2020-12-09

WHO神戸センター所長のメッセージ:2020年ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ・デーに寄せて

12月12日、今年のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ・デーは、世界中が危機の真っただ中にあります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、不充分な保健制度や社会的保護のギャップ、格差があらわになり、公衆衛生の基礎や強力な保健制度、健康危機管理の重要性が浮き彫りになりました。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは、すべての人が必要な時に必要な場所で、経済的な困難を伴うことなく、必要とする保健医療サービスを利用できることを意味します。今年のテーマは「すべての人に健康を:すべての人を守る」です。このテーマは、年齢や性別、能力に関わらず、すべての人がヘルスケアを受ける権利を持っていることを意味しています。すべての人が健康であることは希望的観測ではありません。安定かつ公平で、平和な社会の礎となるものです。

COVID-19と健康危機は、高齢者や健康上の問題をいくつも抱えている人々、経済的に弱い立場にある人々に、過度に大きな影響をおよぼします。WHOによる調査では、調査対象国の90%において、予防接種や慢性疾患の治療、こころのケアなどの必要不可欠な保健医療サービスが、COVID-19によって中断されたという結果が明らかにされています。危機的状況に強い保健医療制度に投資すれば、危機のために前進が妨げられることは二度と起こりません。

看護師や助産師、保健師などの医療従事者は、保健医療制度の支えです。最もケアを必要とする人に直接ケアを施しており、すべての人が健康になるために重要な役割を担っています。すべての人が健康であるとは、こうした医療従事者が治療を優先的に受けワクチンが入手可能になったら優先的に接種できるようにし、ヘルスケアを提供できるように支援することも含まれます。

WHO神戸センターは、COVID-19に関する専門家向けガイダンスや一般情報に関する文書を翻訳し、兵庫県の皆様に正確な科学的情報を提供しています。

安全で有効なワクチンと診断法、治療法は、このパンデミックの終息に不可欠ですが、すべての国において最も弱い立場にある人々が利用できるようになって初めて成果が上がります。世界中で公平なワクチンの普及を確実に進めるために、180を超える国がCOVID-19 Vaccine Global Access (COVAX)ファシリティに参加しています。このパンデミックは、全世界で終息させない限り、終わることはありません。

誰一人取り残されないよう、私たちは一丸となって、このUHCデーも含め日々前進していかなければならないのです。