと言われています。これは喫煙が肺活量に影響を与え、喫煙という行為が口から手へのウイルス感染の可能性を高めるためです。飲酒は睡眠を妨げるだけではなく、転倒のリスクを高め、さらに免疫を低下させる可能性があります。また服用している処方薬との相互作用を引き起こします。酒量は制限するか、禁酒しましょう。

  6. COVID-19に関する報道に長く接していると、不安や絶望感に襲われることがあるため、ニュースから離れる時間を持ってください。噂や嘘と事実を区別するために、WHOのウェブサイト、国や地方のチャンネルなどの信頼できる情報源から、1日の特定の時間に最新情報を得るようにしましょう。

  7. 楽しめる趣味や運動を行ったり、新たなことを学んだりしましょう。読書やクロスワード、数独などの頭を働かせる習慣は精神を活発にし、心配から気をそらすことになります。この時間を利用して、ウェルビーイング日記をつけるのも良いことです。(例は こちら

  8. 持病がある人は処方された薬を飲み、訪問看護や電話相談については医療従事者の指示に従ってください。

  9. COVID-19と関係がない緊急性のある病状が出た場合、すぐに救急に連絡し、次に何をすべきか尋ねてください。医療従事者の指示に従いましょう。

  10. ストレス、心配、恐怖、悲しみが数日続いて日常生活に支障をきたす場合は、地域で利用できる心理社会的な支援サービスを求めてください。虐待や暴力を受けている場合、信頼できる人に伝え、関係機関に報告しましょう。また、国によっては専用の電話相談窓口が用意されており、支援を受けることもできます。

COVID-19の症状が出た場合はどうすればいいですか?

  • COVID-19に関連する症状が出た場合は、医師の診断を受けてください。可能であればまず電話をし、持病や服用している薬などの情報を伝えましょう。医療従事者の指示に従い、定期的に症状を観察してください。

  • 呼吸困難になった場合、呼吸器系の感染症の可能性があるため、すぐに救急に連絡してください。次にすべきことを知るためにも、可能ならば真っ先に電話をしてください。

  • 同居している人がいる場合は、感染が疑われ次第すぐに、あらかじめ決めておいた場所で自己隔離を開始してください。また医療用のマスクがある場合は、自身や家族もできるだけ着用するようにしてください。マスクの付け方はこちらをご覧ください。

  • 他の人と同居していて、医療従事者の指示により在宅ケアを勧められた場合、同居する人はCOVID-19の軽症患者の在宅ケアと接触管理についてのガイダンス(日本語版)に従いましょう。病気の人家族向け介護者向けのポスターをご覧ください。

  • 一人暮らしの人で、医療従事者からCOVID-19の在宅ケアを勧められた場合は、家族、友人、隣人、医療従事者、地域のボランティア団体などに定期的に様子を見てもらい、介護者向けの既存のガイダンスに従って必要に応じた支援を受けましょう。

最近大切な人をなくしました。それに対処するためのアドバイスは何かありますか?

身近な人を失うのは、原因が何であれつらいことです。このような特別な状況下で生活が乱れ、葬儀も許されないかもしれず、さらにつらいことでしょう。以下のアドバイスが役に立つかもしれません。

  • 自分の気持ちを責めないようにしましょう。家族や友人をCOVID-19で亡くしたときは、さまざまな感情を抱くと思います。また、不眠や気力の低下もあるでしょう。これらの感情は全て普通のことであり、悲しみの感じ方に正解も間違いもありません。

  • 喪失感に対する感情を処理するための時間を確保してください。感じた悲しみや苦しみは一生消えないと思うかもしれませんが、多くの場合、時間が経つにつれてその気持ちは和らいでいきます。

  • 信頼できる人に定期的に自分の気持ちを話しましょう

  • 自分ができる範囲で日常生活のリズムを守り、喜びを感じられる活動に集中するようにしましょう。   

  • 物理的な距離を保ちつつ(例えばオンラインで行うミサ)、信頼できる人(宗教家、メンタルヘルスの専門家、地域の信頼できる人など)からアドバイスや安心を得ましょう

  • 手紙を書いたりその人の絵を描いたりなど、故人とお別れをするさまざまな方法を考えましょう。葬儀ができない状況では特に、これらの小さな行動が悲しみや喪失感に対処する上で役に立ちます。

医療機関や長期介護施設にいる人のところへ面会に行くためにはどのような注意が必要ですか?

COVID-19の感染が疑われるまたは確定している人と接触した場合や、体調が悪い場合は、医療機関や長期介護施設への訪問は避けてください。

訪問時のスクリーニング(注:体温測定など)やマスクの着用など、施設の面会要件のガイドラインに従ってください。

入る前には手を清潔にし、他の人から1メートル以上間隔をあけましょう。

60歳以上の人や心臓病のような基礎疾患がある人は、訪問の際に医療用マスクを着用するなど、十分な感染予防措置を行なってください。