WHO災害・健康危機管理に関するグローバルリサーチネットワーク(TPRN)

フォトクレジット:
実施期間:

2018年~2020年

連携機関:

コアグループ:WHO本部(WHO健康危機管理局(WHE)、WHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター・WKC))、WHO地域事務局(汎米保健機関/アメリカ地域事務局、アフリカ地域事務局、東地中海地域事務局、欧州地域事務局、南東アジア地域事務局、西太平洋地域事務局)

共同議長:ヴァージニア・マレー(イングランド公衆衛生庁)、エミリー・YY・チャン(香港中文大学)

研究対象地域:

世界各国(分野別)

総予算:
200,000米ドル

背景

防災の中心的要素としての保健医療への認識の高まりにより、救急・災害医療、防災、人道的対応、地域社会の強靭化、保健医療制度の強靭化などを含む、災害・健康危機管理という概念の発展が促進されました。仙台防災枠組2015-2030を受けて、世界保健機関(WHO)は、「WHO災害・健康危機管理に関するグローバルリサーチネットワーク(TPRN)」を設立しました。TPRNは、災害・健康危機管理の研究を強化し、災害・健康危機管理分野の知識とエビデンスを高めることを目的としています。TPRNは、WHO加盟国がWHOの優先事項を設定・承認し、実現されるべき目標を定め、その達成を監視するための重要なツールであるWHOの第13次総合事業計画2019-2023年(GPW13)に沿ったものです。GPW13は、3つの戦略的優先事項に基づいて構成されており、そのうち1つは特に健康危機に対応するものであり、伝染病の蔓延や災害などの健康危機から人々を守る強靭な保健医療制度の構築と維持を目指すものです。

方法
TPRNは、コアグループ(代表者会議)、参加者および情報共有ネットワークで構成されます。コアグループには、本部および全ての地域事務局のWHO代表者、事務局(WHO神戸センター)ならびにその他の外部の主要な専門家が含まれます。コアグループは、TPRNの発展を促進し、その活動を調整します。
参加者は、1つまたは複数の研究テーマグループに積極的に参加することにより、災害・健康危機管理の知識と科学的エビデンスの更新に貢献するグローバルな専門家で構成されています。情報共有ネットワークは、WHOの公式会合や刊行物、研究費に関する情報やTPRNからの情報の更新を伝えるTPRN事務局からの定期的なニュースレターを受け取るメンバーです。WHO神戸センターは2019年からTPRNの事務局を務めています。

 

成果
TPRN約款(1)とその実施計画(2)は、それぞれ2018年と2019年に策定されました。TPRNとその他の主要パートナーから集まった第一線の専門家は、2018年にWHO神戸センターが招集した会合を通じて、研究を行う5つの優先分野を特定しました。5つの分野の内訳は、保健医療データ管理、精神保健・心理社会的支援、災害弱者を含む様々な集団の特定の健康ニーズへの対処、保健医療従事者の育成、研究手法と倫理です。専門家の会合とその成果の詳細な説明は、一連の論文(3〜6)およびWHO神戸センターのウェブサイトのプロジェクトページ(7)で発表されました。2019年、WHO神戸センターは1番目から4番目の優先分野に対処する災害・健康危機管理に関する最初の研究公募を始めました。一方、現在行われている災害・健康危機管理のための研究手法に関するWHOガイダンスは、5番目の研究の優先事項に特に取り組んでいます。また、WHOは、災害・健康危機管理の研究、方針および実践に対するTPRNの貢献を最大化する、WHO災害・健康危機管理枠組みを発表しています。

 

展望
TPRNは、情報を交換し、意見を共有し、災害・健康危機管理の研究とエビデンスについてWHOに助言するための、国際的で学際的なマルチステークホルダーのプラットフォームとして機能します。TPRNは、災害・健康危機管理に関する科学的・技術的作業を強化し、国際的な災害・健康危機管理の研究アジェンダに影響を与え、より広い防災コミュニティの中で健康に関するインプットを増やすことを提唱するために、様々な関係者の間の提携を促進します。

 

関連記事

WKCフォーラム「健康・災害リスク管理における科学的進歩へのグローバルな取り組み」2018年10月:“Scientific Evidence in Health-EDRM” 

 

論文

  1. Kayano R, Chan EY, Murray V, Abrahams J, Barber SL. WHO Thematic Platform for Health Emergency and Disaster Risk Management Research Network (TPRN): Report of the Kobe Expert Meeting. Int J Environ Res Public Health. 2019; 16(7):E1232. doi: 10.3390/ijerph16071232.
  2. Kubo T, Tanasan A, Herbosa T, Buddh N, Fernando F, Kayano R. Health Data Collection Before, During and After Emergencies and Disasters-The Result of the Kobe Expert Meeting. Int J Environ Res Public Health. 2019; 16(5):E893. doi: 10.3390/ijerph16050893.
  3. Aung MN, Murray V, Kayano R. Research Methods and Ethics in Health Emergency and Disaster Risk Management: The Result of the Kobe Expert Meeting. Int J Environ Res Public Health. 2019;16(5):E770. doi: 10.3390/ijerph16050770.
  4. Généreux M, Schulter PJ, Takahashi S, Usami S, Mashino S, Kayano R, Kim Y. Psychosocial Management Before, During, and After Emergencies and Disasters-Results from the Kobe Expert Meeting. Int J Environ Res Public Health. 2019;16(8):E1309. doi: 10.3390/ijerph16081309.

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WHO災害・健康危機管理に関するグローバルリサーチネットワーク(TPRN)

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実施期間:

2018年~2020年

連携機関:

コアグループ:WHO本部(WHO健康危機管理局(WHE)、WHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター・WKC))、WHO地域事務局(汎米保健機関/アメリカ地域事務局、アフリカ地域事務局、東地中海地域事務局、欧州地域事務局、南東アジア地域事務局、西太平洋地域事務局)

共同議長:ヴァージニア・マレー(イングランド公衆衛生庁)、エミリー・YY・チャン(香港中文大学)

研究対象地域:

世界各国(分野別)

総予算:
200,000米ドル

背景

防災の中心的要素としての保健医療への認識の高まりにより、救急・災害医療、防災、人道的対応、地域社会の強靭化、保健医療制度の強靭化などを含む、災害・健康危機管理という概念の発展が促進されました。仙台防災枠組2015-2030を受けて、世界保健機関(WHO)は、「WHO災害・健康危機管理に関するグローバルリサーチネットワーク(TPRN)」を設立しました。TPRNは、災害・健康危機管理の研究を強化し、災害・健康危機管理分野の知識とエビデンスを高めることを目的としています。TPRNは、WHO加盟国がWHOの優先事項を設定・承認し、実現されるべき目標を定め、その達成を監視するための重要なツールであるWHOの第13次総合事業計画2019-2023年(GPW13)に沿ったものです。GPW13は、3つの戦略的優先事項に基づいて構成されており、そのうち1つは特に健康危機に対応するものであり、伝染病の蔓延や災害などの健康危機から人々を守る強靭な保健医療制度の構築と維持を目指すものです。

方法
TPRNは、コアグループ(代表者会議)、参加者および情報共有ネットワークで構成されます。コアグループには、本部および全ての地域事務局のWHO代表者、事務局(WHO神戸センター)ならびにその他の外部の主要な専門家が含まれます。コアグループは、TPRNの発展を促進し、その活動を調整します。
参加者は、1つまたは複数の研究テーマグループに積極的に参加することにより、災害・健康危機管理の知識と科学的エビデンスの更新に貢献するグローバルな専門家で構成されています。情報共有ネットワークは、WHOの公式会合や刊行物、研究費に関する情報やTPRNからの情報の更新を伝えるTPRN事務局からの定期的なニュースレターを受け取るメンバーです。WHO神戸センターは2019年からTPRNの事務局を務めています。

 

成果
TPRN約款(1)とその実施計画(2)は、それぞれ2018年と2019年に策定されました。TPRNとその他の主要パートナーから集まった第一線の専門家は、2018年にWHO神戸センターが招集した会合を通じて、研究を行う5つの優先分野を特定しました。5つの分野の内訳は、保健医療データ管理、精神保健・心理社会的支援、災害弱者を含む様々な集団の特定の健康ニーズへの対処、保健医療従事者の育成、研究手法と倫理です。専門家の会合とその成果の詳細な説明は、一連の論文(3〜6)およびWHO神戸センターのウェブサイトのプロジェクトページ(7)で発表されました。2019年、WHO神戸センターは1番目から4番目の優先分野に対処する災害・健康危機管理に関する最初の研究公募を始めました。一方、現在行われている災害・健康危機管理のための研究手法に関するWHOガイダンスは、5番目の研究の優先事項に特に取り組んでいます。また、WHOは、災害・健康危機管理の研究、方針および実践に対するTPRNの貢献を最大化する、WHO災害・健康危機管理枠組みを発表しています。

 

展望
TPRNは、情報を交換し、意見を共有し、災害・健康危機管理の研究とエビデンスについてWHOに助言するための、国際的で学際的なマルチステークホルダーのプラットフォームとして機能します。TPRNは、災害・健康危機管理に関する科学的・技術的作業を強化し、国際的な災害・健康危機管理の研究アジェンダに影響を与え、より広い防災コミュニティの中で健康に関するインプットを増やすことを提唱するために、様々な関係者の間の提携を促進します。

 

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論文

  1. Kayano R, Chan EY, Murray V, Abrahams J, Barber SL. WHO Thematic Platform for Health Emergency and Disaster Risk Management Research Network (TPRN): Report of the Kobe Expert Meeting. Int J Environ Res Public Health. 2019; 16(7):E1232. doi: 10.3390/ijerph16071232.
  2. Kubo T, Tanasan A, Herbosa T, Buddh N, Fernando F, Kayano R. Health Data Collection Before, During and After Emergencies and Disasters-The Result of the Kobe Expert Meeting. Int J Environ Res Public Health. 2019; 16(5):E893. doi: 10.3390/ijerph16050893.
  3. Aung MN, Murray V, Kayano R. Research Methods and Ethics in Health Emergency and Disaster Risk Management: The Result of the Kobe Expert Meeting. Int J Environ Res Public Health. 2019;16(5):E770. doi: 10.3390/ijerph16050770.
  4. Généreux M, Schulter PJ, Takahashi S, Usami S, Mashino S, Kayano R, Kim Y. Psychosocial Management Before, During, and After Emergencies and Disasters-Results from the Kobe Expert Meeting. Int J Environ Res Public Health. 2019;16(8):E1309. doi: 10.3390/ijerph16081309.