2014-02-07

WKCフォーラム「健康な高齢化のためのイノベーション ~今、どのような研究が進められているか~」

WHO神戸センター(WKC)は、2014年3月5日(水) 神戸にて、公開フォーラム「健康な高齢化のためのイノベーション ~ 今、どのような研究が進められているか ~」を開催します。

世界のほぼすべての国々で、他の年齢層人口にくらべて60歳以上の人口の急速な増加が進んでおり、併せて平均寿命の延伸と出生率の低下がみとめられています。この人口転換の現象は、世界的な保健リスクや疾病に現代社会が対処してきた結果とも捉えられます。高齢者の健康と機能的能力、社会参加、安全を最大限に高めるためには、社会が高齢化する人口に適応することが求められています。

長寿に求められる課題は、よりよい生活の質を保つことのできる健康な高齢化です。この課題に取り組むため、WHO神戸センター(WKC)では、健康な高齢化に貢献するイノベーションを見い出し促進するための新たな研究分野に着手しました。世界的なネットワークを活用することによって、WKC はその研究成果が、世界の、また、地域の健康な高齢化に資することを目指しています。

日本は、高齢者の健康をよりよく保ち向上させるためにふさわしい社会・保健医療システムをとおして、高齢者保健のための新しい制度や技術の開発において世界を牽引してきました。

本フォーラムでは、日本で活躍する3名のイノベーターを迎え、高齢者に優しい薬剤、ロボット工学技術、高齢者の身体的自立能力維持のためのイノベーションをテーマに、健康な高齢化に寄与する優れた研究紹介するとともに、日本が取り組んでいる医療と技術におけるイノベーションについて、今後期待される展望を討議します。

開催日時・場所:

2014年3月5日 (水)14:00~16:00
WHO神戸センター

プログラム:

(言語: 日本語)
14:00–14:10 開会の辞
14:10–15:30 講演
15:30–15:55 討議(オープンディスカッション)
15:55–16:00 閉会の辞

講演者:

(登壇順・敬称略)

「高齢者の薬物治療、健康管理に役立つ身近な技術革新」
横浜薬科大学 臨床薬学科 薬理学研究室 定本清美教授

東邦大学医学部卒。リウマチ学を専攻、医学博士(東邦大学)。専門は、内科リウマチ・膠原病学、臨床薬学。東邦大学、東海大学にて臨床リウマチ学を研究。英国・バーミンガム大学では社会科学修士を取得、リサーチフェローとして関節リウマチの臨床にも従事。英国より帰国の後、東邦大学医学部にて病院管理にも携わる。薬学分野では、東邦大学での研究・教育活動の後、2013年より横浜薬科大学にて現職。東邦大学在籍時に着手した患者の服薬を容易にするためのユニバーサルデザイン包装などの臨床薬学における研究は、関節リウマチ患者や障がい者、高齢者の負担軽減にも関連づけた成果が期待されている。日本リウマチ学会評議委員、包装に関するすべての分野の科学および技術発展をはかる学術団体である日本包装学会の理事を務めるほか、日本内科学会、医療の質・安全学会等会員。現在、客員教授として、東海大学大磯病院のリウマチ外来診療にも携わる。

「豊かな超高齢社会を支えるロボット工学技術イノベーション」
神戸大学大学院 システム情報学研究科 計算ロボティクス研究室 羅志偉教授

中華人民共和国蘇州市出身。華中工学院工業自動化学科卒業。来日後、名古屋大学で工学修士、博士(工学)。豊橋科学技術大学助手、山形大学助教授、理化学研究所フロンティア研究員、同バイオ・ミメティックコントロール研究センター・環境適応ロボット研究チームリーダーを経て現職。2006年、理化学研究所在籍時に開発した人型ロボット「RI-MAN(リーマン)」は、世界で初めて介護動作の一つである「人を抱き上げる」作業を行うことができ、 同年TIME誌のベスト・イノベーションに選ばれるなど世界中から注目された。その後も、リハビリテーション用ロボットやバーチャル・リアリティ技術を用いた高次脳機能評価など、また、環境適応ロボット、知覚・運動統合、ヒューマンインタフェースなど、健康工学、介護支援工学の分野で幅広い研究活動に従事。近年は、シュミレーションなど計算科学の力を駆使して、人と接するロボットのデザイン及びその評価に取り組むなど、新たな研究分野である計算ロボティクスを通じて、介護・福祉などを課題とする高齢社会への寄与を目指している。中国・浙江大学客員教授も務める。 

「健康長寿社会実現のために -高齢者のための地域密着型テクノロジー」
国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 朴 眩泰 運動機能賦活研究室長

東亜大学(大韓民国・釜山)にてスポーツ科学を専攻、修士。 来日後、国立健康・栄養研究所で研究、東京大学で博士号(教育)を取得。東京都健康長寿医療センターを経て現職。専門は、運動生理学、応用老年学。健康増進、行動保健学の領域でも幅広く研究活動に携わりながら、認知症・虚弱予防のための地域づくりに挑戦している。現在室長を務める国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 運動機能賦活研究室では、高齢者の心身の機能評価に関するICTシステムの開発開発、また、高齢者の運動機能の賦活についての調査研究に従事している。とりわけ、高齢者が長期介護が必要な状態に陥ることなく、健康で自立した生活を継続できるよう、「廃用症候群」(日常生活で体を動かさない /身体機能を使わない状態が続き、心身の機能が全体的に低下すること)の予防、ならびに、高齢者の自立した生活実現のための新たなシステムの開発と認知症・運動器機能低下に対する非薬物的療法に精力的に取り組んでいる。 東京都健康長寿医療センター・健康長寿ゲノム探索研究チーム、日本体育大学体育研究所の客員研究員、日本転倒予防学会編集委員も務める。

詳しくはこちら:

フォーラム開催のご案内・参加申し込み方法
参加費無料
事前申し込み締め切り:2014年2月28日 (金)