Q&A(COVID-19):タバコ
喫煙者の場合、COVID-19ウイルスに感染するリスクは非喫煙者に比べて高いですか?
このQ&Aの作成時点(2020年5月27日)では、喫煙に関連したSARS-CoV-2の感染リスクを検討した査読付きの研究はありません。しかし、喫煙者(タバコ、水タバコ、巻きタバコ、葉巻、加熱式タバコの使用者)は、COVID-19に感染しやすい可能性があります。喫煙という行為自体が、指(または汚染された可能性があるタバコ)を唇に接触させるため、手から口へのウイルス感染の可能性が高まるためです。シーシャやフッカーと呼ばれる水タバコは、一つのマウスピースやホースを複数人で使用することが多いため、共同生活や社会生活の中でCOVID-19ウイルスの感染を広める可能性があります。
喫煙者の場合、感染すると重症化しやすくなりますか?
どの種類のタバコでも、喫煙により肺活量が減少し、多くの呼吸器感染症のリスクが高まるため、呼吸器疾患が重症化するリスクが高まる可能性があります。COVID-19は、主に肺に損傷を与える感染症です。喫煙によって肺の機能が低下し、コロナウイルスやその他の呼吸器系の病気に抵抗する機能が損なわれます。現在発表されている研究結果からは、喫煙者はCOVID-19の重症化や死亡のリスクが高いことが示唆されています。
電子タバコを使用していますが、感染リスクが高まったり感染時に重症化したりする可能性はありますか?
電子タバコの使用とCOVID-19との関係に関するエビデンスはありません。しかし、これまで得られたエビデンスからは、電子ニコチン供給システム(Electric Nicotine Delivery System: ENDS)および電子非ニコチン供給システム(Electronic Non-Non-Nicotine Delivery System: ENNDS)、つまり一般的には電子タバコと呼ばれるものは有害であり、心臓疾患や肺疾患のリスクを高めることがわかっています。COVID-19ウイルスが呼吸器系に影響を与えることから、電子タバコを使用する際の手から口への動作は、感染のリスクを高める可能性があります。
噛みタバコのような無煙タバコについてはどうでしょうか?
無煙タバコを使用する際でも、手が口に触れることはよくあります。噛みタバコのような無煙タバコを使用する際のもう一つのリスクは、噛んだ時に出る余分な唾液を吐き出す際にウイルスが拡散することです。
WHOは喫煙者にどのような推奨をしていますか?
喫煙がもたらす健康へのリスクを考慮して、WHOは禁煙を勧めています。タバコをやめることで、その瞬間から肺や心臓の働きが良くなります。やめてから20分以内に、上昇した心拍数と血圧が下がり、12時間後には血中の一酸化炭素濃度が正常になります。2~12週間で血行が良くなり、肺機能が向上します。1~9ヶ月後には、咳や息切れが減ります。またタバコをやめることで、大切な人、特に子供を受動喫煙の害から守れます。
WHOは禁煙に向けて、フリーダイヤルの禁煙外来や携帯電話でのテキストメッセージによる禁煙プログラム、ニコチン置換療法(NRT)など、実績のある方法を取り入れることを勧めています。
喫煙、無煙タバコ、電子タバコのリスクから周りの人を守るために何ができますか?
- 現在タバコを吸っている人、電子タバコや無煙タバコを使用している人は、今が禁煙する良い機会です。
- 水タバコや電子タバコなどの器具を他の人と共有しないでください。
- 喫煙、電子タバコや無煙タバコの使用の危険性を広めましょう。
- 他の人を受動喫煙の害から守ってください。
- 手洗い、物理的距離の確保、そしてタバコや電子タバコ製品を他の人と共有しない重要性について理解しましょう。
- 公共の場で唾を吐かないでください。
COVID-19が蔓延している状況で、ニコチン摂取は感染や治療に影響があるでしょうか?
現時点でCOVID-19の予防や治療と、タバコやニコチンとの関連を決定づける情報は十分にありません。WHOは研究者、科学者、メディアに対し、タバコやニコチンがCOVID-19のリスクを低減させるという根拠のない言説を増長させないよう注意を呼びかけています。WHOは、喫煙やニコチンの摂取とCOVID-19の関連性を調査する研究を含め、新しく発表された研究についての評価を続けていきます。