2020-12-04

新型コロナウイルス対策へのWHO神戸センターの貢献を諮問委員会が評価

WHO健康開発総合研究センター(WKC)諮問委員会は、COVID-19による未曽有の状況を考慮し、初のオンライン開催となった本年の第24回年次会合を終えました。

WKC諮問委員会はWHO本部事務局長の指名により、WHOの6地域、日本政府、地元地域、および、WKCに対して物的・経済的支援を提供している神戸グループ [1]、それぞれの代表者から構成されています。

諮問委員会は、新型コロナウイルスの感染予防と制御に関する日本における情報発信についてWKCが中心的役割を果たしたことを高く評価しました。また、今回の様な困難な状況にあっても、WKCが研究活動を継続したことも評価しました。

諮問委員会に新たに加わった、厚生労働省国際保健福祉交渉官の武井貞治氏も、WKCがコロナ禍で関連ガイダンスの翻訳など重要な役割を果たしたことに謝意を述べました。会議では、WKCが、国連の関係機関および国内外の専門家と協力し、COVID-19関連のWHO文書および一般向け情報を100件以上翻訳したことが報告されました。

また、WKCが世界の研究者と協力して29件の研究プロジェクトを実施し、その研究が多岐にわたっていることや、災害や健康危機の発生時の研究手引き書として世界初となる「災害・健康危機管理の研究手法に関するWHOガイダンス」を含む33件の学術出版など、昨年から今年にかけて、一連の学術的成果をあげていることも諮問委員会は評価しました。

2020年諮問委員会の座長である、ガーナ内科外科大学公衆衛生学およびドドワ保健研究センターのアイリーン・アクア・アジイポンゲ教授は、WHOのアフリカ地域を代表して次のように発言しました。「WKCは2019年の諮問委員会の提言を受けて前進し、素晴らしい成果をあげました。特に、前述のガイダンスをはじめとする出版物には目を見張るものがあります。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジと高齢化、災害・健康危機管理などの領域ではWKCに優位性があり、これらの領域に研究の焦点を当てているのは理に適っています。」

諮問委員会は、WHO内部での、また、世界および関西地域の学術機関との協力関係をWKCが広げたことも評価し、保健政策および対策に影響を与えるため、WHO地域委員会の会合などの機会を利用して、重要な政策決定者に研究成果を提供することを推奨しました。

クウェートのダイレクト・エイド・インターナショナル高等教育シニアアドバイザーのマジェッド・アルシャルビニー教授は、WHOの東地中海地域を代表して、「WKCがこの1年間に数多くの研究論文を発表したこと、すなわち、質の高い研究を実施したこと、および、国内外での協力関係を拡充したことに大変感心いたしました」と述べました。

諮問委員会は、WKCを卓越した研究拠点として認め、さらなる活動拡充のため、WHO本部の予算が配分されることを推奨しました。また、新型コロナウイルスによる保健医療の公平性やアクセス、高齢者への影響などが、今後の新たな研究領域として提案されました。

 

[1] 神戸グループは、兵庫県、神戸市、神戸商工会議所、株式会社神戸製鋼で構成されています。