FAQ(COVID-19):COVID-19流行下における予防接種

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下における予防接種 よくある質問 (FAQ) 

2020 年 4 月 16

原文はこちら、PDF版こちらから

このFAQは、WHO「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下における予防接種活動の基本原則」に付属するものである [1]。COVID-19のパンデミックの進展に伴い、本FAQは必要に応じて改訂される。

予防接種は、ワクチンで予防可能な病気(VPD)[2] から感染しやすい人を保護するために必要不可欠な保健サービスである。適切な時期の予防接種の提供により、人やコミュニティは保護され、VPDのアウトブレイクが発生する可能性は低くなる。VPDの発生を防ぐことは、人命を救うだけでなく、アウトブレイクに対応するよりも資源が少なくて済み、COVID-19のパンデミックにより既に緊迫状態にある医療制度への負担を軽減する上で役立つ。予防接種の制度の維持に全力を注ぎながら、予防接種の活動を提供すると同時に、各国は害を与えない原則(principle of do-noharm)を尊重し、COVID-19の伝播を制限するアプローチを用いるべきである。予防接種外来はまた、COVID-19の伝播のリスクを減らす行動を促すための伝達事項を広める機会として、またCOVID-19感染の兆候や症状を特定するための機会として、そして症状が出現したときにどうするべきかについてのガイダンスを提供する機会としても利用できる。

 

【予防接種サービス】  1. 新生児の予防接種プログラムはCOVID-19パンデミックの間も予定どおり継続されるべきか?

はい。ほとんどの状況で施設分娩が維持されるべきであることを考慮すると、新生児ワクチン(例えばBCG、OPV、B型肝炎)接種は引き続き優先されるべきであり、国の予防接種スケジュールに従ってワクチンを接種すべきである。

2. COVID-19パンデミックの間の成人の予防接種は推奨されるか?

高齢者やリスクの高い状態にある人に対して、既存の肺炎球菌、インフルエンザ、百日咳の予防接種を実施している国々は、それらのプログラムを維持しながら、高齢者のように特に重症化のリスクが高い人々に対してCOVID-19感染拡大を避けるための対策を実施すべきである。肺炎球菌、インフルエンザ、百日咳による呼吸器疾患の入院を予防することにより、呼吸器関連の医療機器、薬剤、医療従事者が、COVID-19感染患者をより多くサポートできるようになる。COVID-19が肺炎球菌感染のリスクの増加と関連しているかどうかについては、現在のところ情報が限られているが、肺炎球菌ワクチン接種は、一次感染と二次感染の両方を防ぐことができ、抗菌薬(抗生物質)の不必要な使用を防ぐことができる。

3. COVID-19パンデミックの間も学校での予防接種は予定どおり継続されるべきか?

学校での予防接種の開始は、感染予防と制御策が、生徒、学校職員、医療従事者の中で、COVID-19の伝播リスクの増加を避けるために実施されている場合にのみ継続されるべきである。学校での接種は、破傷風、ジフテリア、麻疹・風疹混合ワクチン、HPVワクチン、髄膜炎菌ワクチン、腸チフスワクチンのブースター接種など、ワクチンによっては小児と青年に対する予防接種の重要な方法である。 

しかしながら、集団予防接種キャンペーンが一時的に延期されている場合には、学校でのキャンペーン戦略は避けなければならない。これらの学齢期の子供たちに、年齢に応じたワクチンを接種させるための代替手段を模索するべきである。

4. 予防接種実施者をCOVID-19ウイルスから守るために国が実施できる対策はあるか? [3]

はい。各国は、コロナウイルス疾患(COVID-19)に対して個人用防護具の合理的な使用において推奨されているガイダンス、および、その深刻な不足時の検討事項に従うことが求められる [4]. COVID-19の状況下でのマスクの使用について助言し [5]、指衛生を行うべき5つのタイミング [6] に概説されているように、予防接種の提供者がこまめに手指衛生を実践するように促す。予防接種はよく換気された場所で実施し、その場所は頻繁に消毒するべきである。

5. COVID-19ウイルスの伝播リスクを最小化するような予防接種会場の整備方法はあるか?

はい。接種者や介助者をCOVID-19の暴露から保護するためには、予防接種を受ける人の数の制限や、より頻回な間隔で小規模な接種を開催するといった簡単な方法が様々にある。待合室の混雑を避けるための戦略には以下のものが含まれる。

 

  • 予防接種予約の実施予定時間を整理する。
  • 年齢に応じて予防接種活動とその他の必須の予防的保健サービスを組み合わせ、予防接種者とその介助者が保健センターを訪れる回数を制限する。
  • 可能であれば屋外のスペースを使用し、医療施設や現場での物理的距離の確保を遵守する。
  • 高齢者や既往歴がある人(高血圧、心疾患、呼吸器疾患、糖尿病など)専用の予防接種の開催を確立する。

可能であれば、予防接種サービスと待合室は、治療のためのサービスと別の場所に設置する
(すなわち、1日の中で時間帯を分ける、または施設によってスペースを分ける)。

6. COVID-19の感染が疑われるまたは確定した者は予防接種を受けられるか?

はい。目下、COVID-19に罹患している人に予防接種をすることは医学的な禁忌として明らかにされていない。

COVID-19感染リスクを最小限に抑えるために、COVID-19感染疑い例または確定例は、WHOのガイダンス  [7] に従って隔離され、治療を行う必要がある。

COVID-19感染確定者または感染が疑われる者が医療施設にいない場合(自宅など)、予防接種を受けにいく行為は、他人への感染拡大を増加させる可能性がある。そのため、この患者は症状が治まるまで、理想的には2回連続してCOVID-19の検査が陰性となるまで接種を延期するべきである(各検査は24時間あける)[8]。検査が不可能な場合は、WHOは症状消失後から14日間は予防接種を延期することを推奨する。

COVID-19感染確定者もしくは感染が疑われる者が医療施設内で治療されている場合(入院患者など)、この患者は、適切な感染予防と制御策が遵守されていると仮定して、回復時と退院前に、国の予防接種スケジュールに従って予防接種を受けるべきである。

ウイルス排出の期間とCOVID-19の感染力は未だ十分に解明されていない。これらの研究が利用可能になり次第、本ガイダンスは更新される予定である。

7. COVID-19の感染者に曝露した者(接触者)は予防接種を受けられるか?

はい。目下、COVID-19に罹患している人に予防接種をすることは医学的な禁忌として明らかにされていない。

COVID-19に曝露した者が医療施設内にいない場合(自宅など)、この人は、他人へのCOVID-19ウイルスの伝播リスクを予防するために先ず14日間の自己隔離を完遂すべきである。14日間の自己隔離の後に接触者にCOVID-19の症状が出現しなかった場合、予防接種を受けることができる。

COVID-19症例に曝露した人が医療施設で治療を受けている場合(入院患者など)、この人は、適切な感染予防と制御策が遵守されていると仮定して、回復時かつ退院前に、国の予防接種スケジュールに沿って予防接種を受けるべきである。

8. 予防接種サービスが中断または縮小されている場合、各国は補足的な予防接種活動を実施する必要があるか?

はい。COVID-19のパンデミック下に定期的なサービスが継続されていたとしても、サービスの提供は最適でない可能性があり、受益者がサービスにアクセスできない可能性や、進んでアクセスしない可能性がある。したがって、予防接種サービスの強化と需要創出活動が優先される。

補足的な予防接種活動の戦略的な計画立案は、予防接種活動が休止している間に開始すべきであり、再開を待つべきではない。予防接種登録者の見直し、脱落者リスト、新生児追跡は、予防接種活動が中断、または縮小している間、継続的に更新され、補足的な計画立案に使用されるべきである。補足のための戦略は、麻疹、ポリオ、ジフテリア、百日咳、髄膜炎菌、黄熱などの、VPDのアウトブレイクが起こりやすい現地の疫学に基づくべきである。加えて、遠隔地での、あるいは移動式の予防接種の開催、定期的な予防接種サービスの強化が活動に含まれる [9]。

補足的な政策の修正(例えば、年齢資格を拡大するための政策の調整)や、予防接種のスケジュールの修正(例えばワクチン接種の最小間隔)に対する推奨事項が補足的な活動を促進する場合、全国予防接種諮問委員会は保健省に助言を与えるべきである [10] 。

9. COVID-19のパンデミック下、コミュニティのワクチン受け入れを維持するために実施できる活動はあるか?

はい。予防接種と医療制度における信頼の維持は必要不可欠である。COVID-19のパンデミック後の予防接種サービスの運営に変更があった場合、医療従事者とコミュニティに明確に伝達されなければならない。予防接種サービスに対するコミュニティの需要を維持するためには、正確な健康情報の提供、コミュニティの懸念への対応、コミュニティの連携の強化、予防接種サービスの継続的な利用の促進のために、地域に合わせたコミュニケーション戦略を実施する必要がある。

医療従事者は、感染予防と制御に関するスキルを向上させるためだけでなく、COVID-19の間の優先的な保健サービスとしての予防接種、VPDのリスク、予防接種によって得られる利益について、介護者や地域社会に重要なメッセージを伝達できるよう強化を図る訓練を受けるべきである。

コミュニティ参画では、補足的な活動の計画立案において、地域の指導者を巻き込み、指導者の予防接種を提唱する役割を支援し、コミュニティにサービスの再開を通知し、予防接種の重要性を強調し、予防接種を受けなかった人を見逃さないようにしなければならない。補足的な活動に対する特別な戦略を導くためには、各国で、国民や脆弱なグループの中で予防接種に対する障壁となり得るものを監視することが重要である。

10. 予防接種サービスが中断または縮小されている場合、子供のワクチン接種の機会を失ったことを心配する保護者には、どのように伝えればよいか?

保護者には、適時の予防接種の提供は重要であるものの、物理的距離の確保を含むCOVID-19感染予防対策に関する国家や地方自治体によるガイダンスに従う必要があることを伝えることが求められる。これは、予防接種サービスが一時的に中断される可能性があるためで、このような場合には、予防接種サービスが再開され次第、小児のために予防接種を受けさせるよう保護者に助言することが重要になる。また、予防接種サービスが再開され次第、接種の機会を逃したケースをどのように補うかについての情報が提供されるため、保護者に安心を与えることになる。

11. 予防接種サービスを休止した場合、予防接種活動はいつから再開できるか?

各国は、できる限り早い時期に予防接種サービスを復活させ、再び活性化させる必要がある。中断されていた予防接種サービスは、COVID-19の伝播リスクが減少し、医療制度のキャパシティ(設備や人を含む受け入れ、対応等の能力)が予防接種サービスを再開できるようになり次第ただちに再開すべきである。サービスが再開されても、COVID-19の伝播リスクは依然として残り得る。予防接種サービスを再開する初期の段階では、より厳格な感染予防と制御策、待合室での物理的距離の確保が必要になる。

サービスの再開に向けて、コミュニケーション戦略を立案し、適切な時期に実施する。この戦略は、医療従事者に十分な情報を提供し、準備を整えさせ、予防接種サービスの再開を明確に発表し、国民が予防接種を求めることを促すべきものであることが求められる。

【ワクチンで予防可能な疾患の調査】 12. COVID-19のパンデミック下においても、VPDのサーベイランスを継続すべきか?

はい。サーベイランスシステムは、世界規模でのサーベイランスが義務付けられている、また撲滅と排除の目標がある疾患については、少なくとも、VPDの早期発見と管理を可能にし続けるべきである。疾患にはポリオ、麻疹、新生児破傷風、および地域的な撲滅目標を掲げている国では風疹が挙げられる。また各国は、流行の可能性があるVPDのサーベイランスを優先すべきである。これらの疾患にはインフルエンザ、髄膜炎菌、黄熱、腸チフス、コレラ、ジフテリアが挙げられる [11] 。その他のVPDに関しても現在も続くサーベイランスは、可能な限り継続されるべきである。

13. COVID-19のパンデミックで既存のVPDサーベイランスシステムが通常どおり継続できない場合、VPDサーベイランスにどのような変更が推奨されるか?

既存のVPDサーベイランスシステムが通常どおりに継続できない場合は、急性弛緩性麻痺症例、ポリオ環境サーベイランス、アウトブレイクに対するサーベイランス、優先度の高いVPDの緊急検体の出荷と検査室での確定といった重要な機能を特定して維持するべきである。COVID-19への曝露のリスクを軽減させるために、サーベイランス職員が適切な個人用防護具を着用している限り、ポリオなどのVPDに対する積極的なサーベイランスは、優先する病院の数を制限して継続することができる。それができない場合、積極的なサーベイランスは可能な限りリモート(インターネットや電話など)で行うべきである [12]。

14. VPDに対する検査室ベースのサーベイランスの継続性はどのように確保できるか?

COVID-19の原因となるウイルスの検査には、多くのVPDの検査室が関与するようになってきている。COVID-19が検査室での検査における優先事項となった場合、VPDの検体は、試薬の利用可能性の制限と、国際輸送のためのキャパシティの制限のために、COVID-19の試験のキャパシティを損なわないことが保証されている場合にのみ、検査されるべきである。

各国は、VPDに対する試験の頻度が低下する可能性はあるとしても、VPDに対する検査を行うために十分なレベルのキャパシティを保持することが奨励されている。検査室での検査ができない場合は、検査室のキャパシティが許すまで、検体は確定するために適切に保管されるべきである。各国は地方レベルおよび中央レベルで十分な貯蔵のキャパシティを確保し、定期的に監視すべきである。検査室での確定のための需要に合わせて、検査室での検査のアルゴリズムを調整する必要が生じる可能性がある。特に麻疹のアウトブレイクの可能性については、5人から10人の麻疹疑い例を検査することで、新たなクラスターを確定することができる。

15. COVID-19のサーベイランスはどのようにして既存のVPDサーベイランスと統合することができるか?

可能な限り、包括的なVPDサーベイランスシステムは、検査室のキャパシティ、データ管理システム、検体輸送、報告のための共有インフラを活用して、COVID-19のサーベイランスシステムと統合されるべきである。COVID-19検査室サーベイランスとの統合は、検体採取、輸送、処理(これはインフルエンザや麻疹の場合と類似している)、検査プラットフォーム、プロトコル(これはほとんどがPCRに基づいており、同じRNA抽出キットと酵素を使用する)について可能である。

16. コミュニティに根差したサーベイランスは継続するべきか?

 

コミュニティに根差したサーベイランス(CBS)は、対面での訪問やグループ内での感作となるため、強く推奨されない。しかし、ポリオのCBSが進行中の場合、これらのサーベイランスを行う者は、急性弛緩性麻痺の症例や潜在的なアウトブレイクを報告、患者には電話連絡し最寄りの病院に行くように促すべきである。新生児破傷風に対するCBSは、可能であればリモートで実施すべきである。WHOはその他のVPDに対してCBSを推奨しない。

【コールドチェーンと供給体制 】 17. COVID-19のパンデミック下及びその後のワクチンの在庫切れを防ぐためにできることは何か?  ※コールドチェーン:2~8℃を保ちながらワクチンを輸送・保管する、必要な人や設備を含むシステム

世界規模でワクチン生産の混乱が起きており、各国へのワクチンの出荷の遅れが生じている。供給が中断される可能性を見込んで、ワクチンの安定供給は、国レベルで少なくとも3カ月間確保されるべきである。これが不可能な場合は、ワクチンの安定供給は、貯蔵能力があれば、少なくとも3カ月間は地方レベルで確保されるべきである。それ以外の場合は、例えば毎月、あるいは以前の在庫の水準に応じて、地方レベルにワクチンをより頻回出荷することを検討すべきである。

18. すべてのレベルでの定期予防接種プログラムのためのワクチンと関連物資の安定供給を確保するために、どのような活動を行うことができるか?

各国は、定期的な予防接種サービスやキャンペーンによるワクチンや付属物品の消費量の見積りに基づき、合理的な予測を行うべきである。各国は、有効期限とワクチンバイアルのモニター状況に基づいて、全ての抗原と希釈剤が十分に利用可能であり、強力であることを保証するために、ワクチンの在庫のモニタリングシステムを強化すべきである。また、a) 不足時は治療を目的として使用される可能性のある付属品(注射器や安全箱)の在庫状況を厳重に監視すること、b) ワクチンの配送には適切で安全な貯蔵レベルが設けられていることを確認すること、c) ワクチンや関連する物品の束ね方に配慮すること、d) 空輸や海運が再開された際には、ワクチンの積み込みを確実にするように関係機関と連携することが重要である。

19. COVID-19検査キット、試薬、実験用品はワクチンコールドチェーンで貯蔵できるか?

はい。適切にラベリングされている限り、COVID-19実験用品を含む適切な温度管理が必要な医薬品の保管に、予防接種拡大計画(Expanded program on immunization:EPI)のコールドチェーンを使用することは許容される。このような状況下では、コールドチェーンや供給の責任者は、まず十分なコールドチェーンのキャパシティがあることを確認し、当該の実験用品を明確なラベリングでワクチンと区別し、その一時的なスペースを確保するべきである。

20. 各国はどのようにコールドチェーンシステムのサージキャパシティ(緊急時の急増するニーズに対応するためのキャパシティ)を評価するか?

各国はサージキャパシティを確保するために、機能しているコールドチェーンの設備を備えた全ての施設(公共/民間)のリストを更新し、維持すべきである(例えば、温度管理の必要な製品の急激な流入による貯蔵を賄うコールドチェーンシステムのキャパシティ)。WHO-UNICEFの効果的なワクチン管理(EVM)アセスメント、Gaviのコールドチェーン機器最適化プラットフォーム(CCEOP)、その他のコールドチェーンマッピングエクササイズといった最新のアセスメントは、既存のキャパシティを決定するためのデータソースとして使用することができる。このようなアセスメントがない場合には、ワクチン貯蔵温度の要件に準拠していることを確保するために、迅速な評価を行う必要がある。

21. COVID-19パンデミック下のコールドチェーン貯蔵の負担を最小限に抑える方法はあるか?

はい。各国は、コールドチェーンの過剰な負担を回避するために、必要に応じてワクチンの受領と配布のスケジュールを変更することができる。適切な場合には、過去に集団予防接種キャンペーンに割り当てられていたワクチンを定期予防接種に使用することができる。プログラムでは、ワクチンの供給状況と出荷スケジュールに関して、供給者との系統的な確認が必要とされる。予算の利用可能性と資金配分は、この改訂された供給スケジュールに合わせるべきである。

【その他の事項】  22. 予防接種研修や接種率調査などの他の活動は継続すべきか?

予防接種プログラムを促進する活動は、COVID-19の伝搬をさらに拡大させるリスクを考慮して慎重に検討されるべきである。物理的距離の推奨に準拠していない場合、グループとしての集合が必要な対面トレーニングは一時的に延期するべきである。既存のデジタルヘルスプラットフォームは、訓練、情報アクセス、予防接種サービスを求めるコミュニティとの対話のために活用することができる。このようなプラットフォームは、適切な健康情報や他の社会的サービスの情報源を家庭に伝える上で役立つ可能性がある。

23. 新規ワクチンは導入すべきか?

計画された新規ワクチン導入は、慎重に再考のうえ、おそらくは延期すべきである。新規ワクチンの導入は通常、物理的距離の推奨に準拠しない取り組みで始まる。さらに、医療のキャパシティはCOVID-19に向けられ、コミュニティの需要も低くなることから、新規ワクチンの導入が成功する可能性は見込めない。

24. COVID-19のパンデミック下における麻疹・風疹の排除に関する検証演習は継続すべきか?

これは現地の状況次第であり、麻疹と風疹の排除に関する検証活動は、COVID-19のアウトブレイク下でも継続できるが、COVID-19に対する国の対応可能なキャパシティに合わせるか、または、延期すべきである。遅延が生じた麻疹・風疹検証活動は、COVID-19後の回復計画に含めるべきである。

25. COVID-19のパンデミック下でもMNTEアセスメントを継続すべきか?(例えば、事前検証、検証調査、事後検証など)

いいえ。特に、コミュニティとアセスメントチームの間におけるアセスメント期間中に必要とされる集中的な関与と職員の交流を考慮すると、これらの演習は延期し、物理的距離の制限が解除された後に再開すべきである。

26. COVID-19の状況下で、医療従事者に推奨されるワクチンはあるか?

はい。インフルエンザや麻疹といったワクチンで予防可能な疾患がCOVID-19と併せて流行している可能性があるため、全ての医療従事者は国家のスケジュールに従ってワクチンを接種すべきである [13]。

27. COVID-19に対するワクチンはあるか?

このFAQ時点(2020年4月16日)で、開発中のワクチンの候補は70種類以上あり、2020年3月からは実験用のワクチンを用いた初の臨床試験が開始されている。ウイルスのゲノム配列決定からワクチンの開発が加速するまでの間、わずか60日しか経過しなかったことは史上初めてのことである。しかし、WHOはCOVID-19に対する安全で効果的なワクチンが、このFAQの発行から18ヶ月以内に利用可能になるとは考えていない。

 

関連資料

[1] Guiding principles for immunization activities during the COVID-19 pandemic (新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下における予防接種活動の基本原則).

[2] COVID-19: Strategic Planning and Operational Guidance for Maintaining Essential Health Services During an Outbreak, 20 March 2020 (COVID-19:アウトブレイク時に必要不可欠な保健サービスの維持のための戦略的な計画立案と運用ガイダンス).

[3] Critical preparedness, readiness and response actions for COVID-19 (COVID-19に対する必須の備え、準備、対応活動).

[4] Rational use of personal protective equipment for coronavirus disease (COVID-19) and considerations during severe shortages (COVID-19 に対する個人防護具の合理的な使用と深刻な不足時の検討事項).

[5] Advice on the use of masks in the context of COVID-19 (新型コロナウイルス(COVID-19)に関わるマスク使用に関するアドバイス).

[6] WHO guidelines on hand hygiene in health care (医療における手指衛生についてのWHOのガイドライン).

[7] Coronavirus disease (COVID-19) technical guidance: Patient management (コロナウイルス疾患(COVID-19)テクニカルガイダンス:患者の管理).

[8] Considerations in the investigation of cases and clusters of COVID-19 (COVID-19の症例とクラスターの調査における検討事項).

[9] Periodic Intensification of Routine Immunization (定期的な予防接種の強化).

[10] WHO. Table 3: Recommendations* for Interrupted or Delayed Routine Immunization - Summary of WHO Position Papers (WHO表3:定期予防接種の中断または遅延に対する推奨事項-WHO政策方針書のサマリー)

[11] WHO Vaccine Preventable Diseases Surveillance Standards (WHOワクチン予防可能疾患サーベイランス基準).

[12] Interim guidance for the polio surveillance network in the context of Coronavirus (COVID-19) (コロナウイルス(COVID-19)の状況下でのポリオサーベイランスネットワークに対する暫定ガイダンス).

[13] WHO recommended vaccines for health care workers (医療従事者に対してWHOが推奨するワクチン).