健康な日本の地域社会のための地域レベルの社会的イノベーション

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実施期間:

2017年10月~2018年5月

連携機関:

大阪大学

主導研究者:権藤恭之、安元佐織(大阪大学人間科学研究科)

研究対象地域:

日本

総予算:
20,000米ドル

 

背景

保健医療および社会ケアシステムの持続可能な財政の確保は、政策上の重要なゴールと見なされています。カナダや日本、ノルウェー、スウェーデン、スイスなど複数の高所得国では、施設での介護より、むしろ地域に留まり晩年を過ごすことが好まれる傾向があり、結果として地域社会に暮らす高齢者の数は増加しています。そのため、高齢者のニーズに対応するための、今までとは異なる調整や社会的ネットワークが必要とされています。 
地域レベルの社会的イノベーション(CBSI)は、高齢者のニーズへの対応となり得るイノベーションの一つの形です。先行研究および専門家会議により、CBSIの基盤となる原則が、次のように定義されました。高齢者の能力を、自ら自身のため、社会的包摂のため、そしてウェルビーイングの維持のために強化することです。このプロジェクトでは、世界的に最も高齢化が進み、85歳以上の人口が増加している日本において、CBSIの背景を研究しました。 
 

目標

日本におけるCBSI、その領域、どのようにして保健・社会的サービスと地域社会を結びつけるのか、それが与えるインパクトについて、より良い知見を得ることです。 
 

研究方法

  1.  兵庫県内の1都市、1農村と1漁村を含む、3地域での参与観察。
  2.  地方自治体職員と地域社会のリーダーに対する10件の半構造的インタビューと、地域社会の構成員による3回のフォーカスグループ討論。  
  3.  分析はグラウンデッド・セオリー(Grounded Theory)を使用して実施。

結果

  • 高齢者は均質ではありません。例えば、75歳未満と75歳以上のグループの間には、行動に明確な世代間差が認められます。
  • 身体運動に基づく活動は極めて重要ですが、そのような活動は、可動性に制限のある人々に対して、より適したものであるよう改善を要するでしょう。
  • 地域社会においては、高齢者には、より顕著な発言権が与えられています。政策立案者や公益事業は、高齢者のニーズや活動をより意識するようになってきました。
  • 高齢者の多くは女性であるものの、男性の高齢化も進んでおり、活動が男性のニーズにも応じて考慮される必要があるでしょう。

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