News Archive by Year

2017

委託研究者募集 「ASEAN各国におけるがんの社会的負担と保健システムへの影響に関する研究~UHC達成に向けて」

WHO神戸センターは「ASEAN各国におけるがんの社会的負担と保健システムへの影響に関する研究~UHC達成に向けて」研究の委託研究者を募集します。
本研究ではASEAN諸国のがんによる社会負担を評価し、疾病動向とその背景、公共政策と規制対策によるがんの予防・管理、また、有効な治療法や症状のコントロールについて検討していきます。 日本やASEAN諸国の研究者からの応募を歓迎します。

詳しくはRequest for Proposalsをご覧ください(英語)提出期限:2018年1月5日18時(日本時間)

Request for Proposals(英語)

世界の人口の半数が基礎的保健医療サービスを利用できず、1億人が医療費が原因で極度の貧困状態に

健康は人権です。しかし、世界中の誰もが、受けるべき質の高い保健医療サービスを受けることができる「あるべき姿」には、まだまだ到達できていないのが実情です。世界銀行とWHOが発表した報告書によると基礎的保健サービスを受けられずにいる人の数は世界人口の半数にのぼり、毎年多くの世帯が医療費の自己負担が原因で貧困に陥っているのです。
12月12日から15日にかけて東京で開催されたUHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)フォーラム2017には世界のリーダーが集結し、UHC達成に向けて取り組みを加速させていくことを改めて確認しました。#HealthforAll

2017 Year in review: Key health issues

2017年のWHOの世界各地での活動を振り返ります。感染症や健康危機への対応やグローバル政策の立案、WHO事務局長選挙など、2017年のWHOを振り返ります。

2017 Year in review(英語) - 英語版

WHOエイジフレンドリーシティーズ・アンド・コミュニティーズ研修会を開催

世界保健機関(WHO)のエイジフレンドリーシティーズ・アンド・コミュニティーズは、健康で活力ある高齢化を促進する場であるというビジョンを掲げています。それに向けた各地域における取り組みを支援するプラットフォームとして、WHOは2010年にエイジフレンドリーシティーズ・アンド・コミュニティーズのグローバルネットワークを設立しました。現在37カ国533の市町村とコミュニティが参加し、全世界で1億5800万人以上を網羅する国際的なネットワークへと成長しています(2017年11月21日現在)。グローバルネットワークに参加する市町村やコミュニティは、エイジフレンドリーな環境づくりに取り組み、その経験、成果、知見をネットワークの中で共有します。

日本は高齢化が世界で最も進んでいるものの、グローバルネットワークに参加している自治体は最近までわずか2市でした(2011年秋田市、2016年宝塚市が参加)。国内でエイジフレンドリーシティーへの注目や関心が高まる中、今年10月には神奈川県の19市町がグローバルネットワークに参加しました。日本の自治体が成功例や見識を発信することは、グローバルネットワークに貴重な貢献を果たすことになります。一方で、日本の自治体は、グローバルネットワークとつながることで、ネットワークに蓄積された知識、経験、リソースを活用することができ、また、それぞれの努力の成果が世界で認められることになります。

そこでこのたび、WHO神戸センターは国内9つの自治体を対象にエイジフレンドリーシティーズ・アンド・コミュニティーズの研修会(2017年12月4 日(月)、 5日(火))を開催します。本研修会は、市町村のグローバルネットワークへの参加を支援し、エイジフレンドリーシティーズ・アンド・コミュニティーズの国内ネットワーク立上げを率先できるように地方自治体の能力を高めることに重点を置きます。

本研修会では、WHOが[1]高齢化と健康に関する世界戦略と行動計画の概要、[2]エイジフレンドリーシティーズ・アンド・コミュニティーズ・イニシアチブ、[3]グローバルネットワークについて講演します。また、秋田市と宝塚市からグローバルネットワークのメンバーとしての活動、神奈川県からグローバルネットワークのアフィリエイトとしての活動、特に県内19市町のグローバルネットワークへの参加を支援した経験について講演していただきます。

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災害後の中長期的心理社会的影響に関する研究

自然災害の発生頻度と被害はここ数十年増加傾向にあり、防災における保健・健康の重要性は2015年に仙台で開催された第3回国連防災世界会議の成果文書「仙台防災枠組2015-2030」でも大きく取り上げられ、保健・健康に関する科学的エビデンスの構築が必要と訴えています。

また、防災対策を論じる上で災害への備えや急性期対応に焦点が置かれる傾向があり、中長期的な心理社会的影響や、被災者のニーズ、実際の介入策に関するエビデンスが不足しています。

そこで、本研究では、WHO神戸センターが国立精神・神経医療研究センター(主導研究施設)と協力し、兵庫県こころのケアセンター、日本の専門家ワーキンググループ(21名の有識者によって構成)と連携しながら、心理社会的影響に着目して、日本の防災に関する知見を集約していきます

具体的には、今年2月には専門家会議を開催。現在は全国調査を実施し、災害後の中長期的心理社会的影響のマネジメントに関する知識ギャップを調査しています。調査結果は政策提案とともに来年発表する予定です

WHO神戸センター茅野龍馬医官は「本研究の成果が、中長期的な対策の重点領域を明らかにし、被災者の方々の長期的な生活の質の向上に資することを期待します」と述べています。

研究の目的

  1. 被災者の中長期的な心理社会的影響に関する知識・対策の主要なギャップを明らかにする
  2. 災害後の中長期的な心理社会的影響のマネジメントに関するエビデンスに基づいた政策オプションを提示する
  3. 災害・健康危機管理に関する科学的エビデンスを日本から世界へ発信する

Research brief

  • 災害後の中長期的心理社会的影響に関する研究(日本語英語

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「世界糖尿病デー」 11月14日

「世界糖尿病デー」は、急増する糖尿病の脅威に対応するため、国際糖尿病連合とWHOによって1991年に設けられ、2006年には国連デーのひとつとして採択されました。以来、毎年この日を記念して、 11月14日に世界各地で糖尿病啓発キャンペーンが展開されてます。

2017年の「世界糖尿病デー」のテーマは「女性と糖尿病-健康な未来への権利」です。

現在、世界ではおよそ2億人の女性が糖尿病を患っており、毎年210万人の女性が糖尿病が原因で死亡、女性の死因第9位となっています。そこで、今年は女性と糖尿病をテーマに取り上げ、世界中の糖尿病と生きる女性が治療薬や保健・医療サービスを支払える負担で受けられること環境整備の重要性を訴えています。その他、妊娠中の女性に対する妊娠糖尿病の啓発・糖尿病検査やケアの充実や、健康なライフスタイルを次世代を築く女性の役割についても強調しています。

女性特有のニーズに配慮した政策の実行と保健システムの強化が糖尿病との闘いには必要です。

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健康な高齢化を支える地域レベルの社会的イノベーション(CBSI)専門家会議を開催

「健康な高齢化を支える地域レベルの社会的イノベーションに関する研究(community-based social innovations for healthy ageing (CBSI))」の専門家会議を10月17日~18日、WHO神戸センターで開催し、世界各国から研究者や専門家18人が参加しました。

本研究プロジェクトは、2014年にRAND Europe社(英国・ケンブリッジ)との共同研究として始まりました。この研究は、どうすれば高齢者が自律性を高め、高齢者が高齢者を支える仕組みを築くことができるのかという問いからスタートし、高齢者と地域の保健・介護システムとの関わりについても研究しています。そして、今回の専門家会議はRAND Europe社が各国の地域パートナーと協力して実施した本研究のフェーズ2の中でも重要な節目にあたります。

今回の専門家会議の目的は、CBSIの類型の作成および各国の保健・社会システムにおけるCBSIの位置づけの確立のために実施した中・高所得国対象のシステマティック・レビュー中間報告の評価です。また、チリ、中国、インド、イラン、レバノン、ポーランド、ロシア、セルビア、タイ、ベトナムと世界10カ国で実施した事例研究の結果について、各国の地域パートナーとともに協議しました。

2日間にわたって活発な意見交換が行われ、研究の今後の発展的な展開には何が必要か、CBSIが健康な高齢化に与える影響の評価についても議論しました。また、CBSIの各事例から得られる知見の発信・共有にも話題が及び、バーチャルネットワークの活用や情報共有プラットフォームの設置などについて議論されました。

最後のセッションでは、CBSI研究の重要性を改めて確認し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)推進に向けて、地域社会において持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、この研究知見を政策に反映させていくことの必要性が強調されました。

CBSIに関する過去の記事

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WKCフォーラム「WHO神戸センターと市民の健康を考える」を開催

「健康創造都市KOBE推進会議」開設を記念しWHO神戸センターと神戸市は共同でWKCフォーラム「WHO神戸センターと市民の健康を考える」を9月23日、神戸ポートピアホテルで開催しました。

第一部では、久元喜造神戸市長の挨拶に続き、WHO神戸センターのサラ・ルイーズ・バーバー所長は「WHO神戸センターの新しい研究~UHC、イノベーション、高齢化~」をテーマに講演し「1950年の日本の平均余命はわずか58歳で、脳卒中予防のための啓発プログラムが展開された。その結果、住民一人ひとりが食生活、減塩、禁煙、血圧管理などに配慮するようになり、いまの長寿世界一がある。行政のリードと人々のアクション、この二つの側面をうまく連動させることが重要。早期介入と健康増進策が効を奏した。高齢先進国の日本には世界が注目しており、WHO神戸センターはこれからも研究を通じて、世界に発信していきたい」と語りました。

続いてWHO神戸センター茅野龍馬医官が「神戸とのコラボレーション~認知症に関する取り組み~」をテーマに講演し、世界的な高齢化が進む中、認知症は2050年には世界全体で1億3千万を超えると紹介。「根本的な治療薬がない中、増え続ける医療・介護等の負担に社会がどう対策するかが国際的な課題」とし、「神戸市のご協力のもと、神戸大学と行う共同研究を通して、認知症の早期発見・早期介入を実践する地域モデルを提示していきたい」と述べました。

その後、前田潔・神戸市認知症対策監(神戸学院大学教授)が、「神戸市の認知症への取り組み」というテーマで、神戸市における認知症初期集中支援チームの取り組みや、神戸市が推進する「認知症の人にやさしいまちづくり」の施策について紹介しました。

 

また、第二部では健康創造都市KOBE推進会議座長の菊池晴彦神戸市医療政策顧問(京都大学名誉教授)が、「健康創造都市KOBE推進会議の取り組み」を紹介し、 最後に京都大学川上浩司教授が「生涯を通じた健康づくり」をテーマに講演し、これまでの全国の市町村の健診データを活用した研究を紹介し、「人生の早い段階から「ライフコース」を通じて健診データをビッグデータ化していくことによって、各自治体では保健課題の明確な把握と、効果的な保健政策の立案が可能になる」と話しました。

市民など約150人が参加しました。 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

プレゼンテーション

  • 「神戸とのコラボレーション~認知症に関する研究~」WHO神戸センター医官 茅野龍馬(Part1, Part2, Part3)

フォーラム開催のご案内

WKCフォーラム「WHO神戸センターと市民の健康を考える」開催のお知らせ

長生きは多くの機会を与えてくれます。新しく勉強を始めたり、仕事に挑戦したりと新しいことにチャレンジができるのです。しかし、そこで重要になるのが「健康」です。年を重ねても健康で“healthy ageing”を実践できるかどうか。そして、人々が健康に年を重ね、健康を重視した選択をすることができるように環境の整備、きめ細やかな政策や法整備も必要になります。

神戸市は2017年7月、民間団体や医療、研究機関などと、市民の健康づくりについて考える「健康創造都市KOBE推進会議」をスタートしました。

「健康創造都市KOBE推進会議」開設を記念して、WHO神戸センターと神戸市は共同でWKCフォーラムを下記の通り開催する運びとなりました。WHO神戸センターからはサラ・ルイーズ・バーバー所長と茅野龍馬医官が参加し、WHO神戸センターの取り組みについて紹介します。多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

WKCフォーラム「WHO神戸センターと市民の健康を考える」

日時:2017年9月23日(土)13:30-17:00
会場:神戸ポートピアホテル本館B1F「偕楽」
〒650-0046 神戸市中央区港島中町6丁目10-1
TEL 078-302-1111
定員: 先着500人
参加費: 無料
お申し込み、お問い合わせは「神戸市イベント案内・申し込みセンター」まで。
Tel 078-333-3372(8時~21時)FAX 078-333-3314
締め切り:9月20日

Programme:

13:30-14:00
市長挨拶
久元喜造 神戸市長

14:00-15:50
第一部:WHO神戸センターと神戸市のコラボレーション
「WHO神戸センターの新しい研究~UHC、イノベーション、高齢化~」
WHO神戸センター 所長 サラ・ルイーズ・バーバー

「神戸とのコラボレーション~認知症に関する取り組み~」
WHO神戸センター 医官 茅野龍馬

「神戸市の認知症の取り組み」
神戸市認知症対策監 前田潔(神戸学院大学教授)

15:50-17:00
第二部:神戸市の取り組み
「健康創造都市KOBE推進会議の取り組み」
健康創造都市KOBE推進会議座長 菊池晴彦(神戸市医療政策顧問・京都大学名誉教授)

「生涯を通じた健康づくりについて」
京都大学教授 川上 浩司

17:00
閉会

フォーラム開催のご案内

WKCフォーラムレポート「高齢化するアジア、そして世界で期待される福祉用具の役割」

高齢化が進行するアジア地域のみならず、いまや世界中で福祉機器(Assistive Technologies)は、高齢者の生活を支える重要な役割を果たしています。障がいの有無にかかわらず、高齢者の日々の活動を助けたり、健康の維持や社会参加をサポートしたりと、なくてはならない存在なのです。



8月24日、WHO神戸センターは第11回リハビリテーション工学と支援技術に関する国際会議(i-CREATe 2017)、第 32回リハ工学カンファレンスin神戸と共同でWKCフォーラム「高齢化するアジア、そして世界で期待される福祉用具の役割」を開催し、約200人が参加しました。

 

基調講演ではデンマークのCreative ImpactディレクターHenrik Hjorth氏が「デンマーク人から見た”支援のある生活”-高齢化にまつわる問題に着目して-」をテーマに講演しました。お掃除ロボットや運送ロボットなどのロボット介護機器の活用して「エイジング・イン・プレイス*」を支援する取り組みを紹介し、その中で見えてきた課題について語りました。デンマークでは日本と同様に地方自治体が介護サービスや支援を提供。財源など限られたリソースの中、難しい対応が求められている現状や、各自治体で「自宅で慣れ親しんできた技術を」と、実施したプロジェクトの経験を共有する全国規模の情報データベースを開発した事例などが紹介されました。

Hjorth氏は「エイジング・イン・プレイスの諸施策には人の手による支援と技術的な支援の両方が必要ですが、これらをどのようなバランスで取り入れるかは、人による支援を希望する受益者と、ロボット介護機器も利用してコストを削減し、人手不足を補いながら、質の高いケアを提供したいと考える自治体とそれぞれの意向が反映されます。そしてそこには、高齢者の尊厳と自立という課題があるのです」と話し、ロボット機器と人によるサービスの両方を開発を手がける企業の例を紹介しました。「介護モデルを作成するプロセスに高齢者を巻き込むこと。そして政策には財政面だけでなく高齢者の生活の質に配慮することが必要」と強調しました。

基調講演に続き、障がい者向けの福祉機器の重要性とその利用例に関する3つのプレゼンテーションが行われました。利用者と一緒になって機器の開発、改良、共同設計を進めるアプローチは高齢者のニーズへの応用が期待できます。

 

公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会(JSRPD)の奥平真砂子氏は、障がいに関する劣等感を乗り越え、自分を受け容れて、前向きに歩み出した自らの体験について話し、さくら車いすプロジェクトの篠田浩之氏とアジア姿勢保持プロジェクト(ASAP)の松本和志氏は、海外の車椅子利用者支援で直面した課題について語りました。そして、福祉機器の寄贈という従来型の支援ではなく、技術支援もあわせて実施することで利用者のニーズを満たす新たな支援の形について掘り下げて語りました。

本フォーラムは、日本語同時通訳・手話通訳のもと、英語で進行されました。

参加いただきました皆様、ありがとうございました。

*エイジング・イン・プレイス(aging-in-place):高齢者が住み慣れた地域で生きがいや尊厳を保ち、活動的で有意義な人生を送るというライフスタイル・コンセプト

基調講演プレゼンテーション

フォーラム開催のご案内