Q&A(COVID-19):COVID-19の疑いまたは確定患者をケアする医療従事者の感染予防および管理

更新日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19):COVID-19の疑いまたは確定患者をケアする 医療従事者の感染予防および管理に関するQ&A

2020年3月31日改訂版

原文はこちら

 

COVID-19患者が使用したベッド、タオル、リネン類を清潔にするには、どのようにすれば良いでしょうか?

COVID-19患者のベッド、タオル、衣服等を取り扱うすべての方は:

  1. 汚染されたリネン類に触れる場合は必ず、高耐久性の手袋、マスク、眼の保護具(フェイスシールドやゴーグル)、長袖ガウン、エプロン(ガウンが防水でなければ)、ブーツか密閉性のある靴などを含む、適切な個人防護具を身に着けてください。
  2. 決して汚れたリネン類を体に密着させて運んだりしないで下さい。はっきりとラベル表示された防漏型の容器、バッグ、バケツ等に入れて下さい。
  3. リネン類に便や嘔吐物など固形の排せつ物がある場合は、リネンを容器に入れる前に、平らで硬い物で排せつ物を慎重にこすり落とし、指定されたトイレに捨てて下さい。トイレが感染者と同じ部屋にない場合は、排せつ物用の蓋のあるバケツに入れ、トイレに捨てに行って下さい。
  4. リネンの洗浄と消毒:リネンの洗浄と消毒には、温水(60‐90℃)と洗濯洗剤を使用し、洗濯機で洗うことをお勧めします。洗濯機で洗浄できない場合、大きなドラムにリネン、温水、石鹸を入れ、水しぶきをあげないように棒で混ぜながら洗って下さい。温水がない場合、リネンを0.05%塩素に約30分浸し、清潔な水で洗い流し、日光で完全に乾かします。

詳細については以下もご覧ください。

中国またはその他のCOVID-19影響下の国からの運搬具、商品、製品の消毒に関する推奨事項は何ですか?

これまでに、COVID-19の影響を受けた国から出荷された商品、製品、または運搬具との接触がヒトのCOVID-19の発生源であったことを示唆する疫学的情報はありません。

そのため、これらの製品が公衆衛生にリスクをもたらすというエビデンスがないことから、COVID-19影響下の国からの商品や製品に対する消毒の推奨事項はありません。WHOはCOVID-19の知見について厳格にモニタリングをつづけ、必要に応じて推奨事項を更新します。

COVID-19が疑われるまたは確認された患者に対して鼻咽頭または口咽頭の咽頭ぬぐい液接種を行う医療従事者(HCW)は、どのような個人用保護具(PPE)を使用する必要がありますか?

COVID-19の疑いがある又は確認された患者から鼻咽頭及び口咽頭スワブ標本を収集する医療従事者は、手順について十分な訓練を受け、清潔で、非滅菌の長袖のガウン、医療用マスク、目の保護具(ゴーグル、フェイスシールド等)および手袋を着用して下さい。標本収集作業は他の部屋と隔たれた個室で行い、鼻咽頭標本の収集中は、患者に口を医療用マスクで行うように指示してください。鼻咽頭や口咽頭のスワブ標本の収集作業は、得てして患者の咳を誘発するものですが、標本収集中の咳がエアロゾルによるCOVID-19感染リスクの増加につながるというエビデンスは今のところありません。

COVID-19に対し、血液センターは定期的に血液製剤をスクリーニングすべきですか?

いいえ、SARS-CoV-2のRNA断片が症候性COVID-19患者の血液で検出されましたが、これはウイルスが生存可能 / 感染性であることを意味するものではありません。一般に、呼吸器ウイルスは輸血によって感染するものではないと考えられています。血液センターは、呼吸器症状または発熱のある個人による献血を防ぐために、定期的な献血者スクリーニング措置を実施する必要があります。予防措置として、血液センターは、過去14日間にCOVID-19の影響を受けた国への旅行歴があるか、COVID-19と診断されているか、確認済みのCOVID-19感染者と濃厚接触があったかの自己申告を推奨してください。

COVID-19の疑いまたは確定患者に接する医療従事者に、ブーツ、不浸透性の医療用エプロン、つなぎ服は標準的なPPE(個人防護具)として必要ですか?

いいえ。COVID-19による急性呼吸器疾患が疑われるまたは確認された患者をケアする医療従事者に対するWHOの現在のガイドラインでは、すべての医療従事者と患者に適用される標準予防策に加え、接触感染と飛沫感染の予防策を推奨しています。PPEに関しては、接触感染および飛沫感染の予防策として、手を保護するための使い捨て手袋の着用、衣服を汚染から保護するための清潔で非滅菌の長袖ガウン、鼻と口を保護するための医療用マスク、目の保護具(ゴーグル、フェイスシールド)をCOVID-19による急性呼吸器疾患疑いまたは確認された患者の病室に入る際に使用します。N95マスクのような呼吸器防護具は、エアロゾールが発生するような処置の際のみに必要です。COVID-19の疑いまた確定患者をケアする医療従事者向けのより詳しい情報はこちらへ。

医療用マスクは消毒して再利用してもよいですか?

いいえ。医療用のフェイスマスクは1回のみの使用を目的としています。使用後は、適切な方法で外し(マスクの前面に触れず、耳にかけるゴムや紐の部分を後ろから引いて外す)、すぐに蓋つきのゴミ箱に捨てて手指衛生を行います。COVID-19のアウトブレイク発生場所でのマスク使用に関するより詳しい情報はこちらへ。

WHOは、COVID-19の疑いまたは確定患者をケアする医療従事者に対し、なぜ接触感染と飛沫感染の予防を推奨する一方で空気感染の予防を推奨していないのですか?

WHOは、COVID-19の感染様式に関する現在利用可能なエビデンスを検討した国際的な専門家のコンセンサスに基づいて、迅速ガイダンスを策定しました。現時点でのエビデンスによれば、ウイルスの伝播は飛沫および汚染された器具の表面への接触で起こり、空気感染を支持するものはありません。他のウイルス性呼吸器感染症で示されているように、空気感染はエアロゾルが発生するような処置(例:気管挿管、気管支鏡)で起こり得ます。よって、WHOはこれらの処置にのみ空気感染の予防を推奨しています。医療従事者向けのCOVID-19予防策のより詳しい情報はこちらへ。

COVID-19のアウトブレイクに際し、WHOは健康な人への医療用マスク着用を推奨していますか?

いいえ。現時点で地域において無症状の人(呼吸器症状の無い人)の医療用マスク着用がCOVID-19の伝播を防ぐというエビデンスはないため、WHOとして推奨はしていません。地域においてマスク着用が推奨されるのは、症状を有する方です。マスクの誤った使用や過剰な使用により、マスクの在庫不足、本当に必要な人がマスクを使用できなくなるなどの深刻な事態が起こり得るのです。

医療従事者がCOVID-19の疑いまたは確定患者の急性呼吸器疾患を直接ケアしている医療施設では、マスクは、PPE(個人用保護具)や手指消毒と同じく、ヒトーヒト感染を抑える重要な意味があります。医療用マスク使用に関するさらなる情報は、こちらへ。

COVID-19感染疑いの人と感染が確認された人を同室にコホーティングする(1か所に集める)ことは可能ですか?

理想的には、COVID-19による急性呼吸器感染症が疑われる人、確定された人は個室に隔離して管理すべきです。しかし、難しい場合(例:個室の数が限られている)にはコホーティングもオプションとして許容されるでしょう。COVID-19疑いの患者については、実際には別の呼吸器感染症に罹患していることも考えられるため、COVID-19が確認された患者とは別室にコホーティングしなければなりません。コホーティングの際にも、ベッドの間隔は最低でも1m以上空けましょう。

COVID-19が疑われる人、確認された人は、軽症でも入院させる必要があるのですか?

いいえ。微熱、咳、倦怠感、鼻漏、咽頭痛などの症状のある人で、呼吸促迫、呼吸困難、痰や血痰の増加などの呼吸器症状、および嘔気、嘔吐、下痢などの消化器症状の増加を伴わず、精神状態の変化を認めない場合は、急な増悪の懸念が無い限り入院させる必要はないでしょう。ただし、退院、帰宅させるすべての患者に対して、症状が悪化したらすぐに受診するよう説明しておきましょう。入院に関する詳細な基準はこちらへ。

軽症のCOVID-19患者を自宅でケアする場合のより詳細な情報はこちらへ。

COVID-19の疑いまたは確定患者で入院が必要な場合、専門の病院または大規模病院での入院が必要ですか?

いいえ。現在のWHOの推奨では、COVID-19の急性呼吸器感染症が疑われるか確認された患者の治療を、専門の病院または大規模病院に限るとはしていません。しかし、他の臨床的な理由(例:二次救命措置が可能かどうか)で、患者にとってより安全にケアができそうだと判断した場合には、国または地域の管轄において、そのような病院(専門病院または大規模病院)を選ぶ場合もあります。いずれにしても、COVID-19の疑いまたは確定患者を治療する医療施設は、患者、スタッフ、および訪問者を保護するために、WHO の感染予防および管理の推奨を遵守する必要があります。日本語ガイダンスはこちらから

COVID-19感染が疑われる人、確定された人を収容する医療施設や家庭では、清掃時にどのような消毒薬が推奨されますか?

COVID-19の疑いまたは確定患者を収容する医療施設または家庭における清掃では、COVID-19や他のコロナウイルスなどのエンベロープウイルスに対して活性のある消毒剤を使用する必要があります。一般的に使用されている病院の消毒剤を含む多くの消毒剤が、エンベロープウイルスに対して有効です。現在、WHOの推奨事項には次の使用が含まれています。

  • 再利用する機器の使用間に機器(体温計など)を消毒する 70%エチルアルコール
  • 家庭や医療施設で頻回に触れるものの表面を消毒するための0.5%(5000ppm相当)次亜塩素酸

重篤な急性呼吸器感染を有し、COVID-19が疑われる場合の診療マネジメントの日本語ガイダンスはこちらから。

COVID-19が疑われる場合の医療施設における感染予防・管理に関する日本語ガイダンスはこちらから。

環境清掃に関するより詳細な情報はこちらから。

乾燥している物の表面で、新型コロナウイルスはどれくらいの間生存できますか?

現時点でCOVID-19の物の表面での安定性についての有効なデータはありません。SARSやMERSに関する実験ベースのデータから、環境におけるウイルスの安定性は、相対温度、湿度、表面の性質に依存することが分かっています。WHOではCOVID-19の関連情報収集を継続し、エビデンスが利用可能となり次第更新していきます。

COVID-19が疑われる人または確定された人の廃棄物に特別な取り扱いは必要でしょうか?

いいえ。COVID-19が疑われる人または確定された人の医療施設や家庭での廃棄物については、感染性廃棄物として処理してください。感染性廃棄物の処理に関する詳細な情報はこちらをご覧ください。CDCのウェブサイトの情報はこちらから。

COVID-19で死亡した患者の遺体の管理に特別な手順はありますか?

いいえ。COVID-19で死亡した患者の遺体管理に特別な手順はありません。当局および医療施設は、感染症で死亡した患者の死後管理の指針となる既存の方針や規則に沿って進めるべきです。

隔離病棟とその種類、設備や必要事項を設定するためのモデルはありますか?

隔離病棟設置のためのモデルは現在策定中です。COVID-19患者をケアする医療従事者向けのPPEの仕様は、こちらの「疾患用品パッケージ」に記載されています。

塩素溶剤も使用可能ですか?

塩素溶剤は、その作成や希釈に際して手がかぶれたり体調が悪くなったりする(目のかぶれや呼吸器症状を含む)リスクが高いため、強く使用を控えるよう推奨します。加えて、塩素溶剤は日光や熱によって殺菌作用を失う可能性もあります。塩素溶剤の準備には、購入可能な市販の漂白剤(それぞれ濃度が異なる)から正確に0.05%の溶剤をつくる訓練を必要とします。さらに、涼しく乾燥した場所に日光を遮る蓋をして保管していても、塩素溶剤は毎日作り替えなければなりません。これに対して単純な石鹸水は、上記の健康リスクや日光や熱による殺菌能力の消失もありません。石鹸水の殺菌効果はCOVID-19の原因ウイルス表面の脂質の膜を分解することによるものだからです。