2017-11-23

災害後の中長期的心理社会的影響に関する研究

自然災害の発生頻度と被害はここ数十年増加傾向にあり、防災における保健・健康の重要性は2015年に仙台で開催された第3回国連防災世界会議の成果文書「仙台防災枠組2015-2030」でも大きく取り上げられ、保健・健康に関する科学的エビデンスの構築が必要と訴えています。

また、防災対策を論じる上で災害への備えや急性期対応に焦点が置かれる傾向があり、中長期的な心理社会的影響や、被災者のニーズ、実際の介入策に関するエビデンスが不足しています。

そこで、本研究では、WHO神戸センターが国立精神・神経医療研究センター(主導研究施設)と協力し、兵庫県こころのケアセンター、日本の専門家ワーキンググループ(21名の有識者によって構成)と連携しながら、心理社会的影響に着目して、日本の防災に関する知見を集約していきます

具体的には、今年2月には専門家会議を開催。現在は全国調査を実施し、災害後の中長期的心理社会的影響のマネジメントに関する知識ギャップを調査しています。調査結果は政策提案とともに来年発表する予定です

WHO神戸センター茅野龍馬医官は「本研究の成果が、中長期的な対策の重点領域を明らかにし、被災者の方々の長期的な生活の質の向上に資することを期待します」と述べています。

研究の目的

  1. 被災者の中長期的な心理社会的影響に関する知識・対策の主要なギャップを明らかにする
  2. 災害後の中長期的な心理社会的影響のマネジメントに関するエビデンスに基づいた政策オプションを提示する
  3. 災害・健康危機管理に関する科学的エビデンスを日本から世界へ発信する

Research brief

  • 災害後の中長期的心理社会的影響に関する研究(日本語英語

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