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2018

健康な高齢化を支える地域レベルの社会的イノベーション(CBSI)レポートを発表

WHO神戸センターは「健康な高齢化を支える地域レベルの社会的イノベーション(CBSI)」研究のPhase 2に関するレポートを発表しました。本研究では10カ国(チリ、中国、イラン、レバノン、ロシア、セルビア、スリランカ、タイ、ウクライナ、ベトナム)でのケーススタディを実施し、CBSIを高齢者が自分や周りの高齢者をケアすることができて、ウェルビイングを維持し、社会とつながっていくための地域レベルの取り組みと定義しました。

CBSIの健康への影響を検討する中で、有益な効果には心理社会的なものが多いことがわかりました。例えば、社会的に孤立してしまった高齢者の地域参加・社会復帰などがあげられます。また、CBSIによって医療や社会的ケアを選択する際に提示される複雑な選択肢から高齢者が自ら選ぶための支援やインフォーマルな介護者(その多くは女性)の支援などが可能であることが明らかになりました。

CBSIの課題には、多くのCBSIの運営をボランティアに依存していて、持続的な財源を持たず、保健制度・社会福祉制度との連携が希薄であることがあげられます。地域レベルのケアとは地域の課題を地域内で解決することではなく、国や自治体の保健部門との連携が大変重要となります。

今後の研究においてWHO神戸センターではCBSIの一般化や大規模化の可能性を評価するため、地域レベルのサービス提供におけるイノベーションを重視していきます。

詳しくは、健康な高齢化を支える地域レベルの社会的イノベーション(CBSI)ページをご覧ください。

WKCフォーラム「『日本の経験を世界へ』高齢化の中でのUHCの実現」開催

WHO神戸センターはWKCフォーラム「『日本の経験を世界へ』高齢化の中でのUHCの実現」を下記のとおり開催します。

世界のほとんどの国の平均寿命は60歳を超え、60歳以上人口は2015年の9億人から2050年には20億人に倍増すると予想されています。

高齢先進国の日本には早くから高齢化対策に取り組み、健康な高齢化を推し進めてきた教訓が豊富に蓄積されています。世界各国が急激な人口動態の変化に対応し保健システムを見直すという大きな課題に直面する中、日本の教訓を生かすことができるのではないでしょうか。

今回のWKCフォーラムではWHO神戸センター新研究: 日本の知見を世界に向けて発信の中から3研究の主導研究員の先生方に研究の概要についてご紹介いただきます。

多くの皆様のご参加をお待ちしております。

WKCフォーラム「『日本の経験を世界へ』高齢化の中でのUHCの実現」

日時: 2018年11月10日(土) 14:40~16:40
会場: 神戸国際会議場1Fメインホール(ポートライナー「市民広場駅」下車すぐ)
参加費:無料
事前申し込み不要、直接会場へお越しください。
お問い合わせ:日本コンベンションサービス株式会社「第72回国立病院総合医学会市民公開講座」係(06-6221-5933)

※WKCフォーラム「『日本の経験を世界へ』高齢化の中でのUHCの実現」は第72回国立病院総合医学会の一部として開催します。

プログラム
14:40 開会挨拶
WHO神戸センター所長 サラ・ルイーズ・バーバー

14:50 研究発表
座長:WHO神戸センター上級顧問官 野崎 慎仁郎

14:50 「日本の長寿者に学ぶ支援機器の利活用」
             東京大学大学院新領域創生科学研究科 二瓶 美里 講師

15:25 医療ビッグデータの分析と活用のために~効率的な医療提供に向けて~
             産業医科大学公衆衛生学教室 冨岡 慎一 助教

16:00 「介護分野における外国人技能実習のためのICF(国際生活機能分類)を基盤とした評価ツールの開発」
             兵庫県立大学大学院経営研究科 筒井 孝子 教授

16:35 まとめ

 

WKCフォーラム「健康・災害リスク管理における科学的進歩へのグローバルな取り組み-アジア太平洋地域へ期待されること」を開催 

WHO神戸センターは、アジア太平洋災害医学会と協力して、WKCフォーラム「健康・災害リスク管理における科学的進歩へのグローバルな取り組み-アジア太平洋地域へ期待されること」を10月16日、シーサイドホテル舞子ビラ神戸で開催し、約200人が参加しました。

基調講演では、WHO ジュネーブ本部で災害リスク管理を担当するJonathan Abrahamsが「災害リスク管理の概念、考え方が変わってきています。受動から能動へ、個々の災害対応から災害脆弱性や地域の対応能力へ、担当分野ごとの災害対応から、分野横断的な対応へとシフトしてきています。WHOでは現在、包括的な災害・健康危機管理の枠組を策定しています」と語りました。

英国公衆衛生庁(Public Health England)のVirginia Murray教授はWHOの災害・健康危機管理に関するグローバル・リサーチネットワークの展望について述べ、「このリサーチネットワークの研究を通じて、適切なモニタリング・評価に関する科学的なエビデンスを構築することが重要です。また、災害後の健康データ管理についてもさらに検討していく必要があります」と話しました。

香港中文大学のEmily Ying Yang Chan教授は、「健康危機と災害が人々の生活にもたらす影響は計り知れません。この分野にはまだまだ研究ギャップがあり、災害・健康危機管理領域のエビデンスの構築が必須で、地域レベル、国家レベル、世界レベルからのインプットが必要です」と述べ、研究協力を呼びかけました。

続くパネルディスカッションでは「日本における災害発生時のヘルスサポートシステムとデータ管理システム」「災害発生後のこころのケア」のテーマに専門家から最新研究の紹介があり、熱い議論が繰り広げられました。

 

 

関連リンク

プログラムと登壇者一覧

第14回アジア太平洋災害医学会公式ウェブサイト:http://www.apcdm2018.org/index.html

「国際災害医療県民フォーラム~神戸・ひょうごから世界に向けて~」チラシ:http://apcdm2018.org/data/program/hyogo_forum02.pdf

WKCフォーラム「健康・災害リスク管理における科学的進歩へのグローバルな取り組み-アジア太平洋地域へ期待されること」開催のお知らせ 

WHO神戸センターは、アジア太平洋災害医学会と協力して、WKCフォーラム「健康・災害リスク管理における科学的進歩へのグローバルな取り組み-アジア太平洋地域へ期待されること」を下記のとおり開催します。

近年、自然災害は増加し、災害がもたらす被害は深刻化しています。人々の健康と暮らしを自然災害から守るにはどのような対応や政策が求められているのでしょうか?

2016年、WHOは世界の専門家・研究者に呼びかけて、グローバル・リサーチネットワークを立ち上げました。ネットワークではコアメンバーが会議を重ね、健康・災害リスク管理に関わる政策について検討し、エビデンスの構築に向けて動き始めました。

本シンポジウムではWHOのグローバル・リサーチネットワークの展望について紹介するとともに、災害の多い日本やアジア太平洋地域の持つ知見の世界的な貢献について、議論します。

昨年、WHO 緊急医療チームが情報収集や報告に使用する基礎情報セット (Minimum Data Set)に日本が開発した医療情報収集方式を採用することが決定し、世界的にも大きな話題となりました。この基礎情報セット (Minimum Data Set)の今後の活用、また医療データ以外のデータの活用についても本フォーラムで議論されます。

日時:2018年10月16日(火)15:15~18:30

会場:シーサイドホテル舞子ビラ2階

言語:日本語・英語同時通訳

定員:300人

国際災害医療県民フォーラム参加方法やプログラムなど詳細はフォーラムチラシ(下記リンク)をご覧ください。

お問い合わせ先:兵庫県災害医療センター事務部(078-241-3131(代))

「健康・災害リスク管理における科学的進歩へのグローバルな取り組み-アジア太平洋地域へ期待されること」は第14回アジア太平洋災害医学会の国際災害医療県民フォーラムの一部として開催します。

 

WKCフォーラム「健康・災害リスク管理における科学的進歩へのグローバルな取り組み-アジア太平洋地域へ期待されること」

プログラムと登壇者一覧ダウンロード

(敬称略)
モデレーター: WHO神戸センター 茅野龍馬
開会挨拶:WHO神戸センター Sarah Louise Barber所長、兵庫県災害医療センター 中山伸一センター長
講演:

  • WHO ジュネーブ本部 Jonathan Abrahams
  • イングランド公衆衛生サービス(PHE)Virginia Murray
  • 香港中文大学 Emily Ying Yang Chan
  • フィリピン大学 Tedoro Herbosa
  • 産業医科大学 久保達彦
  • Chulabhorn病院(タイ王国) Phumin Silapunt

災害時健康危機管理の研究における主要領域と最新活動

パート1:日本における災害発生時のヘルスサポートシステムとデータ管理システム

座長:大阪府済生会千里病院甲斐 達朗/香港中文大学 Emily Ying Yang Chan

  • 東京医科歯科大学 大友康裕
  • 独協医科大学 五明佐也香
  • 浜松医科大学 尾島俊之
  • 東北大学災害科学国際研究所 江川新一

パート2:災害発生後のこころのケア

座長:筑波大学 高橋晶/イングランド公衆衛生サービス(PHE)Virginia Murray

  • 国立精神神経医療研究センター 金吉晴
  • Sherbrooke大学(カナダ)Mélissa Généreux
  • 兵庫県立大学 増野園惠
  • Bangchak 病院(タイ王国)Kaninn Keeratipongpaiboon

閉会挨拶: 

  • WHO西太平洋地域事務局 Heather Papowitz
  • WHO東南アジア地域事務局 Nilesh Buddh

関連リンク

プログラムと登壇者一覧

第14回アジア太平洋災害医学会公式ウェブサイト:http://www.apcdm2018.org/index.html

「国際災害医療県民フォーラム~神戸・ひょうごから世界に向けて~」チラシ:http://apcdm2018.org/data/program/hyogo_forum02.pdf

2025年万博に向けて、「健康づくり」を考える

大阪府は2025年万博のテーマである「いのち輝く未来社会」の理念に基づいて、いきいきと長く活躍できる「10歳若返り」をビジョン掲げています。この「10歳若返り」のビジョンを府民に分かりやすく明確化し、取組んでいくために、7月から9月にかけて幅広い有識者を招いたワークショップが計5回開催されました。

9月5日に開催された第5回ワークショップにはWHO神戸センターのローゼンバーグ・恵美技官が参加し、WHOの取り組み、特に高齢化やユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けた取り組みについて説明しました。

ローゼンバーグ技官は意見交換のセッションで「『健康づくり』は個人の努力に限定されず、個人を取り巻く環境の影響が大きい。自身の健康づくりに無関心な層も取り込み、誰も取り残さないためには日々の生活の中に健康づくりを浸透させる必要がある。そのためには保健医療をはじめとする各専門分野の壁を越えて、行政、企業、研究機関などが共同して健康づくりを進めることが重要。今日のワークショップでも紹介された吉本興業と医学系研究機関との独創的なパートナシップのような「大阪らしい」健康づくりを今後もぜひ進めてほしい。」

詳しくは大阪府ウェブサイトをご覧ください。発表資料など詳細がご覧いただけます。
http://www.pref.osaka.lg.jp/kikaku_keikaku/inochi_v/inochi_ws.html

 

 

 

Training hospital administrators to use data for better care

産業医科大、医療データの分析力の向上のためのワークショップを開催

産業医科大学は医療データの高度な分析を行うことができる人材育成のための上級コース「医療データ分析コース」を6月14~16日に開催しました。このコースはWHO神戸センターからの委託研究プロジェクトの一環で、昨年11月の初回よりリニューアルした第2回目の今回、全国の様々な病院の中堅クラスの職員30名が参加しました。

産業医科大学がWHO神戸センターとの委託研究プロジェクトとして進める「超高齢社会日本のUHC持続に向けた 効率的な医療提供とは ~大規模ヘルスデータの二次分析~」(研究代表者:冨岡慎一助教)では、超高齢社会の日本における一次・二次レベルの医療について、より効率的、公平かつ費用対効果の高い医療を提供するためのエビデンス構築を目指して、 外来、 在宅、 災害時、 急性期病院の4領域に分けた二次分析を実施しています。

そして、その研究の一環として、急速に整備発展が進む医療データに対して、現場で適切にインプット、さらに高度な分析まで実施することができる人材の育成に取り組んでいます。

 今回のコースで冨岡助教が「世界的にも評価の高い日本の医療システムから多くのエビデンスを発信していくためにもデータの精度が重要。より質の高い医療を効率よく提供するためには、各医療機関においてインフォーメーション・ガバナンスの中核を担う人材が求められており、これからもその必要性は年々増していくだろう」と開催の主旨を説明しました。コースは講演の他に、ケーススタディー形式のワークショップと個別レポートの審査を経て修了と認められます。

このコースは計3回の開催を予定しており、次回は今年11月の開催を予定しています。

WHO神戸センターウェブサイトを刷新

WHO神戸センターはWHO本部直轄の政策研究センターとして、設立以来、世界の「都市化」や「高齢化」などさまざまなテーマについて研究を進めてきました。現在は「持続可能なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)実現に向けた 革新的なイノベーションを創出」をビジョンに掲げ「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」、「イノベーション」、「高齢化」、「健康危機管理」を4つの柱として研究を進めています。

さて、この度、WHO神戸センターのウェブサイト(日本語・英語)を刷新し、現在取組んでいる研究や活動内容についてご紹介しています。また、ウェブサイトを通じて新研究の募集やイベント情報なども随時お知らせしてまいります。

WHO神戸センターのサラ・ルイーズ・バーバー所長は「世界が直面する健康課題に取組んでいくためには、日本の知見、世界の知見を統合して活用していくことが求められています。WHO神戸センターはウェブサイトを通じて、保健政策やイノベーションに役立つ日本の知見、世界の知見を発信していきます」と語っています。

詳しくは新しいWHO神戸センターウェブサイトをご覧ください。

http://www.who.int/kobe_centre/ja/(日本語)
http://www.who.int/kobe_centre/en/(英語)

「ASEAN諸国の高齢化を考慮したユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)促進のための研究」ワークショップを開催

WHO神戸センターと神奈川県はASEANの研究チームを対象としたワークショップ「UHCと高齢化の影響に関する研究開発プログラム」を3月26日~29日、横浜で開催しました(協力:厚生労働省)。このワークショップは昨年7月に開催された「日・ASEAN保健大臣会合 ~ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と高齢化~」のフォローアップとして、WHO神戸センターが公募した「ASEAN諸国の高齢化を考慮したユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)促進のための研究」の最終選考段階の研究計画の強化を目的として開催されました。

冒頭に神奈川県の黒岩祐治知事は、高齢社会に対応する革新的な保健医療政策への強い意欲と支持を表明し、ASEAN 9カ国と日本からの参加者を歓迎するとともに、「このワークショップを通して、参加者の皆様が神奈川県の革新的な保健医療政策についての理解を深めるとともに、ASEANと神奈川県の研究者の間で、今後の連携に繋がるネットワークが形成されることを期待します」と述べました。

続いて、WHO神戸センターのサラ・ルイーズ・バーバー所長は「WHOとWHO神戸センターは、ASEAN諸国のUHC推進に関する研究をこれからも積極的に支援していきます」と話しました。

また、神奈川県から高齢化対策の一環として県が取り組むME-BYO(未病)のコンセプトについて、WHO神戸センターからは本研究プログラムの目的について、「ASEAN諸国の保健制度の発展-高齢化と疾病負担-」「WHO神戸センターの研究の品質管理」をテーマに説明しました。 午後のセッションでは各研究チームがそれぞれの研究計画を発表し、他の国の参加者と活発な議論が繰り広げられました。

2日目は、神奈川県のライフイノベーションセンターや川崎市の殿町国際戦略拠点にある保健医療関連施設を視察し、3日目と4日目は研究計画書を強化するためにWHOスタッフが各研究チームを支援しました。

フィリピン大学のカニラ助教は、「このワークショップはWHOスタッフの助言を受けて研究計画を強化する貴重な機会となりました。戦略的に国内で研究を進めることの重要性を認識しました」と述べ、ハノイ保健政策戦略機関のトラン氏は、「WHOスタッフと議論できたことが有意義でした。具体的な強化の方法について理解することができました。」と述べました。ワークショップの最後には、各研究チームがインプットを受けて修正した研究計画と研究実施プランについて発表しました。

ミーティングレポート

 

WHO神戸センター新研究発表会開催のお知らせ

4月7日は世界保健デー(World Health Day)です。
WHOでは毎年、この日に健康に関するテーマを選び、世界各地で啓発を行っています。
今年のテーマはユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)です。
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは世界中の誰もが、必要な時、 必要な場所で経済的に困窮せずに必要な保健医療サービスを受けられることを意味します。世界中の誰もが、生活のために健康を犠牲にするようなことがあってはならないのです。

WHO神戸センターではユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現を目指して、革新的なソリューションを研究し、高齢社会に対応する政策研究を推し進めています。

このたび、WHO神戸センターは神戸市と共催で、世界保健デー記念・神戸医療産業都市20周年記念「はっと! ! KOBE 健康フェア」をHAT神戸のWHO神戸センターとJICA関西にて下記のとおり開催します。

WHO神戸センター会場ではWHO神戸センターの新研究を紹介する研究発表会を開催。また、WHO神戸センターツアー(説明会)を実施します。
JICA関西会場では、五輪メダリストの朝原宣治氏を招いた講演会「挑戦を続ける人にチャンスがある~オリンピックをとおして学んだこと~」(要予約)などが開催されます。詳しくは神戸市の発表をご覧ください。

(世界保健デー(4月7日)は世界保健機関 (WHO) が設立された 1948 年 4 月 7 日を記念して設けられました)

世界保健デー・神戸医療産業都市20周年記念
はっと!! KOBE 健康フェア

日時: 2018年4月7日(土) 10: 00-16: 00(一部17時まで)
会場: WHO神戸センター、ならびにJICA関西
(WHO神戸センター会場: 神戸市中央区脇浜海岸通1-5-1 I.H.D.センタービル9階)
(JICA関西会場: 神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2)
参加費: 無料

Programme:

WHO神戸センター会場

10:00-12:00
WHO神戸センター新研究発表会
「寝たきりにならないために入院中の過ごし方を科学する」
和歌山県立医科大学 リハビリテーション医学講座 田島 文博 教授

「高齢社会におけるアシスティブテクノロジーの研究と展望」
大阪医科大学 総合医学講座リハビリテーション医学教室 佐浦 隆一 教授

「高齢者のリハビリ効果の測定」
奈良県立医科大学リハビリテーション科診療部長 城戸 顕 教授

「認知症の社会負担軽減に向けた神戸プロジェクト」
神戸大学医学部附属病院臨床研究推進センター 永井 洋士 教授

「災害後の人々の健康維持・回復に向けたケア戦略の開発」
兵庫県立大学地域ケア開発研究所 山本 あい子 教授

12:30-12:50
第1回WHO神戸センターツアー(説明会)

15:00-15:20
第2回WHO神戸センターツアー(説明会)

※プログラムは一部変更になる可能性があります。

WHO神戸センター研究発表会は申し込み不要、WHO神戸センターツアーは当日JICA関西1階にて申し込みを受け付けます(定員25名(各回))、いずれも無料。

世界保健デー・神戸医療産業都市20周年記念
はっと!! KOBE 健康フェアご案内
pdf, 2.31Mb

WHO神戸センター新研究: 日本の知見を世界に向けて発信

―高齢化とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に関する研究

高齢化は世界規模で進行し、いまや「健康に長生き」が可能な時代となりました。世界のほとんどの国の平均寿命は60歳を超え、60歳以上人口は2015年の9億人から2050年には20億人に倍増すると予想されています。

高齢先進国の日本には各国に先んじて高齢化対策に取り組み、健康な高齢化を推し進めてきた教訓が豊富に蓄積されています。世界各国が急激な人口動態の変化に対応し保健システムを見直すという大きな課題に直面する中、日本の教訓をもっと生かすことができるのではないでしょうか。

そこで、WHO神戸センターは2017年、日本の研究機関を対象に高齢化が進む世界のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)推進に寄与する日本の知見を研究公募しました。
厳正な審査を行った結果、以下の5つの研究が選ばれ、この度すべての研究が開始する運びとなりました。

WHO神戸センターのサラ・ルイーズ・バーバー所長は「今回の研究の目的は政策・技術面で日本に蓄積されている貴重な教訓を論文化し評価していくことです。世界各国が日本と同じような課題に直面する中で日本の知見が活用されれば嬉しいです」と語っています。

なお、和歌山県立医科大学 リハビリテーション医学講座 田島 文博 教授と兵庫県立大学 地域ケア開発研究所 広域ケア実践研究部門 山本 あい子 教授は4月7日にWHO神戸センターで開催するWHO神戸センター新研究発表会に参加されます。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

WHO神戸センター新研究: 日本の知見を世界に向けて発信

(研究者氏名によるアルファベット順)

日本の長寿者に学ぶ支援機器の利活用

主導研究者: 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 二瓶 美里 講師

研究概要: 支援機器(Assistive products)は高齢者が自宅や地域社会で快適に暮らし、社会の一員として活力のある生活を維持し、さまざまな障害をクリアするために欠かせない存在となっています。そして、高齢者の支援機器利用やサービスに関する経験値が超高齢社会の日本には豊富に蓄積されています。本プロジェクトでは、日本の90歳以上の長寿者が実際にどのような支援機器を使用し、日常生活に活用しているのか実態を調査します。調査結果は国内のみならず世界の福祉・サービス提供における支援機器利用計画に活用されることが期待されます。

高齢者の生活の質を高めるための新しい支援テクノロジーの開発

主導研究者: 和歌山県立医科大学 リハビリテーション医学講座 田島 文博 教授

研究概要: 高齢者にとって身体機能を維持・向上し、日常生活動作(ADL)と生活の質(QOL)を維持することは極めて重要です。本研究は関西地域の5大学による共同プロジェクトで、新しく開発された支援テクノロジーを用いて、a) 入院中の高齢者の機能維持のための活動量評価、b) 転倒リスクの高い姿勢や活動の同定、c) 効果的なリハビリテーション実施のための活動度設定の基礎データ作成を行い、高齢者のADLとQOLの維持・向上のための戦略立案を目指します。

超高齢社会日本のUHC持続に向けた効率的な医療提供とは~大規模ヘルスデータの二次分析~

主導研究者: 産業医科大学 公衆衛生学教室 冨岡 慎一 助教

研究概要: 超高齢社会の日本における一次・二次レベルの医療について、より効率的、公平かつ費用対効果の高い医療を提供するためのエビデンス構築を目指して、 外来、 在宅、 災害時、 急性期病院の4領域に分けた二次分析を実施します。具体的には、DPCデータ、レセプト(診療報酬明細書)データ、J-SPEED(日本版災害時診療概況報告システム)データなどの大規模な二次データの横断的な統計解析を実施することで検討していきます。保健制度・政策の指針となるエビデンスの提供を目指します。

介護分野における外国人技能実習のためのICF(国際生活機能分類)を基盤とした評価ツールの開発

主導研究者: 兵庫県立大学大学院 経営研究科 筒井 孝子 教授

研究概要: 世界で人口高齢化が進行し、現場における介護の負担はますます深刻になっています。この状況は東アジアにおいて顕著で、介護人材の需要は2050年までに少なくとも倍増すると見込まれています。日本では世界的な介護職の人材不足に対応するために「外国人技能実習制度」の対象職種に新たに介護職種が追加されることになりました。これは、介護分野での就労を希望する外国人を対象とした初めての実習プログラムです。本研究ではこの実習プログラムに焦点を当てて、外国人研修者の介護技能習得の達成度を評価するツールの開発を目的としています。また、海外での応用も見据えて、既存の評価ツールの国際生活機能分類(ICF)の活用の可能性も検証します。

災害後の人々の健康維持・回復に向けたケア戦略の開発

主導研究者: 兵庫県立大学 地域ケア開発研究所 広域ケア実践研究部門 山本 あい子 教授

研究概要: 自然災害は大規模化し、かつ頻発に発生しており、災害リスクとその影響の低減の検討が求められ、特に災害弱者の健康への配慮が求められています。本研究は、支援を受けながら生活している高齢者の災害後の基本的なニーズや課題等について明らかにする質的研究と、医療職や行政職を対象とした、PTSD、うつの予防プログラムとその実施における課題を評価する研究とを通じて、よりよい健康危機管理のための提言を目指します。

研究概要一覧