2020-11-08

高齢化に関連したユニバーサル・ヘルス・カバレッジの評価指標が欠如 イランの最新研究が指摘

WHO神戸センターが支援したイランの研究者は11月11日、「高齢者の継続的なケアを確保するためのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の測定」に関する研究成果をオンラインで開催される第6回医療制度研究のグローバル・シンポジウムで発表します。

主要研究メンバーであるSedighe Hosseinijebeli氏は、2017年にWHOと世界銀行によって発表された包括的なUHCグローバル・モニタリング枠組みにおいては世界中で増加する高齢者のニーズに対応するための医療制度を評価する指標が欠如しているとして、次のように述べました。

「このギャップを埋めるために、私たちの研究では人口高齢化に対応する医療制度に関してUHCの進歩を測定するための新しい枠組みを提案することを目指しました。関連文献のスコーピングレビューを行い、その結果をもとに推奨される指標がイランにおいて測定可能かどうかをイランの学者や政策立案者とともに検討しました」

分析された35の関連文献からは、高齢化の観点からUHCの進歩を評価するための特定の枠組みがない点や、UHCをモニタリングするための既存の枠組みにも、高齢者のケアに関する指標が欠如している点が明らかになりました。さらに、イランやその他の低中所得国などの介護制度が十分に整備されていない国では、インフォーマルな(家族による)高齢者へのケアに依存している場合が多く、介護の範囲と質に関する公式なデータはほとんどもしくはまったく存在しないことが分かりました。

「この研究によって、高齢者のケアに関する医療システムの評価が、母子ケアや感染症などの他の分野と比べていかに手をつけられていないかが明らかになりました」とHosseinijebeli氏は述べています。

本研究では、ケアの質やサービスの適用範囲、介護に関わる支出、および高齢者の経済的・社会的保護をモニタリングするために使用できる指標を提案しています。研究者らは、健康な高齢化と高齢者のケアに関する重要な指標を今後のUHC評価枠組みにおいて含めるよう強く求めています。