2023-08-30

災害対策と健康危機管理の研究手法に関するWHO初のガイダンスの日本語版完成

Cover of HEDRM Guidance Japanese edition

自然災害や感染症流行等をはじめとした健康危機においては、現場の救援ニーズへの対応に重きがおかれ、未来の対策に向けた情報収集や研究活動をどのようにして行うかという方法論が確立されていなかったことが長年の課題でした。

2021年、WHO神戸センターは、世界30か国164名の専門家と協力して、緊急事態や災害の発生時およびその前後に、どのように研究を計画、実施、報告するかという方法論に関する初のガイドブックとして、「災害・健康危機管理の研究手法に関するWHOガイダンス」を発行しました。7章44節で構成される本ガイダンスでは、日本の災害対策の歴史と経験を世界の対策の参考にするべく、阪神淡路大震災や東日本大震災の経験からうまれた医療、看護、公衆衛生等の取り組みも事例として取り上げています。

2022年には新型コロナウイルス感染症の流行下におけるガイダンスの適用についての章を追加した改訂版が発行されるとともに、この本ガイダンスの作成に翻訳し、国内での普及を促進するイニシアティブが発足しました。翻訳は、東北大学災害科学国際研究所をはじめとした国内の災害対策・健康危機管理研究を牽引する諸施設の29名の専門家と協力して行われました。

そしてこの度、本ガイダンスの日本語版が完成し、9月1日の「防災の日」に発行いたします。翻訳にご協力をいただいた日本の専門家の方々とも協力して、国内の研究教育機関や現場での普及を引き続き行っていきます。様々な機会にこのガイダンスが使用され、研究の質の向上、研究活動の発展に寄与するとともに、よりより防災の政策と事業の創出を促すことを祈念します。

日本語版のリンクはこちら(9月1日より閲覧可能)