2023-04-07

2023年世界保健デーに寄せて WHO神戸センター所長メッセージ

Director's portrait

毎年 4 月 7 日は世界保健デーです。この日は、健康がいかに大事かを思い起こさせるとともに、すべての人が健康を享受できるよう質の高い保健医療へのアクセスをどのように加速していけるかについて考える機会になっています。 

今年の世界保健デーは、世界保健機関(WHO)が創立75 周年を迎える特別な日でもあります。世界中で人々の寿命と生活の質が向上したことを振り返り、祝う機会となるでしょう。また、健康を脅かす緊急事態や感染症の流行、人口高齢化など、様々な状況の変化に対応できるように医療システムを改善する方法について考える機会にもなります。 

人口高齢化は特に差し迫った課題です。世界中で急速に進む高齢化はすべての国が経験することであり、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を前進させる上で大きな影響を与えます。各国が急速な高齢化に直面する中、UHCに向けて前進する際のさまざまな課題を理解するためには研究が欠かせません。 

WHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)はUHCへの前進を加速させる取り組みの一環として、人口高齢化に伴う保健医療費とその財源の間のギャップに対して、特定の政策オプションがどのような影響を与えるかを推定するシミュレーターを開発しました。また神戸市と協力して、認知症を管理するための医療制度を改善する方法について研究を行いました。この研究で得られた知見は、同様の課題に直面している他の国にとっても重要です。 

さらにアジア太平洋諸国における人口高齢化に対応するための医療制度に関する複数の研究を支援し、そのうち10件の研究が学術誌の論文特集として最近発表されました。2023年後半には、高齢者のアンメットニーズ(健康や社会的ケアに関する満たされていないニーズ)の測定・評価の向上を目指すグローバルな研究コンソーシアムを立ち上げる予定です。 

当センターはまた、200名以上の専門家で構成されるWHO災害・健康危機管理研究ネットワークの事務局を務めており、健康に関する緊急事態への備えを強化するための保健医療制度に取り組んでいます。 

当センターはこのように、人口高齢化を踏まえた医療制度と健康危機に関する研究を行いエビデンスを集めることで、UHCに向けた前進を加速させる支援をしています。ドナーである神戸グループと、数々の研究パートナーのご支援とご協力のもと、私たちは引き続きこれらの研究を進めていきます。この75 年間にWHOが達成した成果を祝うとともに、今後の政策にとって有益な情報をこれからも提供し、世界中でUHCを促進していけるよう願っています。