2021-04-09

災害・健康危機管理のための保健医療従事者の育成

緊急事態における保健医療に対応できる人材の能力開発は、効果的な災害・健康危機管理(Health EDRM)を実施するための鍵となります。しかし、この分野の人材開発は新しい領域です。WHO神戸センターはより強固な災害対応とレジリエンス(回復力)のある保健医療制度に向けた研究を支援しています。その取り組みの一環として、2018年から2019年にかけて災害・健康危機管理の専門家会合を招集し、この分野の研究の強化、そして知識とエビデンスの構築の促進を目指しました。

2021年はWHOが制定した医療・介護従事者のための国際年であり、4月5日から9日は世界医療従事者週間となります。それに合わせ、災害・健康危機管理のための保健医療人材を強化するためのエビデンスに基づく推奨事項をまとめたWHO神戸センターの論文が、学術誌 International Journal of Environmental Research and Public Healthに掲載されました。本論文では、災害・健康危機管理の保健医療人材に関する研究の隔たり、および人材育成や教育に重要な要素を特定しており、今後の研究の土台となります。この研究によるエビデンスは、保健医療人材の育成についての推奨事項や優良事例に関する情報を提供し、WHO加盟国の政策と実践に役立つでしょう。

WHO神戸センターで医官を務める茅野龍馬氏は「この取り組みはエビデンスに基づいた推奨事項へのニーズに応えるための知見を統合する最初の一歩です」と述べています。

「この新たな研究活動によって収集されるコンセンサス調査と推奨事項は、災害の影響を受けることが多い低・中所得国における緊急医療の人材育成に役立つことでしょう。また、新型コロナウイルス感染症によってあらゆる場所において医療従事者の能力に関する課題が明らかになっているので、すべての国が恩恵を受けるでしょう」

この国際的な研究プロジェクトには日本国内や関西圏の専門家も一員として参加し、災害に対処してきた日本の経験を共有し情報を提供することで、知見の統合に寄与しています。

 

プロジェクトの詳細はこちらのページをご参照ください。