Q&A(COVID-19):母乳育児

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19):母乳育児

2020年5月7日 |Q&A

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COVID-19は母乳から感染することはありますか?

母乳や母乳育児によってCOVID-19(の原因となるウイルス)に感染するという報告は現在のところありません。母乳育児を避ける理由も、やめる理由もないということです。

COVID-19が流行している地域でも、母親は母乳を与えるべきですか?

はい。どのような社会経済的環境においても、母乳育児は新生児と乳児にとって、生存率を向上させ、生涯にわたる健康と発達を促します。また、母乳育児は母親の健康にも良い影響を与えます。

母親がCOVID-19に感染していることが確認された場合や疑われる場合であっても、出産後すぐに赤ちゃんの肌に触れ、母乳を与えるべきでしょうか?

はい。カンガルーケアのように出産後すぐに皮膚接触を始め、それを続けることで、新生児の体温調節を向上させ、新生児の生存率向上につながります。また、新生児と母親が近くにいることで、母乳育児の開始を早めることができ、死亡率も低下させます。

皮膚接触や母乳育児のメリットは数多くあり、COVID-19の感染リスクや病気になるリスクと比べて、メリットが大幅に上回ります。

COVID-19に感染している女性や、感染が疑われる女性でも授乳は可能ですか?

はい。COVID-19に感染している女性や感染が疑われる女性でも、希望すれば授乳ができます。その場合、以下を守る必要があります。

  • 赤ちゃんに触れる前には特に、石けんと水でこまめに手を洗うか、アルコール系消毒剤を使用して手指衛生を行いましょう。

  • 授乳中や赤ちゃんに触れるときは、常に医療用マスクを着けましょう。

  • くしゃみや咳は、ティッシュを使ってしてください。それをすぐに捨て、もう一度手を洗います。

  • 母親が触れた表面は定期的に洗浄し、消毒しましょう。

医療用マスクは湿ってきたらすぐに交換し、捨てることが大切です。マスクを再利用したりマスクの前面を触れたりしてはいけません。

COVID-19に感染しているまたは感染が疑われる母親は、医療用のマスクを持っていない場合でも、母乳育児ができますか?

はい。母乳育児により新生児や乳児の死亡率は間違いなく下がり、子どもの健康や脳の発達において生涯にわたる多くのメリットをもたらしてくれます 

COVID-19の症状がある母親には医療用マスクの着用をお勧めしますが、それができない場合でも、母乳育児を継続してください。母親は、手を洗う、モノの表面を清潔にする、くしゃみや咳はティッシュを使ってするなどの感染予防策をとりましょう。

医療用でないマスク(手作りマスクや布マスクなど)の効果は調査されていないため、現時点ではこのようなマスクの使用については推奨も反対もできません。

COVID-19に感染しているまたは感染が疑われ、体調が悪いため、赤ちゃんに直接授乳できません。どうしたらいいですか?

COVID-19やその他の合併症のために体調が悪く、授乳ができない場合は、安全に母乳を与えるために利用可能な方法、そしてあなたが受け入れられる方法を取れるよう支援してもらいましょう。その方法には下記が含まれます。

  • 搾乳

  • ドナーミルク

搾乳やドナーミルクが難しい場合は、ウェットナーシング(他の女性が子供に母乳を与えること)や乳児用粉ミルクの使用を考えます。実行可能で、きちんと準備でき、安全に続けられるか確認しましょう。

COVID-19に感染しているまたは感染が疑われ、授乳ができませんでしたが、いつ授乳を再開すれば良いでしょうか?

体調が良くなり、授乳ができると感じたら、いつでも母乳育児を開始することができます。COVID-19への感染が確認された、または感染が疑われた後に授乳を再開するための時間間隔は決まっていません。母乳育児により、母親のCOVID-19の臨床転帰がどうなるかについてのエビデンスはありません。保健師や母乳育児のカウンセラーは、あなたが母乳育児を再開できるようにサポートする必要があります。

COVID-19に感染しているまたは感染が疑われる場合、乳児用粉ミルクを飲ませた方が安全ですか?

いいえ。どのような場合でも、新生児や乳児に乳児用のミルクを与えることには常にリスクが伴います。乳児用粉ミルクで授乳を続けることに関するリスクは、家庭やコミュニティの状況が悪化するに伴って高まります。例えば赤ちゃんが病気になったときに医療サービスが利用しにくくなる、清潔な水が手に入りにくい、または乳児用ミルクの供給が不安定で保証されていない、安価ではなく続けられないなどの状況です。

母乳育児の多くの利点は、COVID-19ウイルスの感染や病気に関する潜在的なリスクを大幅に上回ります。 

母乳育児を行なっている女性はCOVID-19のワクチンを接種しても大丈夫ですか?

はい。母乳育児を行なっている女性も、ワクチンを接種できる順番になり次第受けて大丈夫です。

現在承認されているワクチンはいずれも生ワクチンを使用しておらず、母乳を通じて赤ちゃんにウイルスが感染するリスクはありません。

ワクチン接種後、抗体が母乳の中に検出されるというエビデンスがいくつかあり、この場合赤ちゃんがCOVID-19から守られることにつながる可能性があります。