2021-07-07

健康危機と災害への対応向上を目指す研究の促進

健康危機と災害の発生は、年々、頻度が高まり規模も拡大しており、甚大なリスクにさらされている人や被害を受けた人の数は、世界で何百万にものぼっています。これを受けてWHOは、2016年に、関連する政策およびプログラムに情報を役立てるための研究活動の国際的な協働を促進するため、災害・健康危機管理に関するグローバルリサーチネットワーク(Health EDRM RN)を発足させました。

最近では、Health EDRM RNの活動を著したものが2件出版され、Health EDRMに関する知識や情報、エビデンスが世界・地域間で双方向に流れるよう促すプラットフォームとしての役割の重要性が明らかにされました。

WHO神戸センターは、2020年2月、日本災害医学会と共同でワークショップを開催し、危機や災害の被災者や被災地域のニーズに応えるためのオペレーショナル・リサーチの推進や災害・健康危機管理コミュニティの研究能力の強化など、Health EDRM RNが優先すべき活動について、国内の専門家が討議しました。このワークショップでは、災害・健康危機管理の分野の前進に向けて、地域の専門家から意義深い情報やアドバイスが得られました。具体的には、災害・健康危機管理コミュニティの研究能力を向上させるために、災害・健康危機管理のオペレーショナル・リサーチに、混合研究法によるデザインやデータ収集の標準化を取り入れること、「災害・健康危機管理の研究方法に関するWHOの手引き書」を積極的に教育に活用することなどが挙げられます。

国際的には、Health EDRM RNコア・グループの会合が2回、2019年10月17~18日と2020年11月27日に開催され、政策と実行に知見を反映させるために研究に優先順位を付けたHealth EDRM RN研究計画の策定に向けて討議しました。これらの会合では、災害・健康危機管理に関する知識と情報を提供するオンライン・プラットフォームとして、WHOの災害・健康危機管理のナレッジハブを確立することにも焦点が当てられました。このナレッジハブは、危機に関する国際的に重要な情報源となり、各国の政策立案者、政府職員、現場での作業従事者、病院管理者、開業医に役立つことが期待されます。出版物はこちらをご覧ください。

WHO神戸センターはHealth EDRM RNの事務局として、本ネットワークの活動が世界と地域の両者と確実に関わるものとなるように努めてまいります。