News Archive by Year

2011

市民社会の働きかけが禁煙法執行を促進

世界禁煙デーシリーズPart 8:インド・チャンディーガル 2003年制定のインドたばこ規制法の実施強化は地方自治体の責任であるのもかかわらず、チャンディーガル市では法律施行の努力をほとんどしていませんでした。2007年、情報開示法 (2005年制定)をうまく使い、市民団体が市に公的機関のたばこ 規制法に順守状況を開示するよう嘆願を提出しました。 必須とされている禁煙サインを掲示している公的機関 や喫煙所の数、その他の規定の実施状況の報告 を含む嘆願に対応せずに情報開示法違反の罰金が課せられるのを恐れた市政府は、禁煙サインを表示したばこ規制強化を実施しました。これにより たばこ規制法の存在が知られるようになり、公的機関、民間機関に対し法の順守を更に強化するためのNGOと市政府のパートナーシップへと発展しました。

絵や写真での警告表示がたばこ製品の包装で増加傾向に

現在、たばこ製品の包装に大きな写真や絵で健康に関する警告表示を義務づける法律のある19カ国に、合わせて10億以上の人が住んでいます。この数は2年前に比べ、倍近くに増えました。本日発表されたWHOの報告書:Report on the global tobacco epidemic 2011には世界のたばこ規制措置の進捗状況がまとめられています。大きな写真・絵による健康に関する警告は、WHOの推奨する6つのたばこの需要減少措置の一つです。

詳しくはこちら: WHO urges more countries to require large, graphic health warnings on tobacco packaging - 英語版

ポリオ撲滅に向けて最後の一押し

「ポリオをなくそうチャリティーコンサート」が国際ロータリー第2680地区主催で、兵庫県公館で催されました。ポリオは主に5歳以下の小児が感染し、少数の感染者(約0.5%)には一生続く麻痺が残り、場合によっては死に至る疾病ですが、ワクチンで予防可能です。1988年、166カ国の代表が出席した第41回世界保健総会においてポリオを世界から撲滅する決議を採択し、これにより「ポリオ撲滅のためのグローバルイニシアティブ」”Global Polio Eradication Initiative” が WHO、国際ロータリー、米国疾病予防管理センター(USCDC)とUNICEFにより推し進められてきました。これまでの成果は絶大で、現在ポリオ常在国はアフガニスタン、インド、ナイジェリア、パキスタンの4カ国のみとなっています。

この長年のグローバルなパートナーシップに基づき、コンサートにはWHO神戸センターのクマレサン所長が招かれ、井戸敏三兵庫県知事とともに開会のあいさつに立ちました。続いて行われたパネルディスカッションでは、元WHO本部のメディカルオフィサーで現在は国立感染症研究所でポリオ等感染症対策を担当なさっている中島一敏氏が世界のポリオについて、丸山小児科医院院長の丸山義一氏が日本で見られたポリオについて、兵庫県立こども病院院長の丸尾猛氏が日本でのポリオワクチンに対する最近の論点などについてお話されました。進行役は神戸大学の中園直樹教授が務められ、専門的な内容を分かりやすくご紹介くださいました。 会場は満員で、立ち見もでる盛況ぶりでした。

分煙では受動喫煙は防げない

「受動喫煙防止 I Love Clean Air」講演会が兵庫県三田市健康福祉部健康推進室の主催で行われ、WHO神戸センターの研究「日本の市町村の路上喫煙対策」を発表しました。

16億人の健康を保護する挑戦

WHO神戸センターは、「健康危機管理(感染症対策)と緊急災害医療」をテーマにWHO西太平洋地域事務局(以下WPRO、在マニラ)から二人の専門家を招き、神戸大学大学院医学研究科と合同でフォーラムを行いました。

WPROが統括する37の国と地域は人口が多く(総人口16億人)、文化、経済状況、地理や気候条件などが多様で、自然災害や健康危機が比較的多いところです。それゆえ、WPROの対応にはいつも柔軟性が求められます。

アート・ペシガン技官は、自身が長年関わってきた緊急災害人道支援の経験から学んだ教訓として、初動段階での迅速かつ適切な人材の長期派遣(3ヶ月以上が望ましい)や、条件(経験、資金、理解)の異なる複数パートナー間の連携調整の難しさを指摘しました。国連諸機関は、「人道支援改革」を打ち出し、人道危機が起こった際に国連機関や他の国際的パートナーがそれぞれの得意分野を分担して主導する「クラスター・アプローチ」を導入、WHOは「保健医療」のクラスターを主導し地域、パートナー連携の強化を目指しています。

また、WPRO地域では国際的脅威になりうる感染症が年間 200 件以上発生しています。近年SARS、トリインフルエンザ(A/H5N1)を始め多くの新興感染症がこの地域で起こっており、その健康被害、経済被害は国にとって大きな損害です。松井珠乃医官は、情報収集、意思決定、対策決定を含むWHOの感染症対策の骨格を紹介しました。「不確実性に如何に向き合い、適切な対策の決断をしていくか」が常に試されます。また、各国政府の災害、健康危機への対応能力を強化するための人材開発・研修もWHOの大きな役割の一つです。

フォーラムは100人ほどの参加者を集め、発表の後は活発な質疑応答が行われました。

第64回世界保健総会で歴史的な合意

マーガレット・チャンWHO事務局長は第64回世界保健総会閉会に際し、加盟国代表が公衆の健康に多大な影響を与える事項に関して合意に達したことを称賛しました。かつてない規模のWHO改革に関する議論の他、加盟国は全ての国が汎発性インフルエンザなどの健康危機への対応能力拡大、保健医療システムの強化による良質な医療へのアクセス向上、非感染性疾患への取り組み強化、そして保健関連のミレニアム開発ゴール(MDGs)達成に一層の努力を行うことに合意しました。

詳しくはこちら: プレスリリース - 英語版

WHOが「都市の健康」に関するグローバルデータベースを発表

今後の健康課題のひとつとして都市化が注目を集めるなか、WHOは初めて都市の健康に関するグローバルなデータベースを立ち上げました。過去数十年の間に実証に基づいた国家レベルの健康指標は入手できるようになってきましたが、世界基準で集められた都市レベルのデータも増えています。現在、WHO Global Health Observatory Databaseの一部として45カ国の都市部の健康データが閲覧可能です。

詳しくはこちら: WHO Global Health Observatory Database(英語版)

「道路安全のための行動の十年(2011-2020)グローバルプラン」2020年までに500万人の交通事故死を防ぐ

交通事故死は世界の若年層(15-29歳)の死因の第1位です。 日本では毎年6500件以上の交通事故死が報告され、中でも歩行者が犠牲になる確率が最も高くなっています。道路交通事故による死亡やケガの負担の増加を受けて、2010年3月の国連総会において、WHOの先導で「行動の十年」が宣言されました。5月11日、この十年計画(2011-2020)の開始を記念して、世界中の何十もの国がイベントを予定しています(ロンドン、ブラジル、ニューヨークの歴史的建造物、記念碑のライトアップなど)。ニュージーランドからメキシコ、南アフリカに至るまで各国政府は、交通事故から人命を救うため新しい対策を採ると公約しています。 この「グローバルプラン」が成功裡に実行されることで、今後10年の間に500万人の交通事故死と5000万のけがを防ぐと期待されます。

詳しくはこちら - 英語版

WHOによる報告:特に発展途上国において非感染症による死亡が増加傾向

WHOの「非感染疾患に関する世界状況報告書」が4月27日に発表され、非感染疾患が第一の死亡原因であることが示されました。2008年の最新データによると、心臓病、脳卒中、慢性肺疾患、がん、糖尿病などが原因で年間に3600万人が死亡しており、その約8割を低・中所得国が占めています。