2021-08-19

医療費による経済的困難 関西圏での新たな研究プロジェクトを始動

高齢者が医療費を支払う際に直面し得る経済的困難や、必要なケアを見合わせる(受診控えする)ことになる事情について、分かっていることは多くありません。

WHO神戸センターは、増え続ける高齢者世帯において、医療支出による経済的困難や医療にアクセスする際の経済的障壁、および経済的困難そのものがどの程度問題となっているのかを、関西圏に着目して調査する新しい研究プロジェクトに着手しました。

東京都健康長寿医療センター研究所の主導のもと、今後約2年間にわたり実施されるこのプロジェクトには、関西圏からは甲南大学と大阪大学の研究者が、他にも国立国際医療研究センターと慶應義塾大学の研究者が参加します。本研究では、日本の高齢者に関連のある経済的保護政策や、医療費支出による経済的困難、および受診控えによる未充足のニーズに関するエビデンスについて、文献レビューをもとにまとめる予定です。また、日本家計パネル調査などの既存の全国世帯調査の二次分析も予定されています。本研究は、関西圏の高齢者世帯における医療費支出による経済的困難と未充足のニーズを統計的に推定し、日本の他地域の高齢者世帯やより若い世帯の結果と比較することを目指しています。

WHO神戸センターは、高齢者が経済的困難を抱えることなく必要なケアを受けられるためのより良い経済的保護政策に向けたエビデンスを提供する研究を支援しており、本研究は関西圏に焦点を当てた2つの研究のうち先発の研究です。これらの研究は、他の地域や国においても高齢者が求める保健医療を保障し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを促進する上で役立つことが期待されます。また本研究の成果は、WHOと世界銀行が2021年末に共同発行する予定のGlobal Monitoring Report on Financial Protection in Health(非公式訳:保健医療分野における経済的保護に関するグローバルモニタリングレポート)にも寄与する予定です。

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