Q&A(COVID-19):マスク

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19):マスク

2020年12月1日改訂版|Q&A

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なぜマスクをしなければならないのでしょうか?

マスクは感染を抑え、命を守るための重要な対策です。

マスクの着用は、「できることは全てやろう!」という包括的アプローチの一環として行われる必要があり、他の対策には物理的距離の確保や、人混みや密閉空間、密に接触する場所の回避、十分な換気、手洗い、そしてくしゃみや咳をするときは覆うことなどがあります。

マスクは種類によって、健康な人を保護するためのものと、他人への感染を防ぐためのものがあります。

誰がどのようなマスクを着用するべきですか

医療用マスクは以下の人に推奨されます。

  • 臨床現場で働く医療従事者。医療従事者が個人用防護具を使う方法の詳細はWHOのガイダンスをご覧ください。
  • 筋肉痛や軽い咳、喉の痛み、倦怠感などの軽度の症状を含め、体調不良の人。
  • COVID-19の検査結果を待っている人や、結果が陽性であった人。
  • COVID-19の疑い例や確定例を医療施設以外でケアする人。

また、以下のグループはCOVID-19で重症化して死亡するリスクが高いため、医療用マスクが推奨されます。

  • 年齢を問わず、慢性呼吸器疾患、心血管疾患、癌、肥満、免疫不全患者、糖尿病などの基礎疾患を持つ人

 

非医療用の布マスクは、基礎疾患を持たない60歳以下の一般の人が使用します。

一般向けアドバイスのページでは、使用法の動画を含めたマスクに関する詳細情報をご紹介しています。

一般の人がマスクを着用するのはどのような場合ですか?

ウイルスが流行している地域では、人混みや他人と1メートル以上の距離が確保できない場所、換気が悪いもしくは良いか定かでない室内にいるときに、マスクを着用する必要があります。換気の質を判断することは必ずしも容易ではありません。なぜなら換気は空気の入れ替え速度、再循環、屋外からの空気に左右されるためです。そのため、少しでも疑問がある場合には、単にマスクを着用する方が安全です。

マスクを着用する前後、またマスクを着用した状態でマスクに触れる前には、必ず手を洗いましょう。

マスクをしていても、可能な限り人との物理的距離を確保してください。マスクをしていれば人と密接して良いということではありません。

人の出入りが多いショッピングセンターや、宗教施設、レストラン、学校、公共交通機関など、屋内の公共の場では、人との物理的な距離を保てない場合にマスクを着用する必要があります。

同居する人以外が自宅に来たときには、物理的距離の確保ができない場合や換気が悪い場合はマスクを着用してください。

外出先では、人との物理的距離の確保ができない場合はマスクを着用してください。人の多い市場や道路、バス停などがその例です。

運動中はマスクを着けるべきですか?

COVID-19の感染地域にいても、呼吸の能力が減少するリスクがあるため、激しい運動時はマスクを着用してはいけません。運動の激しさに関わらず、他の人から1メートル以上離れ、屋内であれば十分な換気をしてください。

布マスクを購入する場合はどう選べばよいですか?また自分で作る場合、理想的な形状や布の材質はどのようなものでしょうか?

布マスクを選ぶ場合は、ろ過性、通気性、適合性を確認してください。また、ゴムバンドや紐で少し調整するだけで、楽に固定できることも必要です。マスクの形状には、平な折り畳みタイプやくちばしのような立体タイプなどがありますが、自分の鼻や頬、顎に合うものを探しましょう。マスクの端が顔に密着せず、話すときなどにずれると、空気が布地でろ過されずにマスクの端から入ってきてしまいます。通気口や呼気弁のあるマスクは、フィルターを通さない息がマスクの外に漏れてしまうため、お勧めできません。

布マスクは、3層構造で作られている必要があります。

  • 内側の層は綿などの吸水性がある素材
  • 中間層はポリプロピレンなどの非吸水性の不織布
  • 外側の層はポリエステルまたはポリエステル混紡などの非吸水性の素材

 

店頭で布マスクを購入する場合は、国の品質基準を満たしているかどうかを確認してください。

詳しくは、WHOが推奨する布マスクの素材と構造についての動画をご覧ください。

布マスクはどのように着用し、洗浄すればよいでしょうか?

布製マスクの着用方法

  • マスクに触れる前に、擦式アルコール製剤または水と石鹸で手をきれいにしましょう。
  • マスクに破れや穴がないか点検し、破損したマスクは使用しないでください。
  • マスクで口、鼻、顎を覆うようにして、側面に隙間がないように調整しましょう。
  • 紐を頭や耳の後ろに掛けます。顔の側面に隙間ができるため、紐は交差させないでください。
  • 装着中はマスクに触れないようにしてください。触れた場合、手をきれいにしましょう。
  • マスクが汚れた場合や濡れた時には交換してください。

 

布マスクの外し方と保管方法

  • マスクを外す前に、手をきれいに洗いましょう。
  • マスクの前面に触れないように、紐をもって耳からマスクを外してください。
  • 布マスクが汚れたり濡れたりしておらず再利用する予定であれば、ジッパー付きの清潔なプラスチック製の袋に入れましょう。再利用する際、袋から取り出すときはマスクの紐を持ってください。一日一回はマスクを洗いましょう。
  • マスクを外した後は手をきれいに洗いましょう。

 

布マスクの洗い方

  • 布マスクは、1日1回以上できればお湯(摂氏60度以上/華氏140度以上)で石鹸又は洗剤を使用して洗いましょう。
  • お湯でマスクを洗えない場合は、石鹸・洗剤と常温の水で洗ったあと、マスクを1分間煮沸します。

 

一般的なアドバイス

  • マスクに触れる前には必ず手を洗いましょう。
  • 自分専用のマスクを用意して、他人と共有しないでください。
  • 他の人と話すときは、マスクを顎まで下げたり外したりしたくなりますが、それはやめましょう。
  • マスクを腕や手首に巻いたり、顎や首に下げたりして保管しないでください。それよりも、清潔なプラスチック製の袋に入れて保管してください。

 

動画「布マスクの使い方」で実演していますので、そちらをご覧ください。

医療用マスクの着脱はどのようにすればよいのでしょうか?

医療用マスクの着脱方法

  • マスクに触れる前には、擦式アルコール製剤または石鹸と水で手をきれいに洗いましょう。
  • マスクに破れや穴がないか点検しましょう。過去に着用したものや、破損しているマスクは使用しないでください。
  • どちらが上かを確認してください。通常、ワイヤーがある方が上です。
  • 次に、マスクの内側(通常は白い面)を確認してください。
  • マスクで鼻、口、顎を覆うようにして、顔とマスクの間に隙間ができないように装着しましょう。紐は頭や耳の後ろに回します。マスクの側面に隙間ができるため、紐を交差させないでください。
  • ワイヤーをつまみ、鼻の形に合わせて曲げてください。
  • 汚染を避けるために、使用中はマスクの前面に触れないようにしてください。誤って触れてしまった場合は、手をきれいに洗いましょう。

 

医療用マスクの外し方

  • マスクに触れる前に、擦式アルコール製剤または石鹸と水で手をきれいに洗いましょう。
  • マスクの前面に触れないよう、頭や耳の後ろから紐を外してください。
  • マスクを外すときは、体を前に倒し、顔からマスクを離すようにしてください。
  • 医療用マスクの使用は一枚につき一回で、すぐに廃棄し、できれば密閉できるゴミ箱に入れてください。
  • マスクに触れたあとは手をきれいに洗いましょう。

医療用マスクとN95のような防塵マスクの違いは何ですか?

サージカルマスクとも呼ばれる医療用マスクは以下のようなものです。

  • 3層の合成不織布で構成されています。
  • 中間にろ過層を挟むように構成されています。
  • さまざまな厚さが用意されています。
  • さまざまなレベルの耐液性とろ過性があります。

防塵マスク(フィルタリング・フェイスピース・レスピレーター:FFP)には、FFP2、FFP3、N95、N99など、性能のレベルによっていくつかのタイプがあります。

医療用マスクと防塵マスクでは、保護についての有用性は類似しています。しかし、防塵マスクはしっかりと装着させる作りになっているため、特定の手技や場面に特化しています。防塵マスクは、エアロゾル発生手技が行われる施設や場所でCOVID-19患者のケアを行う医療従事者を保護する設計になっています。医療従事者は防塵マスクを着用する前に、正しいサイズを装着していることを確認するため、着用テストを行う必要があります。ゆるいサイズの防塵マスクを着用しても同じような保護効果は得られず、小さな粒子が側面からマスクの中に入ってくる可能性があります。

WHOはCOVID-19の感染を防ぐために呼気弁付きマスクの使用を推奨していますか?

いいえ、WHOはマスクや防塵マスクのうち、呼気弁付きのものは使用を推奨していません。これらのマスクは産業従事者用で、吸入時に弁が閉じることで粉塵や粒子を吸い込むことを防ぐために使われます。息を吐くときには弁が開き、呼吸は楽になりますが、弁の開口部からウイルスが通過してしまいます。そのため、COVID-19をはじめとする呼吸器系ウイルスの拡散防止には効果がありません。

WHOはCOVID-19の感染を防ぐために、各地域で手袋の使用を推奨していますか?

いいえ、WHOは地域で人々が手袋を使用することを推奨していません。その代わりに、スーパーマーケットや公立・民間の建物などの公共の場の出入口に、手指衛生ステーションの設置を推奨しています。これにより、人の手から持ち込まれる微生物を減らすことができます。手指衛生の習慣を広く改善させることで、各国はCOVID-19やその他の感染症の流行を防げるようになります。

COVID-19の流行下において、医療従事者はいつマスクを着用すべきですか?

医療従事者は、COVID-19が疑われる患者、可能性が高い患者、確定している患者と密に接触するため、COVID-19にさらされる可能性が最も高いと言えます。

市中感染やクラスター感染がある地域においては、医療従事者や介護者、来訪者は、物理的距離が確保できる場合でも、医療機関の中では常にマスクを着用する必要があります。また、特定の理由でマスクを交換する必要がある場合や飲食時を除いて、勤務時間中ずっとマスクを装着しておく必要があります。

  • 医療従事者と介護者とは、医師、看護師、助産師、病院関係者、清掃員、地域の保健職員など、臨床の現場にいる全ての人を指します。
  • 医療従事者は、マスクの着脱の前後やマスクの位置を直すために触れる前など、マスクや顔を触るときには必ず手指衛生を組み合わせることを忘れてはいけません。

 

COVID-19が散発的に発生している地域では、臨床現場で働く医療従事者は、特定の理由でマスクを交換する必要がある場合や飲食時を除き、勤務時間中ずっと医療用マスクを着用する必要があります。

医療従事者は患者のケアをしていないときでも、引き続き同僚や施設内の人と物理的な距離を確保し、不必要な接近を避けなければなりません。

防塵マスクの使用が推奨されるのは、COVID-19が疑われる患者や確定した患者に対してエアロゾル発生手技が行われている場合です。このような環境では、WHOは空気感染予防策と接触予防策を行うよう推奨しています。

医療施設外でCOVID-19に感染した医療従事者もいるため、医療従事者も全ての人と同様に、医療施設外でも感染から身を守るためのガイダンスに従うことが重要です。

 

その他のリソース

WHOは2020年1月、COVID-19疑い・確定例患者を治療する医療従事者のための推奨される実践に関する暫定ガイダンスを最初に発表し、手術用ガウン、グローブ、医療用マスク、目の保護という飛沫・接触予防策を盛り込みました。