2021-02-18

マレーシアの高齢者において認識されている介護と支援の必要性

マレーシアの60歳以上の高齢者人口は今後20年間で倍増すると予想されており、この年齢層が長期的に必要とする医療と介護を計画することが重要になっています。

この問題に関して、WHO神戸センターの支援を受けたマレーシアの高齢者に関する研究調査の結果が、International Journal of Environmental Research and Public Healthに掲載されました。この研究では、日本老年学的評価研究(JAGES)を踏襲した質問調査票を用いて、支援が必要な高齢者の数や必要な支援の内容について分析が行われました。

この研究では、マレーシアのセランゴール州に住む1204人の在宅高齢者(重度の身体的または認知障害のある人を除く)のサンプルへの対面式調査が行われました。その結果、 平均して、回答者のわずか8%が、日常生活でケアや支援が必要であると報告したことがわかりました。 一方で、回答者のかなりの割合が、視覚(69%)、階段の昇り降り(50%)、記憶(38%)、聴覚(27%)などの面で困難を感じていると報告しました。 また、書類の記入(42%)、公共交通機関の利用(36%)、お金の引き出しと預け入れ(36%)など、日常生活動作を自分で行うことができないという報告も多くありました。 さらに回答者の40%は、転倒について「非常に心配している」と述べました。

本研究では、日常のケアと支援の必要性に関する高齢者自身の認識が低かった一方で、サービス提供を拡充することで対処できるような身体面および機能面での障害や困難が多く報告されました。 したがって、サービスの提供と計画を行うにあたっては、ケアと支援の必要性について、高齢者の主観的な認識だけに頼らず、客観的に評価することも重要です。