2015-01-17

WKCフォーラム「災害にレジリエントな高齢化社会とコミュニティーの構築にむけて」

2015年1月17日で、1995年の阪神淡路大震災から20年を迎えます。この機会に、高齢化社会において災害からの復興・回復力のあるコミュニティーのあり方について、WHO神戸センター (WKC) は、2月20日 (金) 神戸にて、公開フォーラム「災害にレジリエントな高齢化社会とコミュニティーの構築にむけて」を開催します。

2005年には兵庫行動枠組み(HFA)が、すべての参加国が防災に力を入れるという同意のもと採択されました。またその一方で、世界保健機関(WHO)、国連開発計画(UNDP)、国連国際防災戦略(UNISDR)等の国際機関が、災害のサイクルは連続した一線上にあるという共通理解のもと、その機関独自の役割を、様々な災害サイクルにおいて生かすことができるようなガイダンスの作成にあたっています。

兵庫行動枠組みは、現在も評価・改定作業が進められており、2015年3月に仙台で開催される第3回国連防災世界会議で、次のポスト兵庫行動枠組みとして審議・採択される予定です。この20年の間、東日本大震災、そして他の国々で起こる災害を含め、防災に関して多くを学んできました。現在における重要課題である「レジリエントな社会とコミュニティーの構築」に向けて、今までの学びを生かし、その経験を分かち検討する必要があると考えられています。

日本は世界に先駆けて超高齢化社会を迎えており、その結果、高齢者は1995年の阪神淡路大震災、そして東日本大震災においても、多大な影響を受けています。社会における高齢者人口の増加は、災害に対する多くの脆弱性に関する示唆を与え、そこから私たちが災害に対してどのような対策を講じ緊急対応を行うか、そして被災した人たちをどのように支えていくのかということを考える機会となっています。現在も、引き続き課題を多く残している分野として、健康・社会・心理そして身体的な問題があげられます。高齢者は、コミュニティーの重要な一員として、レジリエントなコミュニティーを構築するための貢献者ともなりえます。

今回のWKCフォーラムでは、医療・看護・福祉行政の各分野とWHOからの5 名の専門家が、過去の災害の経験から、将来起こりうる災害に対して、被災住民をも支援できる、レジリエントな高齢化社会をどのようにすれば築くことができるかについて講演、ならびに、参加者からの質疑に応じる形式での活発な討議を展開します。

開催日時・場所:

2015年2月20日(金) 14:00~16:00

兵庫県看護協会会館 研修室 6

(神戸市中央区下山手通5-6-24 兵庫県看護協会会館 4階)

プログラム:(言語: 日本語)

14:00~14:10 開会の辞

14:10~15:25 講演

15:25~15:55 討議 (オープンディスカッション)

15:55~16:00 閉会の辞

講演者:

(登壇順・敬称略)

「東日本大震災の高齢者健康問題:NCDsの疫学的所見」

京都大学大学院医学研究科

安寧の都市ユニット 三谷 智子特定准教授

京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 健康増進・行動学分野卒業。社会健康医学博士。災害看護の中でも特にメンタルヘルスや、生活習慣病に関する公衆衛生と疫学を専門としている。2006年京都府立医科大学大学院医学研究科 地域保健医療疫学助教。学生指導を行うとともに、日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)にて、生活習慣とがんの関連についての研究にも従事。災害医療や災害看護に関する論文を多数執筆。2010年より現職。「今回のフォーラムでは、東日本大震災後の高齢者が抱える健康問題について、生活習慣病や被災地での疫学調査に照らしてお話しします。」

 

「高齢化社会と災害:グローバルな観点からの報告」

WHO神戸センター コンサルタント 加古 まゆみ

看護師、哲学博士(看護学)。現在、WHO神戸センター コンサルタント(災害緊急マネージメント)。1994年に神戸市立看護短期大学を卒業後、西神戸医療センター勤務。その後、渡豪し看護学学士、修士を取得。帰国後、神戸市看護大学での教鞭の傍ら、HAT神戸で被災高齢者のための地域ボランティアに学生、同僚とともに関わる。2008年博士取得後、フリンダース大学 Disaster Research Centre(現Torrens Resilience Institute)で災害看護、医療に関する教育、研究に携わる。「高齢化社会で生じる課題は、世界レベルでの取り組みが必要になっています。災害は社会すべてに影響を及ぼし、より脆弱な社会構築では、その回復や復興により多くの時間を要します。HAT神戸でのボランティアの経験を元に、日本から、またグローバルな観点からの高齢者の支援のあり方について、話題提供・考察をします。」

 

「阪神淡路大震災後の高齢者健康問題、見守り活動を通しての学びをどのように生かすか」

神戸市垂水区役所 岡本 和久保護課長

大阪府立大学社会福祉学部卒業。社会福祉士。1991年神戸市入庁後、神戸市中央福祉事務所に配属。1996年4月、神戸市保健福祉局地域福祉課でボランティアセンターの立ち上げや、仮設住宅、復興住宅での地域見守り活動等に従事。2001年厚生労働省老健局計画課に出向し在宅福祉を担当後、神戸市保健福祉局で在宅福祉や介護予防推進等の業務を担当。その後、神戸市灘区保護課係長、神戸市こども家庭センターにて児童虐待担当係長を経て2012年より現職。「これまでの災害後の支援活動を通して、災害からの復興は人の心も含めたものであり、特に被災者には高齢者が多いことから、脆弱になりがちなコミュニティーを平時より支え続けることの必要性を痛感しています。被災者の生活再建を見守る中で気付いたことを交えながら、お伝えしたいと思います。」

 

「まちの保健室活動を通して被災高齢者の健康を守る」

山本 あい子兵庫県立大学教授 同大学地域ケア開発研究所

「WHO災害と健康危機管理に関する看護協力センター」所長

聖路加看護大学衛生看護学部看護学科卒業。テキサス大学オースチン校看護学研究科博士後期課程修了。看護学博士。聖路加看護大学講師、JICAパキスタン看護教育プロジェクト看護教育専門家等を経て2008年より現職。阪神淡路大震災後、1998年の日本災害看護学会設立に参画し、2008年の世界災害看護学会の設立にも関与、現在両学会理事長。2005年より同大学看護学研究科において、災害看護専攻領域の教育を世界に先駆けて開始。「まちの保健室活動を通して被災高齢者の健康を守る、また健康に関わる専門職教育の側面からの情報・課題提供を予定しています。」

 

「東日本大震災後復興期における高齢者の健康問題とその対策」

相馬中央病院 越智 小枝内科診療科長

東京医科歯科大学医学部医学科卒業。2003年同大学膠原病・リウマチ内科入局。2011-2012年、インペリアルカレッジ・ロンドン公衆衛生大学院にて公衆衛生修士取得。インペリアルカレッジ・ロンドンリサーチフェロー、WHO、PHEインターンを経て2013年11月より現職。「災害からの復興の目指すものは、インフラや経済の復興ではなく人の復興であり、そのためには被災地における長期的な健康被害を阻止することが大切です。超高齢化社会を迎えた日本においては、特に高齢者の健康問題を包括的に把握し、対応する必要があります。今回のフォーラムでは、地震・津波・原発事故の複合災害を受けた福島県相馬市での経験をもとに、現在の高齢者の健康問題について報告します。」

詳しくはこちら:フォーラム開催のご案内・参加申し込み方法

参加費無料

事前申し込み締め切り:2015年2月17日(火)